勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

文字の大きさ
69 / 358
王都異変

68.異変の最中

しおりを挟む
 王都の近くに着地するより、王都真上からダイブした方が強襲になるのかな。まあ、壁に向かって降りてもいいが、

「こんな高いところから落ちるなんて……死ぬんじゃないか」

 ベラニアが飛行魔法で落下中に減速するようにしてくれているけど、それでも不安が残る。

「覚悟決めてください。下は既に戦場ですよ」
「しょうがない。スレイラ!タイミングよく行く」
「王都の壁からダイブですね。分かりました」

 トルゥに何か怒られているが、まあ、行かないといけないよね。王都では留まっていた勇者などが前線で戦っているはずだし、少しでも援護にいかないと民間人の被害が拡大するかもしれない。

「そろそろです。落下準備を」
「3…2…1……、今だ」

 一斉に落下をする。無論下には魔王軍がいる。両方チェーンブレードにしている為、落下中にチェーンで斬りつける。
 空中で減速し、ゆっくりと着地した後辺りを見渡す。

「ここにはこいつらだけしか居ないようだな」
「みたいですね。まだ周りにいるかもしれません」

 トルゥとの会話中、ベラニアは魔法で索敵を開始する。多分だが、こちらに向かってる可能性もあるな。

「大丈夫そうです。こちらに誰1人向かおうとしていません」
「なら、先へと向かうか。こっからは戦闘状態になっているはずだ。用心してくれ」

 辺りには燃えている物や死体などが転がっていた。ここは既に戦闘が始まっている。見つけ次第は倒していくが、数が分からない。
 王都の外でも戦闘が行われていた。王都の中には翼竜隊から兵士を落下させて進行させたのだろう。

「広場まで行こう。途中鉢合わせしたら倒していくぞ」

 広場まで走り出す。少数で行動している小隊などが何回も鉢合わせする羽目になった。
 撃退は無論する。広場に向かっている最中、劣勢になりながらも懸命に戦っている騎士の姿が見える。

「うわああ」

 見てる時に兵士は押し倒され、魔王軍の者が剣を刺しに掛かろうとしていた。

「させるか!」

 走りながら右手のチェーンを振り回し、剣へと当てる。丁度引っかかったのか、剣だけが飛んでいく。
 兵士は何が起こったのかわからずこちらを見る。その時と同時にチェーンブレードのままであった左のほうで腹部を刺した。

「……グハ」

 鎧からでも分かる。血を口から吐いたのだろう。抜いたと同時に後ろへと倒した。

「大丈夫か」
「た、助かりました」

 生き残ってるのはこの騎士だけだろう。周りには彼と同じ服装の者が何人も倒れ込んでいる。ここは既に突破されたのだろう。

「今の作戦本部は分かるか?」
「ええ、最前線の仮拠点があったはずです。今は国民を城へと逃がしているはずです」
「なら、そこに連れて行ってくれ」

 状況を知る必要がある。まずは詳しい情報がありそうな場所、最前線に騎士達が集結している拠点があるはずだ。今はそこに行く以外道はなさそうだ。
 兵士の道案内もあり、俺らは目標の拠点へと走り出した。

しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

処理中です...