勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

魔王軍に遭遇した後

11.魔王軍の部隊

　間に合ったが、それと同時に同じ格好をした者達が武器を手にした。
　それ以外にも赤毛のウルフがこちらへと視線を送っている。その時、フードを被った者が声を上げた。

「やりなさいケルベルフ！先に彼を食い殺しなさい」

　前後にいたウルフが突如と走り出す。俺は荷物をその場で投げ捨て、装填されたクロスボウをウルフに向け、1発放った。だが、それを軽々と避けられ、接近してくる。
　左手にチェーンブレードを生成、ジャンプしてきたウルフに対して振った。その刃が首元へと刺さり、チェーンブレードとともに地面へと倒れた。
　その後に、もう1匹のウルフがこちらへと接近してくる。

「飛びつきの攻撃、野生と変わらないか」

　電撃系の魔法、それを扱う為に黒い棒を2本右手に生成した。
　そのままジャンプしたのを確認した後、クロスボウを投げ捨て、右手をウルフへと当てた。

「エレキショット」

　ウルフの体に電撃が走り、煙を上げながら、その場で倒れ込んだ。今も電撃の音を響かせながら、痙攣していた。黒焦げとなったその姿は、生きているとは思えなかった。
　念の為に、いくつかの魔法を覚えていて正解だ。この円状の黒棒、プラスとマイナスをイメージしながら、来る途中で生成してみたけど、魔法行使する時に必要といえば必要ないな。

「詠唱なしですと・・・、厄介な奴がお出ましになりましたね」
「ジュラミン様！多分あれは・・・」
「分かってますの！また勇者が召喚されたみたいですねこれ」

　彼の言葉が正しければ、この世界には何人もの勇者がいる。1人2人じゃなく、想像以上の人数がいる。
　なら、やる事は一つしかないな。目の前のこいつらをぶっ倒す以外道はないか。

「さて、話は終わったか？まるでオカマだなお前は」
「・・・なんか、罵倒されている気がしますね。私のどこがオカマって言うのでしょうか」

　彼は先のセリフで頭に血が上ったのか、強く足で地面に叩いていた。
　それを見ていた部下が彼を落ち着かせる。

「ジュラミン様落ち着いてください！」
「ハァハァ・・・」

　部下の言葉にジュラミンは、頭を抱える。その後に苦しむかのような行動をとりながら、言葉を出していく。

「私達の任務は完了しました・・・ここは引きましょう。ベローグ！勇者の相手をして下さい！」

　そう言いながら、後ろへと腰を後ろへと捻る。後ろから高い足音を立てながら、でかい何かが近付いてきた。
　その姿は巨漢ともいえる図体に、俺の倍ほどの背丈があった。

「なんなんだあれは・・・」

　手には棍棒を持っている。あれを振り回してくるはずだ。だが、その力は未知数だ。
　右手の黒い棒を解除した後、左手と同様にチェーンブレードを生成した。