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第零限 生まれるべきではなかった持たざるものへ ~性的止揚~
しおりを挟む「ねえ、出会って間もない美人の女の子に身動きを封じられて、服を一枚一枚脱がされた挙句椅子へと縛り上げられてそうして、成人済みなのに生まれたままのあられもない姿でパシャパシャ羞恥写真を撮られるのって、一体どんな気分なのかしら?」
俺の目の前では、そのナルシスト的発言通りにとっても可愛らしい外見をした(自分のことをかわいいと自覚している女とかいう興奮の坩堝)、ピンクアッシュにパーマがかったセミロングの女大生が、そんなエロ漫画染みたことを、うっとりと嗜虐的な笑みを湛えながら、甘い声で囁いていた。
……………………???
そしてそんな、俺がいつもおうちで夜な夜な聞いている催眠音声みたいな嬌声の合間に、スマホの連射機能によるシュババババババ! という身の毛のよだつ様な恐ろしき音が聞こえきて、俺はこの微睡みのような目前の出来事が絶望的現実であるということを知る。
は?
上半身を異性に見られるだけでも、大学三年生にして未だ童貞のキモオタ(俺)には刺激の強すぎる経験だというに、あろうことか、このクソ大学のクソ女学生とは思えない程の尊き美貌を持つさっき出会ったばかりの見知らぬ美女に、下半身、それも、我が最愛のマイサン――つまり、男根――までもをまじまじと観察され(はい卍ィ! ちなみに俺ピンチィ!)、挙句撮影さえされてしまっているという、この、現状。異常。超常。夢想?
え、なにこれは?
そうだ、俺は今、とある有名私立大学の人気のない部室棟(密室)(二人きり)(助けて)にて、全裸で、座椅子に縛り付けられ、見知らぬ女の晒し者となっている――!!!
よって、異性に関して言えば、たぶん母親(と画面の前の無数のヒロイン)にしか見せたことのないこの俺の貴重な亀頭が只今絶賛御開帳中だぞこの野郎!!!
え、ちょっとまって、ごめん。
は?
……なんだこれは。狂いそう。抜きゲの冒頭かなにか? あうあうあ……、あ。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ頭が沸騰すりゅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううんんんんん!!!!!!
おま○んこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
というわけでまあ、総括すると、
たまげたなあ、というのが率直な所だ。
けれどそんな中、頭の片隅で、これはニーチェ的に言って『悲劇的なもの』なのではないか、なんて考えているのは、文学部哲学科とかいうキチガイ学科に所属しているキチガイ(俺)の悲しい性である。もっと有名な言葉を借りるなら、女性がペニスを見つめている時、ペニスもまた女性を見つめているのだ……?
意味不明でしたね。ごめんなさい。深淵にも謝るね。ごめんね。
ただ、ここで俺が言いたいのは、そんなわけがわからないことばかりが頭の中を駆け巡り、跳梁跋扈する程に、ぼくのこころは混乱しているということだ。
しかして、そんな極限状況の脳みそに響き渡る、くすくすと嘲るような、それでいてねっとりと諭すような、どこか天使めいた奸計な悪魔の囁き。
「ねえ、なんとか言わないと、このあなたの気色悪い写真を、考え得る最大限に最悪な方法で全世界にばらまくわよ。そうしたら、この、なっさけないあなたの愚息の最大全長が、フリー素材としてそれはもう姦しくインターネットを賑わすでしょうね。よかったじゃない、陰キャなあなたがきっとこれまでのじめじめとした人生では浴びたことのない程の強烈なスポットライトが、あなたの恥部を煌々と照らの。ふふ、どこの誰とも知らないたっくさんの人たちに愛されるおもちゃになるというのも、案外悪くないんじゃないかしら?」
目の前の美女は、激写した我が痴態を映し出したスマホのスクリーンを、これみよがしに見せつけて笑う。その人差し指は「共有」のマークに向けられて……。
そうして俺の脳裏には、様々なネットのおもちゃたちの姿が頭をよぎった。
ネットに強い弁護士、同性愛を描いたポルノビデオの男優、ハンバーガーピエロ、耳の聞こえる作曲家、号泣地方議員、禿げてない女性議員、オフゼロ……などなど。
地のひっくりかえるような寒気。
いやだ、いやだ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌
いやだって、あんなものたちの仲間入りなんて、人生終了のお知らせと同義じゃないか!
