夏の星

変態バク

文字の大きさ

大中小

38 / 60

24. PM 02:03. 멈추지 않는 비 다리, 축축한 관계.

38

しおりを挟む

*

エレベーターから降りたハンビョルは固い表情で廊下を通り過ぎた。副代表の部屋に向かって突進するハンビョルの前を秘書が急いで阻んだ。

「今、いらっしゃいません」

「確かですか？」

「はい、いらっしゃいません」

ハンビョルの冷たい視線にも彼女は退かなかった。だからといって簡単にあきらめる限りではなかった。こんなことなら最初から訪ねても来なかった。彼女の肩を激しく押しのけ，固く閉ざされたドアノブをつかんだ。

「中にあるのは全部知ってきました。仕事をしてください。あ、車は結構です。すぐ行くから」

乾かす前にドアをぱっと開けると、机に座ったヨ·スンミンがハンビョルをじっと見ていた。

「ねえ, ねえ」

ハンビョルは叱りながらドアを乱暴に閉めた。むやみに押しかけたハンビョルの行動に腹が立つのも当然だが、ヨ·スンミンはこれといった反応を見せなかった。ただ視線を短くしてから再び仕事に没頭するその姿は無視が明らかだった。

怒ったハンビョルは、そんなヨ·スンミンの前に近づいた。

「こんなことですか？」

「何が。」

「何が？今まで私の連絡全部避けておいて！そんな言葉が本当に簡単に出てくる！そうですよね？」

相手が副代表だが、これまで我慢していた忍耐心が爆発したハンビョルは大声を上げた。彼を見つめるハンビョルの視線は毒気に満ちていた。

夏が彼の目の前で姿を消してから一週間目。 1時間半ほどちょっと家を空けただけなのに、その間に夏は消えていた。

最初は近くのコンビニに行ったと思った。ぼんやりとソファーに座って待っていたハンビョルは、ヨルムの携帯電話に電話をしたが、電源が切れていた。

やっと何か不吉な予感がして夏のスーツケースを探したがなかった。瞬間、心臓がどきっとしたハンビョルは携帯電話だけを持ってむやみに家を飛び出した。

ところが、実際にどこに行けばいいのか分からず、マンションの入口の前で馬鹿のように立っていなければならなかった。考えてみたら自分は夏について知っていることが何もなかったからだ。

無防備状態で現れたハンビョルに気づいた人たちがひそひそ話し始めた。弱り目にたたり目で、陣取っていた記者まで現れると、急いで足を向けたハンビョルは、床に座り込んで現実を否定した。

こうやって旅立つの？始まりは間違っていたが、昨日までは悪くなかった。事故が起きた時も誰よりもハンビョルを心配して泣いた夏だった。

ところで、どうして、どうしてこんなことができるの？

何も言わずに消えた夏を理解できなかったハンビョルは苦笑いが爆発した。どれくらい時間が経ったのだろうか。窓越しの空は徐々に闇に染まっていた。

再び戻ってくるかもしれないという小さな希望は、時間が経つほど消えた。

電源が切れていた携帯電話は翌日にない番号になり、それは二人の間を繋いだ輪が切れたのと同じだった。

副代表の弟、高校の同窓生、そして自分を助けてくれた奴ということ以外には、ヨルムはハンビョルに何も残さなかった。

結局、ハンビョルがぶら下がるところはヨ·スンミンだけだった。

しかし、それさえも容易ではなかった。なぜかヨ·スンミンはハンビョルを極めた。電話も出会いも露骨に避ける彼の行動はハンビョルを狂わせた。

そのようなハンビョルをさらに熱くさせるのは、今のヨ·スンミンの態度だった。自分がどうしてこうなのか分かっていながら、彼は何事もなかったかのように平然としていた。

「ユ·ハンビョルさん、いくら私たちが私的に親しいと言っても、これはちょっと違うんじゃないですか？」

「先輩！」

ハンビョルはわざと彼が見ている書類を覆った。これまで大きく争ったことのない二人だった。ほとんど彼がハンビョルに負けてあげる方だったが、今回は難しそうだった。そんな感じだった。

