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3.嵐の夜に愛を知り、恋に目覚め
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神野が着ている半袖のスクラブから伸びる腕に浮かぶ血管や、ハンドルを握る手のごつごつした感じが男らしく、なんとも色っぽい。
雨で川のようになっている道を運転する、神野の横顔に視線を奪われた。
濡れて肌に張り付く黒髪、伝う水滴。
真剣なまなざしは、カルテ庫に居る時とは別人のように張り詰めている。
いけないものを見てしまった気がして焦り正面を向けば、嵐を切り裂くように防災無線のサイレンが鳴り響く。
先にある橋が増水で通行止めになったことを繰り返され、息を呑んだ。
「参ったな。朱理の家は橋の先だろう」
「そうです」
病院に戻ろうとしたが、すぐ、そちら側も道路冠水だという情報が入り往生する。
どこかでやり過ごさなければならないが、田舎のため、コンビニもネットカフェもない。
必死になって考え、近くにビジネスホテルがあったことを思い出す。
「あの、あれだったら、ここから左にあるビジネスホテルに泊まりますから」
「この状況だ。帰宅難民は俺たち以外にも居る。今から部屋は取れないだろう」
「フロントで朝まで待たせてもらいますから、大丈夫です」
神野が、疑わしげに投げた視線をあわててそらす。
なにかおかしいことがあるのかと自分を見た瞬間、頭が沸騰しそうに熱を持った。
濡れたブラウスが肌に張り付いて、下着が浮き出ている。
急いで膝にあったバッグを胸に抱きしめて隠すと、神野が咳払いをした。
「ともかく、その格好だと風邪を引く」
「風邪ぐらい、構いませんから……」
恥ずかしさで声が弱くなってしまう。
緊急事態だからしょうがないと心を落ち着かせようにも、無理がある。
「風邪を引かせたくない。俺は朱理に休まれるのは嫌だ」
「神野先生が責任を感じられることじゃないです」
「責任じゃない。……カルテ庫に行っても朱理が居なくて、その間、熱で苦しんでるかと思うだけでやりきれない」
どういう意味なのだろう。
まるで朱理と会うためにカルテ庫に来ている風な発言に、耳を疑う。
神野に尋ねようにも、彼は固く唇を結んだまま前を見つめるだけで表情が消えている。
路肩に停めた車の中に、ハザードランプとワイパーの音だけが響く。
雨脚は一向に弱まらず、信号も点滅状態に変わっていた。
濡れた肌が冷え、朱理が身を震わせたのを切っ掛けにして神野が口を開く。
「俺の家に行く」
「え……」
「ルート的にそこしかない。道路の水量も増えているしな」
感情の読めない固い声で告げられ、朱理はただうなずくしかできなかった。
雨で川のようになっている道を運転する、神野の横顔に視線を奪われた。
濡れて肌に張り付く黒髪、伝う水滴。
真剣なまなざしは、カルテ庫に居る時とは別人のように張り詰めている。
いけないものを見てしまった気がして焦り正面を向けば、嵐を切り裂くように防災無線のサイレンが鳴り響く。
先にある橋が増水で通行止めになったことを繰り返され、息を呑んだ。
「参ったな。朱理の家は橋の先だろう」
「そうです」
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なにかおかしいことがあるのかと自分を見た瞬間、頭が沸騰しそうに熱を持った。
濡れたブラウスが肌に張り付いて、下着が浮き出ている。
急いで膝にあったバッグを胸に抱きしめて隠すと、神野が咳払いをした。
「ともかく、その格好だと風邪を引く」
「風邪ぐらい、構いませんから……」
恥ずかしさで声が弱くなってしまう。
緊急事態だからしょうがないと心を落ち着かせようにも、無理がある。
「風邪を引かせたくない。俺は朱理に休まれるのは嫌だ」
「神野先生が責任を感じられることじゃないです」
「責任じゃない。……カルテ庫に行っても朱理が居なくて、その間、熱で苦しんでるかと思うだけでやりきれない」
どういう意味なのだろう。
まるで朱理と会うためにカルテ庫に来ている風な発言に、耳を疑う。
神野に尋ねようにも、彼は固く唇を結んだまま前を見つめるだけで表情が消えている。
路肩に停めた車の中に、ハザードランプとワイパーの音だけが響く。
雨脚は一向に弱まらず、信号も点滅状態に変わっていた。
濡れた肌が冷え、朱理が身を震わせたのを切っ掛けにして神野が口を開く。
「俺の家に行く」
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