勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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王都異変

75.セイラン

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 先程とは思えないさっき満ちた攻撃が飛んでくる。追尾として魔力が空中で固まり、球体となった魔力玉の攻撃を仕掛けてくる。
 彼女が何も唱えてないからすると俺と同じく声を出さずに詠唱出来るか、或いは彼女の特殊能力の一種なのかは分からない。紫色の魔力…、幽霊的なイメージが思い浮かぶ。

「どうしたどうした?そなたの攻撃はそんなものか」

 チェーンで攻撃するが跳ね除け、突っ込んでくる。ツインソードで受け止めつつ、チェーンを戻し攻撃するが受け止められる。
 ツインソードで地面へと煙を上げるために弱めの魔法『マグネットショット』を放つ。セイランはそれを見るなりとっさに後ろへと下がる。
 そして俺は次の魔法『ファイアボール・スナイプ』を小さく無数に唱えて放つ。
 煙から後ろへと下がっている彼女は刀で1発1発、動きや持ち替えなどしながら全てを斬り落としていく。もしこの世界に銃弾などあったとしても撃ち落としているだろう。

「めちゃくちゃな動きで全てを撃ち落とすか」
「私の実力を舐められては困りますね。こんなので私に痛みを与える事など不可」

 セイランは手に紫の炎を出しながらこちらへと歩いてくる。俺も右手のひらに赤い魔力玉を作り出す。
 彼女は左手のひらに出していた炎を閉じ、そのまま走り出す。左手でマナポーションを飲み、魔力を回復する。
 そして魔力玉を投げ飛ばす。予想はしていたがそれを斬りにかかる。だからそれを当たる前にそれを分離させる。

「……!」

 彼女は分離した魔力玉が当たる。さすがにこれは効いたであろう。だが、彼女は歩みを止めなかった。顔に傷が出来たとしてもだ。
 これならあと7秒で攻撃を仕掛けてくるであろう。その前にチェーンを分離し、爆破させる事も出来るが……、彼女には無効だろう。俺が1番習得するのに時間が掛かった魔法を使ってみるのもいいかもしれない。

「第五階級魔法『サンダーグレイブ・バーンドラット』」

 魔法には属性以外に階級魔法がある。第七階級魔法が最低で第一階級魔法が最高になる。だけどその上に究極魔法やら最上位級魔法が存在してると聞く。
 手に電気の渦が発生し、その中心に小さな電撃玉が出来上がる。
 斬りにかかる瞬間に電撃玉からレーザーを放つ。レーザー砲みたいな攻撃だが、爆破系でもある。セイランはそれを受け止めているが、時間が経った時、本当の意味がある。
 レーザーが撃ち終わった時、大きな爆発する。

「流石に魔力切れギリギリだが、これだと大ダメージ与えられただろう」

 広範囲に爆発が広がっている。流石に受け止めたとしても体には蓄積されるだろう。
 そんな期待を裏切るかのように煙の中から服が破けながらも歩いてくる。レーザーを受け止めていたため、かなり後ろへ下がっている為に距離は多少があるが、

「勝ち目はほぼないに等しいな」
「隠しネタはそれだけですか?」

 この魔法でさえ効かない。だが、ダメージは蓄積されているのは分かる。痛みを表に出さないのだろう。

「あの方よりは少々物足りない…。今後の事だと少々勿体無いですけど、ここで死んでもらいます」
「それはさせないわ」

 その時、目の前に黒い服装をしたリーネが現れる。今頃になり、リーネが現れたって事は準備が出来ているのだろう。

「次の相手は私よ。セイラン」
「私の仇敵。今こそ決着をつけさせてもらう」

 俺の後の2人の戦いが始まろうとしていた。
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