私、転生したから一大企業を作って、そのトップになるんだ。

優雅

文字の大きさ
3 / 22
第一章

常連になりました。

しおりを挟む


雑貨屋を十分に堪能したアーサーが帰宅したときにはもう、陽が傾いていた。

「父上、ただいま帰りました。」

「それで、どうだった?」

「はい、まず商品についてですが、ウチでは扱っていない商品しか置いていないように見受けられました。見たところ、雑貨を主に売り出しているようでした。」

「なるほど、棲み分けができているから売り上げに支障がないと・・・」

「それから店員の接客も良かったです。相手に商品を押しつけず、興味を持ってもらった上で勧めていました。」

「はて、どのように?」

「でもんすとれーしょん、というものをやっていました。商品の実演のこと、だそうです。」

「なるほど・・・・・・よくやった。大収穫だ。お前はもう下がっていいぞ。」

失礼します、とアーサーは頭を下げて退出した。


  誰もいなくなった執務室でバイドは独り考える。

・・・・・どうやらウチと矛を交えるつもりは毛頭ないらしい。話によれば、あちらは雑貨屋だという。

我が商会と利益の衝突が少ないところは殆ど無い。畑も違うので、できれば協力関係を結びたいところだが・・・・果たして先方が受け入れるかどうか・・・・

・・・・・・・さて、まず何から始めるか・・・
 しばらく策略を巡らすのであった。




「いらっしゃいませー!!」

アーサーが店に入ると、いつもの店長さんがトタトタとこちらに走って来た。

彼は今やこの店、「アルフォンス」の常連だ。

店の仕事と勉学があるので、毎日通うことはかなわなかったが、それでも週に二度は顔を出しているのだ。

「今日は何をお望みで?」

「いえ、今日は親に頼まれていることがありまして。」

「え・・・?・・・あのコルチェエフ商会の会長さんが、私に?」

予想外の切り返しに困惑する。

「知っていたんですか?」

「もちろんですよ、アーサー殿。これぐらいの情報が無ければ商人なんぞ務まりません。」

若手にしてこの達観ぶり・・・ほんとに幼女なのかと疑ってしまう。

「ならば手間が省けていいです。実はウチの父親が貴女と話してみたいそうなんですよ。」

「それは光栄なことです。すぐに伺うので、店じまいまでしばしお待ち願えないでしょうか。」

「分かりました。少しここで待ってます。あ、でもその前にこの本買っていいですか?」



本を読むこと数分。

「お待たせしました。」

「では行きますか。」

そうして二人はコルチェエフ商会へ向かったのだった。






さて、バイドの考えた計画はこうだ。

まず、丁寧なおもてなし。

秘蔵のワインや装飾類、商会自慢の奴隷などをちらつかせ、交渉に持ち込む。

相手も相当頭が切れるだろう。下手に策略を張り巡らさず、真っ正面からお願いする。

交渉については絶対の自信がある。しくじっても平等な契約は交わせるはずだ。

そう思っていたのだが・・・・・・




・・・・・・・・これはどういうことだ?

部下に呼ばれて応接間に行ったものの、目の前には、息子と同じぐらい、いや、それよりも幼い女の子。

誘ったのは店主のはずだぞ。店主が来なければ話にならない。
しかし流石は一流商人。それでもいやな顔一つせず接客をする。

「アーサー、そちらのお嬢さんは?」

「父上、こちらが雑貨屋『アルフォンス』のオーナー、メリアさんです。」

「はぁぁぁ!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「先ほどは大変失礼いたしました。私は、ここで商売をやっておりますバイドと申します。」

「初めまして。メリアと申します。あの有名なコスチェエフ商会の会頭さんとお近づきになれて、とても光栄です。」

「実はですね、貴女にお話したいことがあるんですよ・・・・・」
相手が幼女であることに驚いたが、それはバイドの期待を良い意味で裏切ってくれた。

相手は女の子だ。ちょっとした贈りものでうまく手玉にとれるだろう。そう思ってしまった。

『人を見た目で判断するな。』これはいつも彼が周りの人に言っている台詞だ。これは経験則からきており、あの時の悔しさは未だ忘れていないはず・・・・・だった。







*************************


次から主人公視点に変わります。

読んでくださり、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

お気に入り登録していただけたら嬉しいです!!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...