俺はそう思い、即答。
「そ、それだけはやめてくだひゃい……」
自分でも信じられんくらい情けない声が出た。
つい先週、自身の推している女性声優さんのお渡し会に参加して、そのあまりの可愛らしさに思わずどもってしまった時よりも惨めな声が。うっそだろ。
しかし、そんなキモオタ力百二十%の返答に、彼女は満足したようで。
「ふふっ、いい返事ね。褒めてあげる。じゃあ、今後あなたは私の言葉にあと三回、たった三回頷くだけで解放されるわ。わかったら、イエス、リリ様。OK?」
まるで、SMクラブの女王様みたいなことを言いだした。
あのさあ、そういうの結構性癖なので興奮してしまいそうになるから止めてくれない?(何を隠そう俺が来月購入予定のエロゲの内容がモロそんな感じなくらいだからな……)
とはいえ、あくまでそれは紳士の嗜み。
故に俺は、そうした邪な情動を必死で隠し、頷く。
「は、はい……」
「違うでしょ!!」
だが、彼女はそう言って、俺の腿の付け根辺りをヒールの踵で踏みつけた。たまひゅん。
「っ!」
「なに? その反抗的な目は? あなたが悪いのよ? 言ったでしょう、あなたに許された返事は、イエス、リリ様、ただそれだけ。次間違えたら、今度はもうほんの少し左側を思い切り踏みつけるから。覚悟することね。理解できたかしら?」
怖!
え、でもそれはつまり、僕の大事な部分が貴方様の御御足で……?
ん? それはつまり痛みを伴おうが、広義につまびらいた場合、足コ……。
――なわけねえだろ俺。落ち着け。童貞を拗らせ過ぎてこんな精子……じゃなかった生死の危機に際してまでそんな残念な思考を働かせるんじゃあない。
なあ、声豚の俺よ。俺には存在理由はないが、死ねない理由があるだろ? な? 大好きな声優さんと結婚するまでは死ねんだろうが、俺。生きろ。止まるんじゃねえぞ……。
そんな風に得意の自問自答をして、なんとかいけないリビドーとはお別れした俺は、その旨を告げる。
「い、いえす、リリ、様……」
「よくできましたー。褒めてあげるわ。えらい、えらい」
すると、彼女はその、まるで滾った時の逸物の様に軽く反る程に長い指(エロスの具現)で、俺の頭を優しく撫でた。
あ~~~
なんだこの感触。やばい。こんな異常な状況だってのに、慈愛さえ感じる位に、柔い。
やべえ、この状況でそんな気持ちいことされたら……。
ビンビンビンビン。
なんて、危険思想との闘争に精神を遊ばせていると。
「ふふ、いいわ。いいわね、その、だらしのない、表・情♡。やっぱりあなたは私の奴隷となるにふさわしいクズだわ……。ふふ、ふふふ」
歪んだ笑みが目の前に佇んでいた。その背徳の破顔は凄まじくエロティシズム……。
……て、え、てか、なに今? 奴隷って言った? この人、今、奴隷って言った?!
「ねえ、私はかわいいわよね?」
戸惑う脳裏に蠕動する甘美な蠱惑。
「え……?」
「かわいい、わよ、ねっ!」
色んな意味で硬直している俺に対し、声を荒げた彼女は。
清純な女の子が触ってはいけないような場所に、清純な女の子がしてはいけないような悪辣な暴力を、清純な女の子には凡そ発揮し得ぬであろう躊躇いのなさで、振るった。
「あぎぇいぇいぇうえあ!!!」
そうして、ぼくのそんげんは、ずたずたになった。
人間の尊厳なんて、そんな、ささいなものだ(悟り)。
いたい。いたいよお、ママ、ママアアアアアアアアアアアーーーーーー!―!!(錯乱)
躁鬱かな?
