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「学院長!!いきなりシャルが神聖国に連れて行かれたのですか?」
学院長はいきなり席を立つと、いつも使っているだろう大きな机を回り込んで、ノエルの前まで足を運んだ。学院長が背にしている窓から光が差し込んでおり彼女の赤い目がより一層濃くなっているがわかる。
「君も知っているだろう。シャルル君が〖聖女〗に選ばれたことを」
そう、僕がシャルルと別れて次の日に神託が下されことを、だがそれは、信託されてまだ一日も経たないうちにシャルルは神聖国に連れて行かれてしまっている。
「いくら何でも、おかしすぎます!」
「駄々をごねるな。私も抗議はしたが連れて行かれてしまった。今更どうしようもできない。」
「ッ!」
学院長にいくら抗議して何にもならないとしり、学院室から出ようとすると。
「待て、追いかけてはだめだぞ」
「何でですか?」
「君も分かっているだろう。神託で〖聖女〗が選ばれた理由を」
「魔神の復活…」
「そうだ。今君が彼女の元に行っても門前払いされるだけだ。今はこの世界の危機だ、〖聖女〗に選ばれたのが偶然に彼女だっただけの話だ。」
「だったら、シャルルが危険な目に遭うことじゃないですか!」
「今はどうしようもない。機会を待て」
「二度目だが、後を追いかけるのはよすんだ。君が彼女に辛い思いをさせたくなければな」
最後の警告と言わんばかりに言った学院長の声は背に学院室の扉をくぐる。
早足に学院の階段を降り、一刻も早く学院から出ようとする。なにも考えることができない。
無我夢中に外に出て、走り続けた。どこを目指すかも決めずに。
何時間走り続けたのだろうかわからない。辺りは日が落ちようとしている。
「ここは.....」
シャルルと星を見に行った場所に来てしまったらしい。そこから上へ目指していくと、空を見上げている人物が居るのに気づいた。
「おい少年、何辛気くさい顔をしているんだ」
声をかけられ驚いて顔を上げるとそこには、カーボーイが被っている帽子とマントを羽織っている男の顔があった。男はニコニコしている。
自分より年齢は高く、茶色と黒の間ぐらいの髪の色。鋭い目つきはどこかの不良を連想させるが、笑っていると何処かのナイスガイに見えるのが不思議だ。
どこかで見たような既視感が襲ってくる。なにか最近、大切なことを教えてくれたような。
いくら思い出そうとしても思い出せない。
「おじさんは何処かで会ったことありましたか?」
「おい、おじさんってまだ二十代だからな。で、なんかあったのかい少年」
何があったのか聞かれても、見ず知らずの人に話す気が起こらない。
「おじさんには、関係ないです。」
「なんども言うがおじさんじゃないお兄さんと呼べ。そんな顔してるとシャルルちゃんが悲しむぞ。」
男から出るはずもない言葉が放たれ、警戒の体勢に入る。
「おいおい、別に何もしねぇーよ」
「なぜ、シャルルを知っている?」
「落ち着けよ、まずは少年のはなしを聞かせてくれ。話はそれからだ。」
「なるほどなるほど、少年はシャルルちゃんが連れて行かれて、学院長に抗議したが聞いてもらえず、ここまで逃げてきたわけか。」
へらへらした表情で、男はこちらを覗き込んできた。
「逃げてません.....」
「そんな顔しても、説得力はないね~」
ノエルは自分の表情を顧みた。
「で、少年はシャルルちゃんの元へ向かうのかい?」
「当たり前です。」
すると、へらへらした表情から男は真剣な表情になる声のトーンが下がった。
「止めた方がいい、いや彼女の事はあきらめた方がいい。神聖国が彼女を手放すはずがない。大昔の文献にあったいるかいないかわからない存在が神託により、選択されたのが彼女、《聖女》だ。神聖国のお役人らは《聖女》が現れたことであらゆるメリットが入る。それに彼女を連れ戻そうとしても、魔神に対抗する戦力が消えてこの大陸は破滅の一歩を歩むことになる。」
「それでも、諦めることなんてできません。」
「少年が彼女のもとに行っても、殺されるか、彼女を自由自在に動かせる材料になる。今の力では国と戦うことさえできない。それに、知っているだろう。彼女は優しすぎることを、少年が捕まれば、彼女は神聖国の要求をのまざる得ない、いや喜んで要求を呑むだろう。どんな無茶なことや、彼女の容姿は美しいからよこしまな事を抱くものいる。国というものは君が持っているほど底の見えないくらいに黒いものだ。それでも、少年は行くのかい?」
「僕は、じっとこのままでいたくない。シャルが危険な目に遭っているのに何もしないなんてできない。」
男はノエルの言葉を聞き、瞳を閉じて諦めたように。
「俺は君を彼女に会わせることができる。いや、彼女の元に連れて行くことができる。」
「本当ですか!!」
「俺のお願いを聞いてくればな。」
「聞きますどんなことでも」
男がなぜシャルルの事を知っているのか、合わせることができるのも考えることができなかった。
「そうか、後悔するなよ」
ノエルに聞こえない声で男は言葉を放った。
ーー会ってしまえば最後君は大切な人を失う未来しかない。過去に囚われ何もかも失う。後悔をし続ける運命になることを。
