勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

文字の大きさ
98 / 358
戦後の里

97.生徒の力試し

しおりを挟む
 外へと出て来てから校庭へと案内された。校庭は魔法演習用として広く作られていた。余裕でサッカーコート2個分出来るぐらいはあるだろうか。

「ここが校庭です。すみませんね魔法の相手もしてもらって」
「大丈夫ですよ。慣れているんで」

 生徒の相手だから腕試しだとは思うけど、生徒さん全員がなぜか武器持っている時点で腕試しレベルじゃないようにも思える。今のうちに疲労薬は飲んでおくか。

「すみません無茶なお願い聞いちゃって」

 先程勝負してほしいと言っていた女子生徒が杖を持って俺の前へと立つ。生徒の相手だ。相手は本気だろうが、多分戦闘経験の差で実力は大いに違うだろう。
 自分自身の装備を使うのはやめて、木刀を教師から借り受けた。これなら気絶程度には調整が出来るであろう。

「いきます。水の願いを込められし精霊よ。何時の理を貫け。水針魔法『デットニードル・アクア』」

 魔法が唱えられた時、少女の周りから突如となく水が針になり俺へと飛んで来る。ニードルアクア、中級クラスの魔法だろうが、その上位にあるのがこの『デットニードル・アクア』だ。
 少々ばかり甘く見過ぎていたようだ。飛んで来たニードルは地面へと木刀を強く当て、砂煙を上げた後、防衛魔法『アクティブバリア』を発動させる。
 このバリア一定時間だけ魔法を通さない防衛魔法だ。アクアニードルぐらいで貫通する事もない。

「なら、これなら……古より授けし魂よ。我に力を宿したまえ……攻撃魔法『アクアバーン・サイドロック』」

 今度も水系統の魔法を行使してくる。多分岩のように固まりそして爆破だろうな。
 その時、俺の周りや上空に水が集まり、そして俺に向かって飛んで来る。加速魔法『ハイ・スピード』を発動し、水の刃を避ける。水は地面へと当たり、爆発した。
 どうやら原点は思ってたのと違ったらしい。この魔法は岩のように固まりそれを相手へと飛ばし、当てて爆破させる魔法だ。
 それも無数に飛ばしてくるのだから、全部回避するのは容易だ。

「当ったかな」

 水の摩擦による蒸発で出来た煙の影響で見えてないらしい。なら、気付かれる前に接近は可能だろう。
 見えないギリギリの位置で煙玉を何個か使用し、彼女の目の前まで煙を接近させる。彼女は警戒するかのように周りに水を漂わせるが、その前に俺は後ろを取り、

「はい。そこまでだよ」

 少女の頭を軽く叩く。

「やっぱり旅人さんには勝てません」

 実力の差を感じたのか、少女は落ち込む。先程から見ていたが、魔法に魔力を使い過ぎている感じはした。あの後も続けていたら近いうちに彼女の魔力は空になっていただろう。
 魔力が空になる事は聞いたぐらいしかないが、その場で動けなくなる程、体が重くなるらしい。俺はなくなるギリギリのラインでマナポーションを飲んだりする為あまりそんな事はない。
 動けなくなってもマナポーション等の魔力回復さえすればすぐに復帰出来るらしいけど、そこんとこは体験しないといけない。

「次俺もお願いします」

 1人相手した後、ほとんどの生徒が目を輝かせながら俺を見てくる。心に眠る熱い魂を呼び寄せてしまったかなこれ。

「全員で俺にかかって来い。まとめて相手してあげるよ」

 その後、離れてから一斉にクラスの人達が俺へと攻撃を仕掛けてきた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...