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幕間 心凍て尽かせ貴方を愛す
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近頃、アタシ等のシマを荒らしてる奴がいると、専らの噂だった。
それは、どうもアクサエルのクズ共の手によるものだとも。神の名を騙って、クスリをばら撒いていやがるらしい。なんともまあ、救いようのないゴミだ。地獄に堕ちろ、カス。
そして、その主犯がとある司教であるというタレコミと共に、そいつの討伐依頼が、アイツから持ち込まれた。
曰く、「僕達が倒してしまっても構わないとはいえ、それだと君達がいつまでも一人立ちできないだろう? 時には突き放すのも親心らしいぜ? なかなかにロックだろ?」
相変わらず飄々としていてムカつく野郎だが、利害は一致している。断る理由はなかった。そもそも、てめえに言われなくてもそんなふざけた野郎はぶっ殺してたとこだしな。
まあ、結果から言えば司教の部下のガキ捕まえる為に、奴等の世話になっちまったわけだが、あれはバカエドの招いた失態だ。アタシの知ったこっちゃない。大体、アタシだけでどうにかなるところを、あの目立ちたがり四人衆と愛人共が勝手についてきただけだ。まったく、そうやってあのバカを甘やかすからつけあがるんだ。まあ、あいつにどこかほっとけない雰囲気みてーなものが漂ってるのは認めるが、てめーらみんなで構ってちゃどっちがアホだかわかったもんじゃねえだろう。その上、散々迷惑被ったガキを保護したいとかいいだしたバカの言い分まで受け入れさえしちまう。なんなんだアタシは? あのバカ以上のバカなのか?
……話が逸れたな。えーと、ああ、クソ司教についてか。
調べたところ、かの司教は読心、及び、信徒や救いを求める者の身体へと乗り移る、或いは傀儡とする奇跡を所持しており、また、その信仰の在る限り霊魂が不滅のものとなる恩寵まで有していた。加えて、その槍の腕前は大麗一の剣術の家系、柳生と肩を並べるまでと評されている。
また、これは定かではないが、己の肉体を、別の土地へと転移させることすら奴は可能であるとの噂がある。しかし、それは単に、彼の尋常ならざる神速の歩法がそう錯覚させただけなのではないか? という声も多い。ああ、そうだな。アタシだってそう思いたいさ。だが、その転移を裏付ける証拠は現にいくらでもあるんだ。だからアタシ達にとって、そうした楽観は許されざる選択肢だった。
以上を踏まえて、あのバカエドが立てた作戦はこうだ。
「俺があのクソ野郎を閉じ込めて、注意を引く。そんでアンナの下までおびき出す。そこですかさずアンナがズドンだ。イカすだろ?」
やっぱりあいつはバカエドだった。
なにもイカさねーっての。イカれてるだけだろうが、タコ!
だからもちろんアイツには、げんこつをくれてやった。スカッとしたぜ。
だがまあ、どうやらその作戦は、成功したみたいだ。これを成功と呼んでいいのか、怪しいとこだけどね。少なくとも、こんなもの、アタシにとっては大失敗だよ。
「獄氷・無間――ウヴァーラ」
アタシは最愛の男――いや、いまはきっとお前じゃないのだろう。だからこそ奴は、作戦に気付かず、のこのこと転移なんか使ってやってきた――が血を流している真後ろで、そう呟いた。あいつが戦ってる間に、ずっと練っていた宿業を。世界を凍結させる語句を。
アルマの季節が、移り変わった。
四季なんて消えたこの街に、極寒の、地の果ての如き厳冬がやってくる。
目の前には、槍を握った司教。
そして。
奴の体は、みるみる内に、その動きを止めていき、一秒と立たず完全に硬直した。
なぜならば、その体は、もはや生命活動を終え、その身よりも二回りは大きな氷柱に包まれ朽ちたから。いや、死すことさえせず、奴は止まったのだ。
それだけが、奴の肉体を殺すことなく霊魂を拘束する、唯一の策だった。
見ろよ、バカエド。キッショイ聖職者のクールな氷像の出来上がりだ。
ああ、クソ! 違うだろ。
たかがビショップごときにキング食わせて、なにがクイーンだ。
クソが!
