勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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ドラゴン討伐

36.勇者VS勇者

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 彼女は強い。隙の無い攻撃だがあまりにも体力を消耗するやり方をしている。あまり長期戦には不向きだろう。

「何者かは知らないけど、人の手柄を勝手に持って行かれると困るのよ」

 元々は俺らに依頼として頼まれたものだ。ここで負けるようなら依頼は失敗だろう。
 それに剣を交えながらでも分かる。増援が近くまで来ている足跡が聞こえてくる。

「てらああ」

 大振りに振る瞬間を狙い、左手の武装を解除し、腹パンを1発入れる。勇者はその場でぐったりと倒れ込む。まさかのあの忍者に教えてくれた気絶術がここで役に立つとか思いもしなかったなあ。

「さて、遊びはここまでか……。出て来いよ」
「あらあら、ばれておったのかいや」

 先程からはここには無い視線を感じていた。声を出すかのように崖の上から1人顔を覗かせる。全長4m程しかない崖の上に軽い鎧と動きやすいような格好をしている。

「今回の勇者は一骨折れそうやいな。ワタクシとやり合うと言うのかえ?」

 無論こいつが今すぐ逃してくれるわけ無いだろう。振り向きながら、最善の手を考える。今の俺には勝てる見込みさえ怪しいだろう。

「ベレニアス様。我々はどうすれば」
「これ以上無駄な命を無駄にせんといてくれへんか」
「ハッ!」

 どうやらこの人がベレニアスであるみたいだ。どう見ても人間にしか見えない気がする。

「さて、どうするんだい。ワタクシと相手するんかえ」
「逃してくれるとは思えないからな」
「部下を散々虐めていたんや。逃すわけにはいかへんのよ」

 今こいつと相手しても勝ち目は無いだろう。ドラゴン部隊は倒せている。あとはこいつと相手して、多少の時間稼ぎをしてから逃げるのもありだろう。

「そこの優者パ」
「……なんだ」
「そいつ連れてさっさとここから立ち去れ。戦闘に巻き込まれて死なれては困る」
「く……、分かった。あんたも死ぬなよ」

 気絶した勇者を抱え、その場を去らせた。ここから何が起こるかは分からない。あんな実力の勇者がいても魔王を勝てないのだ。
 きっと幹部も相当な実力者だと感じるのは自然だ。

「南魔王軍幹部ベレニアス。何時の理、あらん事を」

 彼女はそう言ったのちに、右手を横へと伸ばした時、剣が生成されていく。

「これは魔法で作られた魔法武装。本気で掛かってきやさいな」

 この武器と同類って事だろう。だからといって負けるわけにはいかない。
 もしかしたらここで俺は死ぬのかもしれないって感じたのかもしれない。
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