黒き魔女の世界線旅行

天羽 尤

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第1章

独白、そして、処します。

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白羽セトside...
時間は少し巻き戻ります。
あくまでも思い返しなので所々端折ってます。
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僕は白羽セト、国内随一の財閥、黒井家に代々仕える白羽家の一人。

年が近いこともあって、小さい頃より黒井家に出入りし、黒井家のお嬢様、黒井カナ様と触れ合ってきました。

しかし、カナ様の歯車が狂ってしまったのはいつだろうか、恐らく、あの時だろう。
しかし、今は語るべき時期ではない。お嬢様は、その時のことを覚えていないのですからね。

さて、それよりも、この今のこの状況は何でしょう。
齢21年ほど生きてはいますが、それの許容範囲を超えています。

とりあえず、少しだけこの身に起きたことを振り返ってみることにします。

毎朝の習慣である、お嬢様を学校へ送っていた矢先での、車線を超えてきた対向車両と正面衝突、エアバッグが広がっていく光景、対向車両の男はスマホを片手にピンクの法被を着ている姿ですら、アドレナリンの分泌のせいかコマ送りになっていたのは覚えているのと、ぶつかる時の衝撃、そして、視界の端にあの、愚かな女…冷泉美子の姿が映っていましたね。そういえば。

まるで、こちらの惨劇を楽しげに鑑賞しているような眼差しに感じたのです。ですが、それよりお嬢様を守らなくては。
即座に僕はお嬢様を庇うように腕を伸ばした瞬間、車のぶつかる衝撃と鳴り響くのが聞こえます。

そして、意識を失いました。

と、目覚めた時に…思い出したのはここまででした。次に目にした光景は見たことがない寝室と書斎のような部屋でした。
まるで、先代の…お嬢様のおじい様の書斎のようでした。っ、それはそうとお嬢様!

勢いよく起き上がり、即座に目の前のお嬢様の手を握りつつ安否確認として声を掛けました。

「ん、お、お嬢様!ご無事でしたか」

そういったお嬢様が、示した方向の先にはなにやら胡散臭い男が居て、反射的にお嬢様を自分の後ろに隠しました。本当に胡散臭い。いや、これは冷泉の手先でしょうか。確認のため、声をかけました。

「…ここは?…!おのれ貴様、冷泉のものか!それとも…」

そう声を掛けながら、わざと手を伸ばして押さえ込みに掛かった自分の腕がすり抜けました。

「ああ、ごめんね。ついつい。ちょっと大人しくしててね」

勢いを殺さずにそういったことをすれば、床に落ちるのは当然であり、その時の僕は驚きを隠せずにいたが、奴は、ジョンは見下ろしながらジョンさんは笑っていた。……やはりその笑顔すらも胡散臭い。

そして、驚く僕をそのままなにやら操り、ジョンとやらはお嬢様と僕に起きた事態を説明してくれた。

つまりは、何者かによって、お嬢様と僕は現代に戻るどころか、存在できないということに近い状況になっていると、いうこと。
その話を聞きながら何故か、あの場面で笑っていた冷泉美子の顔が記憶から浮かび上がり続けていたのを覚えていました。

…そして、ジョンの状況説明にお嬢様は迷いながらもアンカーを探し出すという事をご自分で選択を行うことができました。
おそらく、全てが家のために決められているお嬢様にとっては数少ない経験となったと思います。

そしてすぐに行ったことは、よくいうラノベでいうステータス確認のいうところで、僕は近接のナイトのような立ち位置、お嬢様は魔法使いの立ち位置でした。バランスは悪くはないですが、やはり、足りない部分が見えてくると思います。おそらく僕がお嬢様をエスコートするという形、ですね。

そして、お嬢様と僕のアンカーが落ちたらしい世界へ飛ばしてもらった上に装備を整えて、自分達がどこまで出来るか、という確認をした時の事でした。

僕が与えられた装備とその使い心地を確かめていると、お嬢様がこちらに杖を持ちながら声を掛けて下さいました。

「セト、魔法撃ってみる、ね」

お嬢様の邪魔にならないようにその後ろに控えてお嬢様が万が一怪我のないように気を配っていたところでした。

「えい。」

お嬢様が杖をつるりと撫で、魔力を注ぎ込んだであろうそういった刹那、派手な爆発音が起こったと同時に、光線が走ってお嬢様より見える範囲内でそのまっすぐに木を炭化させてしまった模様です。
お嬢様の魔術素養と魔力操作のレベルがチート級というのは把握しておりましたが、これも規格外でした。

「お嬢様、奮発、しましたね。」

そう声を掛けると、お嬢様は首を傾げながら杖をじっと見て軽く揺さぶっていました。

「あれ、1番基本的な火の魔法、なのに…火の玉、でないの?」

お嬢様、何か間違ってしますが、指摘しない方がお嬢様にとっては平和的なので僕は笑顔でスルーすることにしました。
そして何方か、この事態焼け野原に気がついてよってこなければいいのですが。いえ、もうこちらに何か近づいてくる音が聞こえます。
炭化してしまっている木を見つめながら固まっているお嬢様を守るように、剣を抜けば、大きな大蛇がいました。こちらを餌としか認識していないようですね。
…いいでしょう。そう構えた時に現れたは大蛇でした。もちろん、キチンと成敗させて頂きますね。