それは、どうもアクサエルのクズ共の手によるものだとも。神の名を騙って、クスリをばら撒いていやがるらしい。なんともまあ、救いようのないゴミだ。地獄に堕ちろ、カス。
そして、その主犯がとある司教であるというタレコミと共に、そいつの討伐依頼が、アイツから持ち込まれた。
曰く、「僕達が倒してしまっても構わないとはいえ、それだと君達がいつまでも一人立ちできないだろう? 時には突き放すのも親心らしいぜ? なかなかにロックだろ?」
相変わらず飄々としていてムカつく野郎だが、利害は一致している。断る理由はなかった。そもそも、てめえに言われなくてもそんなふざけた野郎はぶっ殺してたとこだしな。
まあ、結果から言えば司教の部下のガキ捕まえる為に、奴等の世話になっちまったわけだが、あれはバカエドの招いた失態だ。アタシの知ったこっちゃない。大体、アタシだけでどうにかなるところを、あの目立ちたがり四人衆と愛人共が勝手についてきただけだ。まったく、そうやってあのバカを甘やかすからつけあがるんだ。まあ、あいつにどこかほっとけない雰囲気みてーなものが漂ってるのは認めるが、てめーらみんなで構ってちゃどっちがアホだかわかったもんじゃねえだろう。その上、散々迷惑被ったガキを保護したいとかいいだしたバカの言い分まで受け入れさえしちまう。なんなんだアタシは? あのバカ以上のバカなのか?
……話が逸れたな。えーと、ああ、クソ司教についてか。
調べたところ、かの司教は読心、及び、信徒や救いを求める者の身体へと乗り移る、或いは傀儡とする奇跡を所持しており、また、その信仰の在る限り霊魂が不滅のものとなる恩寵まで有していた。加えて、その槍の腕前は大麗一の剣術の家系、柳生と肩を並べるまでと評されている。
また、これは定かではないが、己の肉体を、別の土地へと転移させることすら奴は可能であるとの噂がある。しかし、それは単に、彼の尋常ならざる神速の歩法がそう錯覚させただけなのではないか? という声も多い。ああ、そうだな。アタシだってそう思いたいさ。だが、その転移を裏付ける証拠は現にいくらでもあるんだ。だからアタシ達にとって、そうした楽観は許されざる選択肢だった。
以上を踏まえて、あのバカエドが立てた作戦はこうだ。
「俺があのクソ野郎を閉じ込めて、注意を引く。そんでアンナの下までおびき出す。そこですかさずアンナがズドンだ。イカすだろ?」
やっぱりあいつはバカエドだった。
なにもイカさねーっての。イカれてるだけだろうが、タコ!
だからもちろんアイツには、げんこつをくれてやった。スカッとしたぜ。
だがまあ、どうやらその作戦は、成功したみたいだ。これを成功と呼んでいいのか、怪しいとこだけどね。少なくとも、こんなもの、アタシにとっては大失敗だよ。
「獄氷・無間――ウヴァーラ」
アタシは最愛の男――いや、いまはきっとお前じゃないのだろう。だからこそ奴は、作戦に気付かず、のこのこと転移なんか使ってやってきた――が血を流している真後ろで、そう呟いた。あいつが戦ってる間に、ずっと練っていた宿業を。世界を凍結させる語句を。
アルマの季節が、移り変わった。
四季なんて消えたこの街に、極寒の、地の果ての如き厳冬がやってくる。
目の前には、槍を握った司教。
そして。
奴の体は、みるみる内に、その動きを止めていき、一秒と立たず完全に硬直した。
なぜならば、その体は、もはや生命活動を終え、その身よりも二回りは大きな氷柱に包まれ朽ちたから。いや、死すことさえせず、奴は止まったのだ。
それだけが、奴の肉体を殺すことなく霊魂を拘束する、唯一の策だった。
見ろよ、バカエド。キッショイ聖職者のクールな氷像の出来上がりだ。
ああ、クソ! 違うだろ。
たかがビショップごときにキング食わせて、なにがクイーンだ。
クソが!
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