「外では先輩ですが、ここでは副代表です」

「副代表、あいつがどこにいるのかそれだけ言ってください。それだけ言ってくれれば、静かに出て行くから。」

「そいつ？誰？」

「夏です」

「だめです」

ヨ·スンミンはきっぱり断った。

「なんで！なんでダメなんだよ！」なんで！まだ1ヶ月も経ってないよ！何も言わずにこんなことをするなんて！」

「ユ·ハンビョルさんの映画撮影が延期になって、その後スケジュールも特にないじゃないですか。マネージャーが一緒にいる必要がないと思って、私が少し早めました」

「私に相談もなしにこうするの？少なくともあいさつぐらいはして行かなければならないじゃないか！」

「ごめんなさいと伝えてほしいそうです。いいですか？」

ヨ·スンミンはとても淡々と夏の言葉を伝えた。その瞬間、ハンビョルは言葉を続けることができなかった。夏に自分がたかがそんな存在だったというのが衝撃だった。

「なんとそれですか？そう言ったんですか？」

「そうだね。これ以外に何か必要なの？二人は何の関係だったの？違うじゃん」

ヨ·スンミンはいぶかしいという視線にハンビョルはプライドが傷ついた。そして、自分をこんな風に扱う夏にも腹が立った。

短かったが一つの家で一緒に寝てご飯も食べて一日中一緒に過ごした。毎日好きだと言った告白でないわけでもなくなったのだ。

依然として自分に背を向けているヨ·スンミンをじっと見ていたハンビョルは体をひねった。そして、また来た道を引き返した。

自分はユ·ハンビョルだ。世界的なトップスター、ユ·ハンビョル。そんな私の告白を無視して逃げたやつなんて必要なかった。再び夏のなかったあの時に戻ればそれで十分だった。

しかし、ハンビョルは固く閉ざされたドアを前にして、これ以上動くことができなかった。このままあのドアを開けて出れば、二度と夏を見ることができないだろうから。

ぼんやりとドアを眺めていたハンビョルの目頭が赤く染まっていった。この一週間、自分がどんな気持ちだったのか、ヨ·スンミンは知らないだろう。

消えた夏の跡を追うために毎日毎日が地獄だった。ところがなかった。家のどこにも夏の跡は残っていなかった。すべてがそのままなのに、夏だけが消えた状態だった。

それでハンビョルは隣の家まで観察した。ヨルムがまたその先生というやつに会いに来るのではないかと心配で、ハラハラしながらその男の家の前を仕方なくうろついていた。

それでも夏は現れなかった。まるで自分がここを守っていることを知っているかのようにだ。

ハンビョルは、「夏が見たかった。とても会いたくて狂いそうだった。今も会いたい。

気を引き締めたハンビョルは、再びヨ·スンミンに戻った。彼は依然として心の知れない表情でハンビョルに背を向けた。

「好きです」

「突拍子もなく何を言っているんだ」

「私、副代表の弟が好きだって」

「そんないたずら面白くない」

「ハンパじゃないんだけど？まさか私がいたずらで男好きなやつに見えますか？」

ついに彼がハンビョルの目をまっすぐに見始めた。手に握っていたペンを置いたヨ·スンミンの表情が鋭く変わった。

「あなた、私の弟がゲイだとそんないたずらをするのなら…」

「知ってるよ、あいつも。私があなたの好きなもの。ずっと寄ってたんだよ」

ヨ·スンミンの眉間に小さなしわができた。

「もしかして…」

「寝たのかって？寝た。それも私がやろうと飛びかかって」

話が終わるやいなや、ヨ·スンミンがハンビョルの胸ぐらを荒々しく握りしめた。彼の目の前まで連れて行かれたハンビョルは、初めて恐ろしく怒る彼を見た。

「お前がいくら偉そうなユ·ハンビョルでも、私は私の弟その他のやり方で触った奴は許せない」

あっという間に飛んできた彼の拳がハンビョルのお腹に突き刺さった。見かけよりこぶしが辛い人だった。苦痛に顔がしわくちゃになったハンビョルは、お腹を抱えて床にひざまずいた。

正直、生まれてからこんなに痛いのは初めてだった。しばらく息をすることができなかったハンビョルはやっとのことで気がついた。

「どうかしてるの？所属俳優を殴る副代表がどこにいるの？」

やっと息を切らして投げた不満に、ヨ·スンミンは怒りが収まらない表情で警告した。

「消えて、もっと叩かれたくなかったら」

「告訴する」

「そう、でも君が会社の看板だから顔は避けてくれたことをありがたく思う」

「迎えてくれたから、もう夏がどこにあるか教えてくれ」

やっと席を外して起きたハンビョルにヨ·スンミンは目もくれなかった。ずっとこのようなやり方で無視するなら、ハンビョルも考えがあった。ポケットから携帯電話を取り出したハンビョルは、普段から親交のあった記者に電話をした。

