わたしの愛した世界

伏織

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十一章

11-6

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「戻りたい……父さんや母さんに会いたい」家族に戻りたい。皆で笑って暮らしたい。なんでもない人生を、ごくごく平凡に過ごしたい。


「それ、本気なの?」


背後からクロスが言った。珍しく感情的な声だ。


「君のお父さんはに何年にも渡って性的虐待を繰り返してきた人なんだよ?血のつながった実の娘に、そんなひどいことができる父親に会いたいわけ?
そんな父親をけしかけた君のクソみたいな母親に、会いたいっての?」


振り返ると、クロスは心底呆れたような、それでいて心底怒り狂っているような、激しい表情をして立っていた。目を吊り上げ、歯をむき出しにして噛み付くように


「何が見えてるのか知らないけどねえ、君の両親は君を殺したんだよ!そんな奴らにまだ情が残ってたわけ!?馬鹿なの!?」


と叫んだ。今にも私に飛びかかりそうなほどに、激しく怒り狂っているクロスだった。彼の言う通り、私の両親は私を殺した。憎むべき相手なのかもしれない。

でも私を生んでくれたのだ。最終的にすべて潰されたとはいえ、私は親に育てられて幸せだったときもあった。クロスにはわからない。彼には親が居ないから。愛情を知らないから。

どんなに私を虐げてきた相手でも、私はどうしても心から嫌うことができない。まだ私は父や母を愛している。


「ミミちゃん」


父が手を置いていた筈の右肩に、新たな感触が生まれた。柔らかくて温かいそれは、ゆっくりと私の肩から背中に移動した。

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