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第一章
行列のできる雑貨店
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地図を渡されたが、必要なかった。行列がすぐに見つかったからだ。
行列の長さは、100タル(およそ100メートル)といったところだろうか。
客層は若い。どういった商品を扱っているのだろうか。
疑問に思ったので、前に並ぶお姉様方に聞いてみることにした。
「あら、知らないの?」
「はい、かなりの行列なので興味本位で並んでみたんですよ。」
「仕方ないにゃあ、お姉さんが教えてあ・げ・る。」
「ショタコンは黙ってて。私が教えるから」
「だれがショタコンよ、この筋肉フェチ!!」
「ムキムキに反応してなにが悪い。」
「うわぁ、ありえないわぁ・・・固すぎて甘噛みできないじゃん。」
「え、どこを?まじドン引きなんですけど・・・」
「え、何を想像したの、この変態。」
「何処を噛むにしても変態だろ。おーいお巡りさーん、この人でーす!」
「噛むのは耳たぶですー。恋人同士じゃ普通ですよーだ。」
「彼氏いない歴=年齢のお前が恋人を語るな!」
ギャーギャーと幼稚な喧嘩をおっぱじめた二人に軽く引きながら、それを生暖かい目で眺めている清楚な感じのお姉さんに同じ質問を・・
「はぁ・はぁ・はぁ・はぁ・・・こんな喧嘩をした後、二人は仲直りして夜熱く絡まり合って・・いけません、ユリアお姉様・・・少しぐらいいじゃん。ほら、脱ぎなさい・・あら、意外と大きいのね。・・・・ひゃんっ、お、お姉様・・駄目です・・そんなことしては・・・・なんて言っちゃうんですわ・・・・・あぁ、もう駄目ですわ。・・・天に召されてしm・ブシャァァァァ!!」
・・・・・・しようとしたのだがやめた。
結局なにも情報を得られぬまま数時間。遂に順番がやってきた。
中は、普通の雑貨屋さんといった感じだ。
なんだ、ただのお店じゃないか、となにげに商品棚を見回したアーサーの顔が驚愕に染まる。
なんと、アーサーの店で取り扱っているものが何一つ売っていないのだ。独特な形をした食器や道具、ウチでは置いていない薬草やポーションなど、色とりどりの物はあるものの、どれも見覚えが無い。
・・・・・・・・・なるほど、最初から棲み分けているのか。
疑問の一つは解消されたが、あと一つの謎が残る。
それはずばり、なぜこんなに人気があるのか、だ。
・・・パタン
「いらっしゃいませー!!」
ドアの音が聞こえたと思ったら、元気な女の子の声が聞こえた。
思わずその方向に目を向けると・・
「・・・・・・は?」
・・・・・・可愛らしい少女が立っていた。
「申し訳ございません。少々席を外しておりました。何かお探しでしょうか?」
「ええと、特には・・・」
「では、こちらの商品はいかがでしょうか?こちらは竹とんぼと言います。一見ガラクタにしか見えないのですが、両手でここを擦るとあら不思議。お空を飛ぶのですっ!!」
・・・・ここの関係者であることは間違い無いのだろうが、一体誰だろうか。・・・店主の娘か使用人か・・・
「あの、ところで君は?」
「そしてこちらはベーゴマっ、と、失礼しました。ええと、私はここでお店を開かせていただいております、メリアと申します。以後お見知りおきを。」
「ふぇっ!?」
彼が驚くのも無理がない。何せ、メリアと名乗るその少女、どう見繕っても6歳以上には見えないのだから。
店を営む苦労は、商人である両親を間近に見ながら育ったので、熟知している。だから、一月も続いているこの店をこの少女が所有していると知り、驚愕したのだ。
普通、素人が開いた店は、この町で半月も持たない。
「・・・・・・本当にここの店長さんでいらっしゃる・・・?」
「はい、そうですよ?」
「はぁ・・・・すごいですね・・・・」
「いえいえ、そんなこと無いです。」
これからもよろしくお願いしますね、と彼女は微笑んだ。
「そこのお姉様方、こちらの商品などはいかがですか?」
「あら、ユリア、お姉様ってよ?」
「まあ、なんて良い子。それはなあに?」
「これはですね、砥石なんです。」
「にしては、なんというか、こう・・・」
自分に挨拶をした後、先ほど騒いでいたあの三人娘に声をかけにいったメリアを目で追う。
・・・・・・敵の手法を探る為だ。・・・・・決して見とれていたとか、そういう訳ではない。・・・断じて、違う・・・・違うといったら、違う。
「魚の形をしているでしょう?これは、持ちやすくするための工夫なんです。このエラが見えるでしょうか。これがこの商品の一番のポイントなのです。」
「・・・砥石なのよね?」
「そうですよ?ところでお姉様方に質問です。普段砥石で包丁を研ぐとき、大変ではありませんか?」
「・・・言われればそうねぇ・・・」
「あー分かる分かる。面倒だから鍛冶屋にいつも頼むわ。」
「そうですね。あれは重労働ですわ。」
「そんな貴女方のお役に立てるのがこの砥石なんです。見ていて下さい。」
そう言って彼女はカウンターから包丁をもって来た。
「研ぐ前の包丁を見て下さい。これを今から研ぎます。」
そう言って三人に順に包丁をまわしていくメリア。
「良ければ貴方もどうぞ?」
「あ、え、そ・・その・・いいんですか?」
ガン見していることを気付かれていたことを知り、思わず赤面してしまう。
「はい、どうぞ。・・・・・それでは皆さん、いきますよ?」
・・・そうして、メリアの砥石のデモンストレーションが始まった。
