勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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神秘の地へ

44.洞窟

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 街の外にある洞窟。名は街から近いからって理由で『ファングラン洞窟』と呼ばれている。
 洞窟に入るのは今回が初めてだが、ここまで大人数での攻略も初体験である。

「洞窟に着いたのはいいけど、今の位置だと支援しか出来そうに無いな」

 先頭の人達は先へと進んでいる。洞窟の最下層に討伐目標の魔物は潜んでいる所からするとダンジョンボスに該当するだろう。

「なんか遺跡っぽくない?」
「言われてみれば、遺産に近い建造物が見えますね」

 2人はそのように話していたけど、奥へと進んでいくにつれて、その建造物はよく見るようになっていく。

「魔物もミイラとかが多いし、何かの建造物だったんだろう」

 ここら辺一帯の魔物は特にアンデッド系が多く見られた。スケルトンやらスケルトンメイジだ。

「何かの亡霊かな…」
「亡霊だとしても、前方にいる方々についていかないと」

 トルゥの言っていることは正しい。正直言って迷いやすいようなぐらいに広い。洞窟のマップを知っていたら、多少は迷わないだろうが、今は前方の人についていかないと迷う。

「なんか奥の方広間みたいな所に繋がってるみたい」

 ベラニアが前方のパーティの奥の方へ指を指した。なんか嫌な予感しかしないのだけど、

「広間ねえ……、そこにでない限りは何も分からないだろうなあ」

 その広場とやらは討伐隊の通過点らしく、色んなパーティが向かっている。
 俺らも後ろからくっついて、その広場へ出る。

「滝か……、ここは洞窟よりも迷宮だな」
「道はこっちだけみたいですね」

 一言で言えば迷宮に近い。道は下り坂しかないが、鳥系の魔物も生息しているようだ。

「討伐隊も苦戦するようになってるな」

 チェーンブレードで空中の敵に当てて、叩き落とすことを繰り返した。空中には鞭などや魔法が有効だが、正確に当てられるのは多分これだけだろう。

「魔物は討伐しつつ、前方のパーティに追いつくようにしないと」
「うわあ、結構離されてるね」
「仕方ないでしょ。魔物が私達を標的にしてるんだから」

 鳥系の魔物が俺らに狙いをつけて何匹もの群れを作りながら襲ってきていた。その間に前方のパーティがサクサクと進んでいた。

「ここは煙幕張って駆け抜けるしかないな」

 2人の同意を確認した後、ぶら下げていた煙幕玉を地面に投げて、煙幕を展開した。

「キキ!」

 それにビビったのか、魔物は煙幕から逃れるように逃げていく。

「今だ!急いで走れ!」

 俺の掛け声とともに2人は走り出す。奥の部屋にいけば鳥は追いかけて来ない。
 2人をそこへ走らせた後、俺はチェーンで注意を引き付けつつ、奥へと向かった。
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