「お嬢様、下がって下さい」

と、こちらを食べようとしているらしい蛇を即座に切り捨てれば、

もはや、剣と魔法の世界だけあってなにが起きても驚きはしませんが、ただ、嫌な予感だけはしています。

その後は、所謂テンプレの山賊らしき物体が出てきて…成敗しました。はい。お嬢様の御身体に触れあまつも穢そうとしたので、記憶にも留めたくありませんし。後ろから、悲鳴が聞こえましたが、きっと、クククッ。

 かの物体を、血に飢えたケモノ達に差し出す前に、っとつい、漏らしてしまいましたね。
その前に近くの街と路銀をお預かりしましたので森を抜ければ、有効に使わさせて頂きました。
予想通り、少しばかり多めに握らせましたら、明らかに怪しげなお嬢様と僕でも通して頂きました。

どうやら、活気のある港街の様ですね。
しかし…何故でしょうか、僕に向ける蕩けた目とお嬢様への敵意。
……まるで、冷泉のようでうっとおしい。お嬢様のお気に触ったらどうしてくれよう。
恐らく、先ほどの山賊らしき物体のようになってしまうのもあり得るというのに。
これは早めに、ギルドとやらに行かなくては、と、思って歩をはやめようとした所にらしい建物が見えてきました。

……そして、中に入ると緩んでいた空間が一気に引き締まる印象を受けました。初見というものは、どうやら警戒をされるようです。
口々に何か雑多なことを言っていますが、もはやお嬢様を乱すようなモノは雑音でしかありませんので、意識から排除することにしました。

しかし、ギルドの受付嬢だけは異端に見えたであろう僕とお嬢様を動揺することなく受け入れていた。職業として当然の事でしょ。ですが、隣とその奥に関しては違ったようですね。仕方ありませんか。

登録作業の後、実技というものがあるらしいのでそれへと進む所に、難癖を掛けてきた、所謂毛むくじゃらのあごひげともみあげがくっついているオーガ(*違います)のような男が居ましたがお嬢様の平穏とご気分を乱したのは万死に値します。決めました。汚物は処します。
ちょうどいいことに、汚物が実技をしてくれるということなので、その剣技Sを叩き込んでやることにしましょう。
キチンと、お嬢様の事後承諾は頂きましたので、憂いはありません。

そして、扉をくぐればその先はまるで闘技場のようでした。
これならば、存分に叩き込んでも支障がないでしょうね。
自然と笑みがこぼれていましたがら、そんな最中、高揚していたのを割り込んできたのは先程まで埋まりつつある少ない観覧席に余裕を見せるように手を振っていた毛むくじゃらのオーガ(*違います。ザーコです)でした。
語る内容は、お嬢様のお耳に入れたくないような下劣なものです。
…処します、やっぱり、処します。
冒険者というものは、こんな下劣なものなのでしょうか。失望というものです。そして、その毛むくじゃらのオーガ(*違います)が余裕を装っていますが、無意識では、すでに守りに入っています。

そう、己の腕を組んでいました。腕を組むもいうのは自己防衛にはいっていること、しかも両手でがっしりと二の腕をつかむように組む腕の形。
この体勢は不安なことから、自分自身を抱きしめ安心させようとしている体勢でもありますからね。そして、こちらに声を掛けてきました。

「さて、実技に入ろうか。お嬢さん達。もし、負けたらただじゃおかねぇから覚悟しておくんだな。負けたらお嬢様をこっちによこすんだな。

発した言葉は強気に見えますが、残念ながら手遅れです。…と、お嬢様を汚すなどと。よくその顔で宣いますね。とりあえず笑顔のままにそちらの言葉に乗っておくことにします。

「そちらこそ、こちらにイチャモンをつけたのだから、負けた場合はそれ相応のモノは覚悟しておくといい。

笑顔で僕が言い返したのを見れば、ソレは笑っていたが、腕を掴む手に力が入っているのが見えます。…わざわざお疲れ様です。

「はんっ、言いやがる。まずはお前からだ。早く上がって来い」

早くと急かされてしまったので、お嬢様の手が離れたと同時に僕は、笑顔のままにお嬢様の足元に傅いて、両手で取ってその手の甲にキスを行い、不安そうなお嬢様のおきを紛らわせるように言葉を掛けました。

「お嬢様、ご心配なく。行って参ります。」

お嬢様が少しだけ頷いたのを見れば、後ろで舌打ちが聞こえてきました。
貴方の土俵には決して乗りませんよ。毛むくじゃらのオーガさん。(*違います)

さて、リングに上がるとしますか。

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だいぶ長くなってしまいました。すみません。
セトさんが予想よりも過激になっていきますが…果たして。
次回はセトさん無双に、なるのかな。
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感想 1

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