*********************************************
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
行列の長さは、100タル(およそ100メートル)といったところだろうか。
客層は若い。どういった商品を扱っているのだろうか。
疑問に思ったので、前に並ぶお姉様方に聞いてみることにした。
「あら、知らないの?」
「はい、かなりの行列なので興味本位で並んでみたんですよ。」
「仕方ないにゃあ、お姉さんが教えてあ・げ・る。」
「ショタコンは黙ってて。私が教えるから」
「だれがショタコンよ、この筋肉フェチ!!」
「ムキムキに反応してなにが悪い。」
「うわぁ、ありえないわぁ・・・固すぎて甘噛みできないじゃん。」
「え、どこを?まじドン引きなんですけど・・・」
「え、何を想像したの、この変態。」
「何処を噛むにしても変態だろ。おーいお巡りさーん、この人でーす!」
「噛むのは耳たぶですー。恋人同士じゃ普通ですよーだ。」
「彼氏いない歴=年齢のお前が恋人を語るな!」
ギャーギャーと幼稚な喧嘩をおっぱじめた二人に軽く引きながら、それを生暖かい目で眺めている清楚な感じのお姉さんに同じ質問を・・
「はぁ・はぁ・はぁ・はぁ・・・こんな喧嘩をした後、二人は仲直りして夜熱く絡まり合って・・いけません、ユリアお姉様・・・少しぐらいいじゃん。ほら、脱ぎなさい・・あら、意外と大きいのね。・・・・ひゃんっ、お、お姉様・・駄目です・・そんなことしては・・・・なんて言っちゃうんですわ・・・・・あぁ、もう駄目ですわ。・・・天に召されてしm・ブシャァァァァ!!」
・・・・・・しようとしたのだがやめた。
結局なにも情報を得られぬまま数時間。遂に順番がやってきた。
中は、普通の雑貨屋さんといった感じだ。
なんだ、ただのお店じゃないか、となにげに商品棚を見回したアーサーの顔が驚愕に染まる。
なんと、アーサーの店で取り扱っているものが何一つ売っていないのだ。独特な形をした食器や道具、ウチでは置いていない薬草やポーションなど、色とりどりの物はあるものの、どれも見覚えが無い。
・・・・・・・・・なるほど、最初から棲み分けているのか。
疑問の一つは解消されたが、あと一つの謎が残る。
それはずばり、なぜこんなに人気があるのか、だ。
・・・パタン
「いらっしゃいませー!!」
ドアの音が聞こえたと思ったら、元気な女の子の声が聞こえた。
思わずその方向に目を向けると・・
「・・・・・・は?」
・・・・・・可愛らしい少女が立っていた。
「申し訳ございません。少々席を外しておりました。何かお探しでしょうか?」
「ええと、特には・・・」
「では、こちらの商品はいかがでしょうか?こちらは竹とんぼと言います。一見ガラクタにしか見えないのですが、両手でここを擦るとあら不思議。お空を飛ぶのですっ!!」
・・・・ここの関係者であることは間違い無いのだろうが、一体誰だろうか。・・・店主の娘か使用人か・・・
「あの、ところで君は?」
「そしてこちらはベーゴマっ、と、失礼しました。ええと、私はここでお店を開かせていただいております、メリアと申します。以後お見知りおきを。」
「ふぇっ!?」
彼が驚くのも無理がない。何せ、メリアと名乗るその少女、どう見繕っても6歳以上には見えないのだから。
店を営む苦労は、商人である両親を間近に見ながら育ったので、熟知している。だから、一月も続いているこの店をこの少女が所有していると知り、驚愕したのだ。
普通、素人が開いた店は、この町で半月も持たない。
「・・・・・・本当にここの店長さんでいらっしゃる・・・?」
「はい、そうですよ?」
「はぁ・・・・すごいですね・・・・」
「いえいえ、そんなこと無いです。」
これからもよろしくお願いしますね、と彼女は微笑んだ。
「そこのお姉様方、こちらの商品などはいかがですか?」
「あら、ユリア、お姉様ってよ?」
「まあ、なんて良い子。それはなあに?」
「これはですね、砥石なんです。」
「にしては、なんというか、こう・・・」
自分に挨拶をした後、先ほど騒いでいたあの三人娘に声をかけにいったメリアを目で追う。
・・・・・・敵の手法を探る為だ。・・・・・決して見とれていたとか、そういう訳ではない。・・・断じて、違う・・・・違うといったら、違う。
「魚の形をしているでしょう?これは、持ちやすくするための工夫なんです。このエラが見えるでしょうか。これがこの商品の一番のポイントなのです。」
「・・・砥石なのよね?」
「そうですよ?ところでお姉様方に質問です。普段砥石で包丁を研ぐとき、大変ではありませんか?」
「・・・言われればそうねぇ・・・」
「あー分かる分かる。面倒だから鍛冶屋にいつも頼むわ。」
「そうですね。あれは重労働ですわ。」
「そんな貴女方のお役に立てるのがこの砥石なんです。見ていて下さい。」
そう言って彼女はカウンターから包丁をもって来た。
「研ぐ前の包丁を見て下さい。これを今から研ぎます。」
そう言って三人に順に包丁をまわしていくメリア。
「良ければ貴方もどうぞ?」
「あ、え、そ・・その・・いいんですか?」
ガン見していることを気付かれていたことを知り、思わず赤面してしまう。
「はい、どうぞ。・・・・・それでは皆さん、いきますよ?」
・・・そうして、メリアの砥石のデモンストレーションが始まった。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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