勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

文字の大きさ
97 / 358
戦後の里

96.1日講師

しおりを挟む
 ドアを開けた時、そこには中高生程の子達がイスに座りながらお喋りをしていた。彼らに旅の話をすればいいみたいだけど、どんな話をすればいいのだろうか。

「はいはい。静かに旅人さんが来てくれましたよ」

 教師がパチパチと拍手をした。すると一瞬で静かになる。ここの世界の子供達はちゃんと先生の話を聞くみたいだ。
 教師が手で『前に出てください」と教卓の方へと手を向ける。それに従い、俺は教卓の前へと向かう。何の話すればいいのか分からないけど、何となく喋ってみるか。

「それじゃ自己紹介から」
「俺の名は東野目和樹。旅人をしている」

 この世界っぽい自己紹介したけど、今は勇者よりも旅人よりもお使いの方が合ってるような感じもするけど、一応旅人だからそう答える。

「質問とかあるかな」

 答えれる事は無いので彼らが聞きたい事を教えればいいだろう。それに俺個人から話せる内容などあまり無いのが理由なんだが、

「外の世界ってどんな所ですか?」

 聞かれるであろう話が飛んでくる。この子らは外に出た事が無い。或いは行き来出来るけど、あんまり外には出ないのだろう。

「危険な場所です。魔物もそうですが、いつ魔王軍が近くまで来ているかさえ分かりません」

 簡易に述べるとそうなる。危険と隣り合わせが外の世界だとは俺は思う。

「では今までで採取したもので取りにくかった物は?」
「それはスプラ石だ。一定の魔物でしか取れなかった」

 意外にもよくある質問だな。もし俺も生徒だったらこういう質問をするだろう。

「あの~、わたしと魔法勝負してくれませんか?」

 女子生徒が突如として、対戦を申し込んで来た。うん、こんな質問来るとは予想してなかった。そもそも質問じゃない。こんな質問どう返せばいいのだろうか。

「あ~、それは……、すみません。校庭使えますか?」
「大丈夫ですよ。そんな事も予想して校庭は空けてます。魔法の演習してもらっても構いません」

 校庭使用出来るなら、校庭で相手するか。この学校だと中級クラスの魔法を中心に教えているだろう。なら今の俺でも試し相手出来るか。

「では外で実践したいので外に出ましょうか」

 まだ疲れがあるけど、疲労薬飲めば少しは楽になるかな。それに学校で習った人達の魔法技術も知っておきたい。
 補佐として入ってくれた教師の人の後を追いかけるように外へと向かった。
 
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...