文化祭の破壊

月這山中

文字の大きさ
7 / 19

二人

しおりを挟む

 原中源太《はらなかげんた》と斉田修《さいだおさむ》は常に喧嘩をしていた。

 源太はわかりやすいガキ大将タイプで子供たちのリーダーだった。
 一方、修は成績は上位、運動もそこそこできる。優等生と呼ばれるタイプだった。

 かつては一方的に源太が修をいじめていたのだが、プリン争奪を期に修が爆発し、それからやってはやりかえすが恒例行事となった。

 小学校の登下校では、ランドセルや傘や、給食袋を使った戦いが繰り広げられた。

 二人は同じ中学に通い、同じ高校に上がった。

 源太はあいかわらず子供たちのリーダーだった。
 高校では不良グループの頂点に立っていた。しかし酒や煙草、薬に手を出す仲間はこっぴどく叱った。そういうところが男にモテた。

 一方、修は時代が時代なら劣等生と呼ばれるタイプだった。
 誰にもおもねらない。物静かで顔が良い。しかも学校の外では隠れて酒や煙草を嗜んでいる背徳的なところもあり、そういうところが女にモテた。

 高校生にもなって売店のプリン一つを争い取っ組み合いの喧嘩になったのは、そこに至るまでの積み重ねが放置されてきた、そこに要因があったのだと言う外にない。

 源太のやり方は幼稚で陰湿だった。
 椅子に鉛筆の芯を刺しておいたが気付かれる。誇張したモノマネは取り巻きの女にボコボコに叩かれる。トイレ個室に閉じ込めようとしても斉田はめっぽう強く、逆に閉じ込められた。本来ならそこで諦めて別の人間をターゲットに選ぶのが賢いやり方である。しかし源太は諦めなかった。

 修のやり方も負けず劣らず幼稚だった。
 黒板消しを扉に挟んだトラップは誤爆する。関節技をかけたら取り巻きの男にヘッドロックされる。トイレの怪談を個室の外から言い聞かせるやり方は両者疲れ果てた。ここまでやったら気が済んで別の事に興味が向きそうなものだが、修は諦めなかった。

 二人はライバルになっていた。


  ◆

 文化祭。
 二人は別々のクラスで出し物を決めた。
 どちらも喫茶店で、隣同士で、売り上げで競い合っていた。

 かわいい給仕のいる修のクラスは男女問わず客層の心をつかみ盛況していた。
 男たちが肉体美を見せつける源太のクラスはちょっと特殊な客層にリーチしていた。

 二人はまったく同じタイミングで廊下に出て、敵情視察に向かった。
 当然、鉢合わせる。

『原中源太くん』

 校内放送が鳴った。

『本当は斉田修くんのことが大好きな原中源太くん、至急体育館まで来てください』

 源太の顔が青くなり、それから赤くなった。
 修はそんな源太を指さして笑ってやろうとした。

『斉田修くん。本当は原中源太くんのことが大好きな斉田修くん、体育館まで来てください』

 修の顔が赤くなり、それから青くなった。

 喫茶店の営業は続いている。
 二人は何も言わず、自分たちのクラスへ戻った。


  ◆

 原中源太と斉田修は常に喧嘩をしていた。
 お互いに相手を許す気はなかった。

 二人は同じ中学に通い、同じ高校に上がり、同じ大学へ進んだ。

 それから同じ会社に入り、同じ屋根の下で暮らすことになったのだが、詳しいことは伏す。


  了
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

【完結】キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】

猫都299
児童書・童話
沼田海里(17)は幼馴染でクラスメイトの一井柚佳に恋心を抱いていた。しかしある時、彼女は同じクラスの桜場篤の事が好きなのだと知る。桜場篤は学年一モテる文武両道で性格もいいイケメンだ。告白する予定だと言う柚佳に焦り、失言を重ねる海里。納得できないながらも彼女を応援しようと決めた。しかし自信のなさそうな柚佳に色々と間違ったアドバイスをしてしまう。己の経験のなさも棚に上げて。 「キス、練習すりゃいいだろ? 篤をイチコロにするやつ」 秘密や嘘で隠されたそれぞれの思惑。ずっと好きだった幼馴染に翻弄されながらも、その本心に近付いていく。 ※現在完結しています。ほかの小説が落ち着いた時等に何か書き足す事もあるかもしれません。(2024.12.2追記) ※「キスの練習相手は〜」「幼馴染に裏切られたので〜」「ダブルラヴァーズ〜」「やり直しの人生では〜」等は同じ地方都市が舞台です。(2024.12.2追記) ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、ノベルアップ+、Nolaノベル、ツギクルに投稿しています。 ※【応募版】を2025年11月4日からNolaノベルに投稿しています。現在修正中です。元の小説は各話の文字数がバラバラだったので、【応募版】は各話3500~4500文字程になるよう調節しました。67話(番外編を含む)→23話(番外編を含まない)になりました。

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い…… 「昔話をしてあげるわ――」 フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?  ☆…☆…☆  ※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪  ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

神ちゃま

吉高雅己
絵本
☆神ちゃま☆は どんな願いも 叶えることができる 神の力を失っていた

童話絵本版 アリとキリギリス∞(インフィニティ)

カワカツ
絵本
その夜……僕は死んだ…… 誰もいない野原のステージの上で…… アリの子「アントン」とキリギリスの「ギリィ」が奏でる 少し切ない ある野原の物語 ——— 全16話+エピローグで紡ぐ「小さないのちの世界」を、どうぞお楽しみ下さい。 ※高学年〜大人向き

その付喪神、鑑定します!

陽炎氷柱
児童書・童話
『彼女の”みる目”に間違いはない』 七瀬雪乃は、骨董品が大好きな女の子。でも、生まれたときから”物”に宿る付喪神の存在を見ることができたせいで、小学校ではいじめられていた。付喪神は大好きだけど、普通の友達も欲しい雪乃は遠い私立中学校に入ることに。 今度こそ普通に生活をしようと決めたのに、入学目前でトラブルに巻き込まれて”力”を使ってしまった。しかもよりによって助けた男の子たちが御曹司で学校の有名人! 普通の生活を送りたい雪乃はこれ以上関わりたくなかったのに、彼らに学校で呼び出されてしまう。 「俺たちが信頼できるのは君しかいない」って、私の”力”で大切な物を探すの!?

処理中です...