「ねえ、どうかしら、かわいいわよね? 返事は?」
そんなボロボロの心に映る、優れた顔面。放たれるやわらかい言葉。
おぎゃりこそしなかったが、ばぶみを感じるには十分な限界状況だった。
というか、この人に逆らってはいけないという意識を、生殖器レベルで植え付けられた。
答えなど、もはや一つしかない。
「ひ、い、いえす、リリ様……」
「うんうん。よくできたわね。偉いわ。その調子よ。よしよし」
患部に暖かく染み渡るように安らかな声音。再び撫でられる頭頂部。羽毛の様な掌。
肯定。ただ肯定だけが俺を包む。こんなクズを、彼女は一途に肯定してくれていた。
いつ以来だろう。こんなにも慈愛に満ちた手で頭を撫でられたのは。或いは、人に褒められるという単純ゆえに明確な快を感じたのも。
安らかだ。ああ、なんと安らかなのか。
耽美。
おぎゃばぶ、ばぶー。
恍惚とした頭は、思考を止め。いつしかの在りし日へと、遡行していく。
極限状況での飴と鞭。異様な緩急。山谷。それも、信じられぬくらいの美人による。
そんな、この二十年余りの人生で一度も経験したことのない行き過ぎた淫行が、この心身を異常たらしめずにはいられない。
俺は、この目の前のヤバイ女に、完膚無きまで、手玉に取られてしまっていた。
もはや忘我状態の俺に、彼女は言う。
「というわけで、よかったわね。とうとう最後の質問よ」
そして、勝手にそのへんに放り投げられていた俺のズボンのポケットから、我が物顔で俺の財布を取り出し、「うっわ、予想はしてたけど……。貧相な中身ね……」みたいな失礼なことをぼやき。
しかも、その中に入っていた俺の学生証を「ふーん」とかちょっと淫靡な感じで嘆息しながらつまみ上げ、こちらへと掲げる。
そして彼女はこちらの目を、まるで、抱きしめて離さないとでも言うかのように、ぎゅっと見つめ、一時も視線を離すことなく、つらつらと語りだす。
「あなた――つまり法盟大学文学部哲学科三年B組、出席番号、16B0045番、倉本創は、私が今年度より新設したサークルであり、私が会長を務めるサークルであるエディプスコンプレックス研究会、略してエディ研に入部したいと思っており、且つ、そのための必要前提条件である私への忠誠を今ここに誓うと宣言する、この文言に、相違ないかしら?」
はっきり言って、目の前のキチガイが何を言っているのかはわけがわからなかったが、俺はこの異常事態から早く解放されたいという欲求と、この非日常への酔い、そしてなによりも、彼女の信じられんくらいの美貌に見蕩れ、それ故、頷いた。
「い、イエス、リリ様!」
頷いて、しまった。
「うーんやれば出来るじゃない! 不出来ながら褒めて使わすわ、創! えらいわね」
彼女はそう言ってまた俺の頭を撫でた。心地良い。つーか顔が近い。近過ぎる。
異性とのリアルでの接近が、声優さんのお渡し会くらいしかないこのキモオタ(俺)には、過度な性。その、接近。接触。接着。こんなん頭おかしなるで?
あああーーーー! しかも母様以外の異性に名前で呼ばれたあああああああああ!!!