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学院長はいきなり席を立つと、いつも使っているだろう大きな机を回り込んで、ノエルの前まで足を運んだ。学院長が背にしている窓から光が差し込んでおり彼女の赤い目がより一層濃くなっているがわかる。
「君も知っているだろう。シャルル君が〖聖女〗に選ばれたことを」
そう、僕がシャルルと別れて次の日に神託が下されことを、だがそれは、信託されてまだ一日も経たないうちにシャルルは神聖国に連れて行かれてしまっている。
「いくら何でも、おかしすぎます!」
「駄々をごねるな。私も抗議はしたが連れて行かれてしまった。今更どうしようもできない。」
「ッ!」
学院長にいくら抗議して何にもならないとしり、学院室から出ようとすると。
「待て、追いかけてはだめだぞ」
「何でですか?」
「君も分かっているだろう。神託で〖聖女〗が選ばれた理由を」
「魔神の復活…」
「そうだ。今君が彼女の元に行っても門前払いされるだけだ。今はこの世界の危機だ、〖聖女〗に選ばれたのが偶然に彼女だっただけの話だ。」
「だったら、シャルルが危険な目に遭うことじゃないですか!」
「今はどうしようもない。機会を待て」
「二度目だが、後を追いかけるのはよすんだ。君が彼女に辛い思いをさせたくなければな」
最後の警告と言わんばかりに言った学院長の声は背に学院室の扉をくぐる。
早足に学院の階段を降り、一刻も早く学院から出ようとする。なにも考えることができない。
無我夢中に外に出て、走り続けた。どこを目指すかも決めずに。
何時間走り続けたのだろうかわからない。辺りは日が落ちようとしている。
「ここは.....」
シャルルと星を見に行った場所に来てしまったらしい。そこから上へ目指していくと、空を見上げている人物が居るのに気づいた。
「おい少年、何辛気くさい顔をしているんだ」
声をかけられ驚いて顔を上げるとそこには、カーボーイが被っている帽子とマントを羽織っている男の顔があった。男はニコニコしている。
自分より年齢は高く、茶色と黒の間ぐらいの髪の色。鋭い目つきはどこかの不良を連想させるが、笑っていると何処かのナイスガイに見えるのが不思議だ。
どこかで見たような既視感が襲ってくる。なにか最近、大切なことを教えてくれたような。
いくら思い出そうとしても思い出せない。
「おじさんは何処かで会ったことありましたか?」
「おい、おじさんってまだ二十代だからな。で、なんかあったのかい少年」
何があったのか聞かれても、見ず知らずの人に話す気が起こらない。
「おじさんには、関係ないです。」
「なんども言うがおじさんじゃないお兄さんと呼べ。そんな顔してるとシャルルちゃんが悲しむぞ。」
男から出るはずもない言葉が放たれ、警戒の体勢に入る。
「おいおい、別に何もしねぇーよ」
「なぜ、シャルルを知っている?」
「落ち着けよ、まずは少年のはなしを聞かせてくれ。話はそれからだ。」
「なるほどなるほど、少年はシャルルちゃんが連れて行かれて、学院長に抗議したが聞いてもらえず、ここまで逃げてきたわけか。」
へらへらした表情で、男はこちらを覗き込んできた。
「逃げてません.....」
「そんな顔しても、説得力はないね~」
ノエルは自分の表情を顧みた。
「で、少年はシャルルちゃんの元へ向かうのかい?」
「当たり前です。」
すると、へらへらした表情から男は真剣な表情になる声のトーンが下がった。
「止めた方がいい、いや彼女の事はあきらめた方がいい。神聖国が彼女を手放すはずがない。大昔の文献にあったいるかいないかわからない存在が神託により、選択されたのが彼女、《聖女》だ。神聖国のお役人らは《聖女》が現れたことであらゆるメリットが入る。それに彼女を連れ戻そうとしても、魔神に対抗する戦力が消えてこの大陸は破滅の一歩を歩むことになる。」
「それでも、諦めることなんてできません。」
「少年が彼女のもとに行っても、殺されるか、彼女を自由自在に動かせる材料になる。今の力では国と戦うことさえできない。それに、知っているだろう。彼女は優しすぎることを、少年が捕まれば、彼女は神聖国の要求をのまざる得ない、いや喜んで要求を呑むだろう。どんな無茶なことや、彼女の容姿は美しいからよこしまな事を抱くものいる。国というものは君が持っているほど底の見えないくらいに黒いものだ。それでも、少年は行くのかい?」
「僕は、じっとこのままでいたくない。シャルが危険な目に遭っているのに何もしないなんてできない。」
男はノエルの言葉を聞き、瞳を閉じて諦めたように。
「俺は君を彼女に会わせることができる。いや、彼女の元に連れて行くことができる。」
「本当ですか!!」
「俺のお願いを聞いてくればな。」
「聞きますどんなことでも」
男がなぜシャルルの事を知っているのか、合わせることができるのも考えることができなかった。
「そうか、後悔するなよ」
ノエルに聞こえない声で男は言葉を放った。
ーー会ってしまえば最後君は大切な人を失う未来しかない。過去に囚われ何もかも失う。後悔をし続ける運命になることを。
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