「こんにちは、イ記者さん。私、ユ·ハンビョルです。最近私がとても静かなようなので、運転手さんに良い記事を一つ差し上げようと思います。そうですよ、単独です。僕の新しいマネージャーと僕···"

そうだし、そういう仲だ。と言おうとした瞬間、ヨ·スンミンがハンビョルの携帯電話をひったくった。彼は不快な表情を隠さなかった。

「どうかしてるの？それを記者にあばいてどうしようというの！」

「せいぜいユ·ハンビョルゲイという記事しか出ないだろうか？」

「おい！」

「だから！私、もっと気が狂いたくなければ教えてくれ！」私は今正気じゃない、私の姿を見て！これが正気か！一週間、狂った人のように過ごした！一生連絡しなかった高校の同級生に電話してあいつのこと聞いて回ったんだって！それなのに知っている奴が一人もいないじゃないか！どこに住んでいるのか！携帯番号が何か！」

「はあ、あなたどうしたの？」

「私も知らない、私も知らないって！私も知りたいって！だから…··· どうか、ヨルムが私の前で歌って。それとも携帯番号でもいいから」

ハンビョルの泣き叫びにヨ·スンミンは長いため息をついた。

「本人が教えるなって」

ヨ·スンミンの言葉はハンビョルをさらに凄惨にさせた。そんなに嫌なのだろうか。全身がナイフで切り取られたようなひどい痛みが感じられた。

「なんで？」

「あなたとこれ以上関わりたくないみたい」

「…なんで？」

ハンビョルの悲しい表情をじっと眺めていたヨ·スンミンが固く閉ざされていた口を開いた。

「あなた、車の事故に遭ったその日。あいつ、ベク·ソヒさんに殴られてたよ。頬とか頭とか、その女、驚いて気の抜けた子をいきなり殴っていたよ」

「え？」

「その事故が夏のせいだと言いながら、殺すように飛びかかってきたのを私が防いだ。あなたなら、そんな扱いされて、君のそばにいたいと思う？」

「知らなかったよ。本当に。私は···」

ハンビョルは本当に知らなかった。母親の性格を誰よりもよく知っているが、これほど悪毒するとは思わなかった。夏の片方の頬が赤く腫れたのが当たってそうだったとは。

母親に対する恨みが手のほどこしようもなく大きくなっている時、その間にヨ·スンミンはイチーム長を呼び出した。

「イチーム長にユ·ハンビョルさん、私の部屋にいるから捕まえて行けと言ってください」

彼はハンビョルの視線に眉をひそめた。

「明日からまた撮影が始まるのに、潜水したんだって？あなたのためにイチーム長と新しいマネージャーがどれだけ苦労しているのか知ってる？」

ヨ·スンミンの叱りに再び目を覚ましたハンビョルは苦笑いした。

「それは撮れない。いや、撮らない。どうせゲイだと記事が出たら倒れる映画なのに、なんでわざわざ時間を無駄にするの？"

「あなた....」

ヨ·スンミンが目を細めたが、ハンビョルは怖くなかった。ただ一度言ってみただけでなく、本気だったからだ。

「ユ·ハンビョル、所属事務所代表の次男と恋仲だという記事が出たら見る価値があるだろうか？」

ハンビョルが夏まで食い下がると、ヨ·スンミンは困った表情を隠すことができなかった。結局、ハンビョルはヨルムの携帯番号を得ることに成功した。

黄色いメモ用紙に素早く番号を書いて差し出したヨ·スンミンは、一つの言葉も付け加えた。

「あなた、きれいだからあげるんじゃない」

「知ってるよ」

「兄としてはあげたくないけど、あなたのために食べている会社の人たちの顔を見てあげるんだよ」

「ありがとう、先輩。私、事故を起こさずに大人しく過ごすよ、本当だよ。映画の撮影も頑張るよ」

ハンビョルはそのメモ用紙を大切に握り締めた。その姿をじっと見ていたヨ·スンミンは、小さくつぶやいた。

「前もって言うが、知らない番号は取らない」

それでも関係なかった。こんなにでも夏とつながることができるということだけでも満足した。一週間ぶりにハンビョルの口元に笑みが浮かんだ。

「もう出ていただけますか？ユ·ハンビョルさん」

再び事務的な態度に戻ったヨ·スンミンは、ハンビョルを冷たく追い出した。

「ありがとう、先輩。いや、副代表」

彼が片方の眉毛を上げると、ハンビョルはにやりと笑いながらそこを出た。ハンビョルはこの関係がまだ終わったとは思わなかった。せめて自分は夏を待っているから。

しおりを挟む