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おわり
しおりを挟む「これ、ちょっと持ってくれよ」
ベンチに座った少年に、アスカは日記を指さして言った。少年はとても嫌そうな顔をしながらも、それに従う。彼らの目には、その日記が禍々しいものに覆われた何かとして見えていた。
少年が日記を持ち上げた後、1分ほど2人は何も言わずに静止していた。その後少年が無言で日記の表紙を捲った。「これが例のやつだよな」何かを書いた筆圧の跡だけが残っているが、中は全て白紙だった。
「これ、あの子最初に見かけたときから持ってたよ」
「知ってる。本人は君に見られた日から数日後に見つけたと言ってるが」
「だいぶ時間を掛けて洗脳したのな」
裏表紙に書かれた「村田サツキ」という、子供の拙い筆跡で書かれた名前だけが手がかりだった。これを書いた者の名前だ。
「あの子の母親が曲者だったんだ。あの子もだが、霊感があったんだろうな」
「ずっと母親が盾になっていたってことか」少年は日記を閉じた。これを持っていた少女の学校の生徒らから聞き込みした話では、彼女はずっとこの日記を持っていて、休み時間にはこれに話しかけていたという。一人二役で会話をするように。
アスカに日記を差し出した。彼女はあっさりとそれを手にした。
「最後は、寂しさを埋めるなら母親の方でもいいやってなったんじゃないか」
「俺もう色々と分かんなくなってきたよ」
「私もだ」
アスカは膝を組んで、日記を膝に乗せて天を仰いだ。夕暮れが終わり、もうすぐ夜が来る。とにかく、探して欲しいと言われていた日記は手に入った。謎解きまでは頼まれていない。
「しかしまぁ、自分を殺した娘のことをいつまでも守る母の霊、か」
「報われねぇな」
おわり
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