勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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第二の試練

57.目が覚めた時

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 気付いた時、俺は横になっていた。最後何があったかはハッキリ記憶にあった。炎を円状に空へと上げながら、その内側から空気による爆発をさせた。
 科学による爆発だろう。あんなに上手くコンボを決められては逃げ切れない。

「お?やっと気付いたか。新入り」

 未だに海パンでうろついている七彩の姿が目に入る。彼は彼で恥ずかしくないのか。
 七彩は手料理であろう物をテーブルの上に並べていた。それも人数分だ。

「これは……」
「お前の連れが料理してくれてるから感謝しておけよ。ちなみに俺が作ったのはこれだからな」

 テーブルに置かれているパスタを俺に見せる。この世界に来てから麺類などあんまり見ていない。多分麺なども彼の手作りだろう。

「ちなみに味付けはチリソースな」

 あれ?チリソースってこんなに白かったけ、赤いイメージしか無いのだが…、この世界では白いソースなのだろうか。

「いやあ、味だとこのソースが近くてね。うちには大量に買い占めてるよ」

 チリソース大好きな人ってのは分かったが、そこまで買い溜めする必要性があるかは分からない。
 熱狂的ファンなのだろう。

「チリソースって辛いイメージがあるんだけど、ここの世界のは美味いのか?」
「当たり前だ。食べてみればわかる」

 なんだこの自信満々は……、まあ美味しいのなら遠慮なく頂こう。

「あら、起きたのね。料理出来たからさっさと食べよ」

 奥から料理をトルゥとベラニアが運んでくる。あと水が入ったコップをトレイに五つ乗せながらスレイラがやってくる。

「さて、料理を全て運んで運び終わったしご飯にしますか」

 テーブルに並べられた料理の数々は一品一品手が込められて作られた料理が並べられていた。
 まずは今でも海パンでいる七彩の作った料理を食べてみるか。

「さあさあ召し上がれ」
「……美味い」
「ハハハ、だろ」

 認めたく無い。認めたく無いけど美味い。海パンしか着ていない人の料理がここまで美味いのか。
 美味い料理を食べ終わった後、外の景色を見る。来た時は無かったが、夜に吹雪が吹いていた。

「今日はもう外へは出ない方がいいだろう」
「明日からって事か?」
「そうなるな。もう僕は寝るけど、君らも早めに寝るといい」

 七彩は奥の部屋へと入っていった。今日は彼の言葉通り休んだ方がいいだろう。
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