この圧倒的包容力と開放感と目の前で笑う彼女の美しさに、思わずぼーっとしてしまいそうにもなったり。
だが、ゆめ忘れるな。俺には、心に決めた人(某人気女性声優さん)がいるのだ。我ながら限界過ぎて反吐が出るが、惚れたものは仕方がない。
俺は憧れのあの人のお声を思い浮かべながら、目の前の女に見蕩れてしまっている己の愚劣さを必死で自己批判し、おずおずと口を開いた。
「で、ではこの拘束を解いてもらっても……?」
「いいわよ。じゃあ復唱して」
意外にも、彼女はあっさりと快諾。けれど、その横長の目はやはり妖しく。
「私は」「私は」
「雨宮リリ様を」「雨宮リリ様を」
「愛しています」「愛しています」
「故に」「故に」
「決して」「決して」
「裏切りません」「裏切りません」
謎美人の綺麗な声と、コミュ症特有の掠れ声で行われる、かえるのうた染みた児戯。
「よくできましたー」「よくできまし」
しかし、頭を空にし、自由の為、従順な犬を演じていると、ガンッ! と頭に走る衝撃。
なんと、まるで普段よく読んでいるエロ漫画のそれのような感じに、俺は彼女のすらっと伸びた足で頭を思い切り踏みつけられていた。それこそ彼女の犬かなにかのように。
「ねえ、あなた、バカ? そこは、いらない。それともなにかしら、私を馬鹿にしてるの? へえ、下僕風情が大きく出たわねえ……」
そしてここで、みなさんにご報告があります。
いつも見守ってくださっている皆様、いつも僕を励ましてくれているキャラクターやボイスアクター、そして親類の皆様、ありがとうございます。皆様に支えられ、倉本は、おかげさまで、推し事及びキモオタ、声豚を続けることができております。そして本日、私事ではございますが、そんな大好きな皆々様方に、ご報告がございます。なんと、つい今し方、素敵なご縁に恵まれ、今日という日に、尊き体験をこの身に刻ませて頂きました。
……その体験とは、ずばり、パンチラです!!!!
もう一度言おう、パンチラです!!!!!!!
そうなのだ、パンツなのだ。パンツが、パンツが、あの、パンツがぼくの目の前に!!!
ぼくを踏みつける細く長い美麗な御御足、そのふくらはぎ、ふともも。それら眼福を乗り超えた視線の先に、その存在を強く主張するまたとなき守護者。プッシーキーパー。
スーパーの衣服売り場で見たことのある、なんかチラッと見るだけで気まずい気分になるあれではなく、液晶画面上のそれでもなく、三次元の、生きた人間、それも異性(しかも顔面強者)がはいているそれが!
我が手の届くくらいの距離で! なんともまあ無防備に! 露に!
ああああああああああああああああああああああああ!!!!!
パンツううううううううううううううううううううううううう!!!!!!
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 男の夢ええええええええええええ!!!
と、興奮も束の間。
「ははっ、ねえ、そんなに嬉しいんだ? 初めて見る女の子のパンツってどう? こういう柄はぁ、未だに女を知らないドウテイくんには刺激が強すぎたかしら?」
彼女はそう言って、パタッとそのスカートの裾を押さえた。いやらしく口角を吊り上げながら。
「あ……」
陽が雲で覆われるかのようにその姿を隠されてしまった、いと尊きもの。莫大なる喪失感により、俺は思わず、声にならない声を漏らしていた。
この穴を、何で埋めればいい?
「そんな残念そうな顔してないでさあ、感想を教えて欲しいんだけど?」
彼女は俺の頭上から右足を下ろしながら、そんなわけのわからんことをのたまう。
つーかなに、この人、意図的に俺にパンツ見せてたの? 今更だけど痴女すぎひん? は? いーやこんなん拡大位尺したら性的合意やぞ? それはつまりセックスなのでは?
