勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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神秘の地へ

46.鳳

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 おおとりは本格的に殺しに来ているだろう。討伐隊の魔法を受けてもそこまで効いてないようにも見えるが、痛まないのだろう。
 俺は周りにいる鳥をチェーンで一体ずつ落としつつ、左手に炎の弾を作り出す。それをおおとりに向けて発射した。

「グウアァァァ!」

 討伐隊の魔法を浴びされてもそこまでの声を出さなかったが、俺のは威力を高めている為、効いているようだ。
 だけど、これだけじゃ倒せない。大きいダメージを蓄積させていくしか無いだろう。

「魔法使いは魔法で周辺攻撃!近接系の役職は近づいて攻撃!」
「アビリティアップ」

 指示が飛び交い、それに従い攻撃が実行される。それと同時に詠唱を終えたベラニアが俺にバフをかけてくれている。
 鳳にダメージは蓄積されてるだろうが、倒すのに時間はかかるだろう。

「グウガア!」

 鳳が足を地面へと強く叩き付ける。衝撃が地面を走り、前方で戦ってた討伐隊のメンバーの4人程度が後ろへと飛ばされる。
 流石に簡単には強敵だな。普通の魔物とは強さも違う。チェーンを分離させ鳳に当てて爆発させるが、爆弾でさえ落とせない。周りの鳥は致命傷を受けて落下しているのだが、鳳だけは飛んでいる。

「あとちょっとか……、トルゥ!準備は」
「いつでもいいよ。いつでも地下に落とせる準備は出来てるから」

 密かにトルゥへと指でサインを送っていた。魔法系の発動の詠唱をさせておいて、その時間を俺は稼いでいた。正直言って今の俺らでは倒す事はまず不可能だろう。
 だから魔法で地下か地面に叩き落とす事にした。

岩石落としボウルダー・トス

 トルゥが言葉に発した時、空中から岩がいくつも鳳へと落下していく。流石に避けきれずにそれを背中で受けて、地下へと落下していった。

「勝った……、俺ら勝ったのか!」

 鳳が地下へと落下していった時、歓声が上がった。そして同時に疲れたかのように地面へと座り込んで行った。
 辺りを見渡すと体が倒れて動かない人もいた。

「ねえ……、あれって死んで」
「それ以上言うな。安らかに眠る事を祈ってあげてくれ」

 今までにも死体を見てきたが、あまり慣れない。俺らが出来るのは祈りぐらいしかない。
 魔力の回復ように大量に持ってきていたマナポーションをトルゥに渡して俺も飲む。

「そういえばマナポーションって何本持ってきてるの」

 流石に大量消費しているマナポーションだ。いくらなんでも数が多いと思ったのだろう。

「確か10本近く持ってきているから、今は8本ぐらいはあるんじゃ無いかな」

 半分は予備で持ってきている。魔物とのエンカウントも含めて計算など出来ない。
 鳳を倒した後、鳥系の魔物が襲って来なくなった。リーダーがやられて一目散に逃げたのだろう。

「あの……余ったので返しておきます」

 ベラニアが一本余ったマナポーションを俺へと渡してきた。それでも2本は使用していた。彼女も精一杯の努力を俺にしてくれたのだろう。

「これは次の大規模討伐の時に使用してくれ。もし足りなくなったら言ってくれ。予備の物を渡すから」

 マナポーションは返すように彼女へと渡した。その後カバンの中をチェックし、2人に手で移動の指示を出した後、まだ休憩をしていた討伐隊よりも早く先へと向かった。
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