愛する人を失った少年は復讐者になり、そして、過去に戻る

今宵の花

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 湿った土の感触が、草が風によって擦れる音が聞こえる。周りからには魔物らしきの声が聞こえる。自分はどこに横たわっているのか、背中には固い感触がある。

 どのくらい寝ていたのか。そろそろ起きなければいけない。

 身を起こそうとすると、体中に激痛がいきわたる。なんとか、身を起こす。

 ーーここは?

 ようやく、思考を再開させる。

 鉛にように重く、瞼を開くさえも鉄のように重くなっていた。それでもなんとか瞬きをして、周囲の情景が明らかになる。

 見えたのは木だ。行き先を決められないテレポートで森の中に飛ばされてしまったのだろうか。

 あの状況でよく生き残れたものだ。魔物に襲われずにいたのは奇跡だ。

 腹の辺りを見ると包帯が何重にもまかれていた、簡易ながらも治療されている。

 後ろを振り向くと、焚火がされており、その近くに人影がある。

「起きたか」

 まず眼に入ったのは、服についている血の量だ。

 視線を上げていくと服はボロボロだ。マントは穴が開き、タンクトップとズボンには刺された跡などがある。しっかりした瞳に黒のロングのヨミがいた。協力関係にある少女だ。

「我が誰だかわかるか?」

 ウルトルは、首肯した。

「ヨミ」

 ヨミの首肯する。

「考えることは出来るようじゃな」

「ああ、てっきり死んだと思っていた」

 笑うヨミ。

「ほざけ、復讐を果たすまで死ねぬよ」

「俺も死にかけたが復讐の手がかりは得た。」

「こちらもだ。それにしても、お主が負かすほどの相手がいるとはな。落ちた英雄の力も大したことないの」

「ほっとけ」

 周りは二人の会話と風の音しかしない。

「お主は、自分がどのくらい寝ていたのかわかるか? 二日じゃぞ。」

「よく生きてたな」

「我が魔物からお主を守っておったのじゃ。知っているであろう我は封印魔法、呪い、付加魔法しか使えないことを」

「そのまま、殺せばよかっただろ」

「そうしたいのはやまやまだが、それだと復讐が果たせないのでな」

 その瞳は何を映しているのか本人しか知らないだろう。

「なぁ、【影の住人】ってのはなんだ?」

「知っておったのか、我から話そうと思っていたがお主から聞いてくるとはな」

 ヨミはウルトルを焚火の方に手招きする。

「お主は、【影の住人】とは何だと思う?」

 質問をするヨミに対し答えるウルトル。

「お前の故郷か種族かなんかか?」

「故郷か.....。正解とはいかないな」

 真剣な表情をするヨミ。

「【影の住人】とは我の種族に伝わる二つの魔法の隠語だ。種族といっても我と母しかいないがな。我の母が殺されたとき一つの『共鳴』の魔法が奪われた。」

「『共鳴』?その魔法は何なんだ」

「その魔法は一人の主を決め、しもべが得た物の一つを主に与えることができる魔法だ。」

「これを言われても分からぬのはしょうがない。前提的な基礎の知識が必要だな。ウルトルよ。魔神が復活するために必要なものは何だと思う?」

 手を顎にやる思考をする。

「魔力か」

「違う、魔神が復活に必要なものは魂だ」

「魂、あっ、そうゆうことか」

 その魔法の恐ろしさに気付いてしまった。

「気づいたか」

「主に設定しているのは魔神で、しもべが魔神教団か。」

「そうじゃ、この魔法の恐ろしいところは殺した相手の設定したものを奪うことができそれを主に与えることができることだ。もちろん設定してるのは魂で、しもべに当たる者には身体のどこかしらに紋章みたいな痣がある。」

「シャルが殺された理由はそうゆうことか」

 怒りが込み上げてくる。口からは唇をかみ切って血がにじみ出る。

「半分正解だな。もう半分は今のところ魔神を封印できる手段は女神の加護をもらっている聖女だけしかいない。」

「そうか、もう一つの魔法はなんなんだ?」

「この魔法は魔神教団が最も欲しがっている魔法だ。今はまだお主には教えられる。」

「わかった。次の行く当ては決まっているのか?」

「魔神教団の幹部がいるところの情報が手に入ったから、そこに行こうと思う。まずは完全に回復するまでこの場所で待機じゃがな」

 話が終わり、静寂が辺りを包み込んだ。


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