などと淫らな目の前の美人の奇行に頭を悩ませていると。
「なんとか言いなさいよ!」
と、こちらに向かってかがみ寄り詰め寄られたので。
オタク特有の語彙力の無い感想をお見舞いするとしようか。(つーかそれが限界)(ちなみにブツの色は黒で、デザインはドエロでした。)
「……よ、よかったです」
「キモっ」
「……」
泣いてもいいかな。。。
同年代の女子にこういうこと言われるのってさ、一番心に来るんだ。
「あはっ、傷付いた?」
当たり前だよなあ? てかあんたよくそんなことを笑顔で聞けるな……。
「あなたはな、ん、むゆ!」
そう思い口を開いたわけだが、俺の唇が彼女の人差し指に奪われ、無理くり閉じさせられた。それと、女の子の指の柔らかさに愕然とした(童貞並み感)。
そして彼女は一言。
「リリ様」
そして従うぼき。
「り、リリ様は、なんでこんなひどいこと平然とやってのけやがるのですか?」
「私が、かわいいからよ?」
きっぱりと、にっこり笑顔で、彼女はそう、言い切った。
「……。」
ええと、まあ、はい、ええそうですね、なんというか……うわあ……。
……とはいえ、実際この女、顔はかわいいし、かわいいは正義なのは俺も同意するところなので、俺はその言葉に納得するほかないんだけど。
が、こんなようなことを堂々と言っちゃうような女って、性格がかわいくないというか、人格がうんこというか、はっきり言って、ブスである。ドブスである。でも、でもよ? 誠に遺憾なことにさ、そういうメンタルブス、俺、結構タイプなんだよなあ……。つーか二次だと性癖ガン刺さりまである(自分の顔面強度自覚してる女のよさみーーーーー!!!)。
だいたい、どう見ても可愛い女が他の中の下女から可愛いと言われ「えー○○ちゃんの方がかわいいよー」とか言ってる日本女社会の醜さったらないので、全女性よ、かくあれ。
「キモっ」
「え、口に出してた!?」
突如吐かれた心無い言葉に、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
それに対し、彼女は蔑むような目線と声音で罵倒。
「はあ、やっぱ、キモいこと考えてたのね。キモ。あなたの顔、ただでさえ根暗っぽいのに、さっきのあなたの顔、ゴミみたいだったから。端的に言って顔付きがキモかったの」
つらい。誹謗中傷がエグい。
かわいい子がこちらの心の内を読んだ際に、「エスパーですから」と言って笑いかけてくれる現実なんてないんやなって。超高校級のアイドルなんて、幻想なんやなって。美人から冷めた声で顔面否定される現実なんて見たくなかった。三次は糞、はっきりわかんだね。
「ゴミみたいって……、人間の顔の形容に使って良い言葉だとは思えないのですがそれは」
「そうね。でもあなたはこのきったないゴミダメの中でも、まだましな方のゴミクズよ」
「へ?」
「この超絶かわいいリリ様が見出してあげたんだから、当然じゃないかしら?」
「それはどうゆう?」
「大丈夫。あなたはなにも考えなくていい。ただ私の奴隷に徹していればいいの。それだけであなたの大学生活は、これまでの灰色から打って変わってバラ色に変化するわ」
「……」
論理の飛躍とわけのわからぬ電波の数々に、俺は二の句を告げず、閉口。
「納得いかない? じゃあ手始めに、こんなのはどうかしら?」
すると、彼女は急に、縛られたままの俺の両手を握り、あまつさえアイドルが握手会でもするかのように、純な瞳でこの俺のゴミみたいな瞳をぎゅっと見つめた。
至近に迫る綺麗な顔、手から伝わる温もり、躱そうと逸らしても終始交わる視線。
そんなことをされれば、童貞なんてちょろいもので。現金なことに、先程までにされた卑劣な行いなど忘れ、ドギマギとしてしまう不甲斐なさ。顔は熱くなり、非現実的な心地に全身の感覚は薄れて。妙な浮遊感さえ感じ、理性は沸騰。心は制御下を離れた。
麻痺する時間感覚。
そんな永遠のような一瞬を、眼前の彼女の唇が、裂き砕く。
そして、嘘のように男の精神に媚びた声が、この動悸のイカれた胸を、射抜いた。
「ツクル――大好き!」
ずきゅん。
俺の大学生活は、こうしておかしな方向に向かい始めたのだった。
さて、ところでそもそもなぜこんな男子中学生の頭の中でも起こらないような馬鹿げた桃色案件が起きたのか、時は一週間前、つまり四月三日、ほーりーしっとな新歓期間の真っ只中へ巻き戻る。
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