Hidden Demon Tribe story

佐野三虎(ミコ)

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プロローグ

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日本の某所
とある河原沿いの小道で一人の男が大きなリュックを背負い捨てられたであろうスクーターの解体をしていた。
「こんだけ歩いてこの一台、ガラクタ集めも楽じゃないな。」
そんなことを言っているのは佐々木翔太という、ガラクタを集めて売って生計を立てる、所謂『ガラクタ売り』をしている男だ。

「はぁ、今日はもう疲れた、エンジンおろして書類があるかだけ確認して撤収しよう。」

そう言うと男は工具が入ってるであろう袋をあさりながら車体を探っていた。

「エンジンハンガーとサスのナットは何番だ~」

慣れた様子でラチェットを取り出し、目にもとまらぬ速さでエンジンをおろしてしまう、

「書類は...」

「あるじゃん!ラッキー♪」

男はご機嫌な様子で大きなリュックに15キログラムは優にあるであろうエンジンをタイヤがついたまましまった。大きなリュックは背負われると肩紐を縫い付けてある糸をむき出しにし、はちきれんばかりであった。
それでも男は眉間にしわ一本寄せず、楽々な様子で帰路についた。

その河原がある町はインフラが充実しており駅の周りだけどんどん栄え、そこから少し離れると限界集落が広がるような街だった、現在地の河原は比較的駅に近く多くの人が行き来する場所だった。
こんな土地柄だからか、都会かぶれの芋感が抜けきらない不良が限界集落から駅の方まで繰り出してくる。

「おう、アンちゃんそんなでかい荷物もってどこ行くのよ?」

不良が翔太に絡んでくる、

「しかとすんなやボケ」

「とりあえず財布だせや」

典型的なカツアゲだ、あまり慣れていないのか声が若干震えている。
一人ではない、周りのやつらにいい顔しようとでもして無理をしているのだろう。
翔太はそんなことは気にも留めず、何事もなかったようにその場去ろうとする。
翔太があまりに堂々と無視をしてくるからか、焦った不良は逃がすまいとチタンメッキ加工がされたおもちゃみたいなダサいバタフライナイフを取り出した。

「んんなめてんのかコラァ!」

「刺すぞ!」

そんな直球な脅しに翔太は足を止めこう言った。

「金は一銭も持ってない」

「財布も持っていない」

「信用ができないならボディチェックしてくれてもかまわない」

「それとも刺すか?」

不良はだいぶうろたえている、半端な気持ちでカツアゲをしていた彼はまさかこんなことになるなんて思ってもいなかっただろう、ボディチェックの仕方なんてわかるわけがない、不良はとっさに言い放った。
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