勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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第二の試練

56.雪山での鍛錬

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「ハハハ!なるほど……、お届け物はこれとはな」

 彼は笑いながら荷物の中身を確認していた。現在いる所は彼が今住んでいる家の中だ。無論寒さ対策が施されている。

「君は懐かしいだろ。こんな家は僕らがいた頃のあった家を再現した」

 玄関の二重扉は暖房が室内に広がる設計なのだろう。それにしても目の前にいる海パンしか着てない人がいるだけで暖房いらないとも思えてくる。

「北海道でしたっけ。俺はそこじゃなく近畿方面出身なので縁はあまり無いですね」
「僕はそこ出身だからね。だからこの家を建てたのだよ」

 俺とこの海パンの勇者との会話の最中、話についていけない3人はキョトンとしていた。

「さて、連れの3人が話についてこれてないみたいだから、そろそろ本題に入るとしよう」

 彼は荷物と一緒に入っていた手紙を読んでいた。そして納得いく表情を出しながら、顔を上げた。

「なるほど……、要は僕が君らに稽古を教えたらいいのか。表へと出るんだ。僕が直々に稽古をしてあげよう」

 多分これは実力を見てやるから表へと出ろって事だろう。
 見た目はただの変態だが、リーネも認める程の実力はあるのだろう。彼は何も着ずに外へと出て行った。
 いや、何か着てから出て欲しかった。心でそう思った俺がいた。


 俺らは外へと出る。やはり寒さが体の体温を奪っていく。

「さて、東野目和樹君。君の実力を見させてもらうとしようじゃ無いか」

 彼は素手で構えた。やる気てかそれが彼の戦闘スタイルなのだろう。

「そうそう、名乗ってなかったね。僕の名は七彩利根しちさいとね。戦闘スタイルは格闘さ」

 そんな格好で戦えるっていうのか、もしくは寒さを感じさせない何かがあるのかは分からない。

「では一番やり行くとしますか」

 ステップで一気に俺へと近づき、格闘を仕掛けてきた。それを俺は避け、七彩から距離を取る。
 右手をチェーンブレードと左に格闘装備を生成し、チェーンで攻撃を入れる。だが、

「僕にそんな攻撃が通用するとでも」

 軽くとそれを受け止められた。俺はそれを予期してなかった為に、分離してダメージを与えようと爆発させる。

「うん?」

 彼はチェーンを見た時に爆発がした。これで倒せるとは思えないけど、多少はダメージが入っただろ。

「ハハハ、そんな攻撃で僕に与えられるとでも?」

 煙の中から彼はこちらへと歩いてきた。その姿は先程と変わらない姿だった。

「あれで傷も付けられないとは」
「大体君の実力は伝わった。だからそろそろ終わりにしよう」

 これ前にも同じ展開があった気がする。彼の右手が突如として赤く光り出した。それを地面へと叩いて、光っていた光が俺の周りを囲むかのように地面が光り出す。
 熱い……いやこれは熱。彼は火の加護を受けているんだ。だから何も着ずに海パンだけで過ごせるそういう事か!

「僕の力を教えたんだ。君は一旦そこで眠るといい。ストロングバーン」

 彼はそう叫んだ時、俺を囲むようにしてある円の光は突如として炎を吹き出し、俺を囲んだ。そして内側から光り出し、爆発をした。
 まさか、炎の使い手とは……、油断した。俺の視界は徐々に無くなっていった。
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