勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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近い遺跡へと続く西の都

107.夜へとなる前

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 戦闘開始してから既に10分程度は経つだろうか。森にいた時点で夕日となっていた。もうそろそろ夜になる頃合だろう。
 それに比べ、まだこの獣はピンピンしている。まるで魔力攻撃耐性や物理軽減効果などが永久的に発動してる感じにも見える。
 普通の刃では弾かれる体にさらに魔力攻撃耐性付きと考えると流石に厄介だ。

「さて、とどのように調理するべきか……」

 幸いな事にキングウルフモスはスレイラみたいな魔力を使用しての回復はないようだ。傷が入ったとしてもそれを修復してないと見ると自然だ。
 チェーンブレードにしてた右手を格闘戦で挑む為に、クロー系へと姿を変える。
 もしかしたら外側だけ硬くって内側はそうでもないかもしれないからだ。
 3人がキングウルフモスの耐性が崩れている時に攻撃を仕掛けて動けなくさせていた。その間に走り出し体へと打撃をする。

「近接攻撃魔法『反動打撃』

 体への中心にダメージを与え、その後分散するかのように反動が身体中に響く。表面にダメージはあまり無くとも、内側からだと大ダメージを与えられる。
 その反動を受けて、キングウルフモスは後退りしながら倒れる。表面がどれほど頑丈でも内側からだと柔らかいのだろう。お陰でてこいつの弱点を見つけられた。

「内側への攻撃が弱点なのね」
「私達そんな攻撃出来ませんよ。てなわけで~」
「「頼んだ」」

 最終的にそんな攻撃出来るのは俺だけだった。内側攻撃もデストロイと反動打撃のみ、反動打撃は魔力使用が少ない分、威力は弱い。逆にデストロイは魔力使用が大きい分、威力も高い。
 場面で使い分ける必要がある。しかし、先程の反動打撃でヒビが入った感じがした。
 待てよ。そのヒビにデストロイでぶつければ何とかなるんじゃないかな。

「2人とも魔法援護だ。そろそろこちらも危険だからさっさと終わらせるよ」

 ヒビが入っであろう箇所は先程見ている。そこにデストロイを入れれば勝機がある。2人とスレイラが立ち上がろうとしていたキングウルフモスに攻撃を仕掛けては立ち上がろうとさせない。
 その隙にヒビが入った箇所へと走り出す。

「ヒビが入ってるのは脇腹の下辺り、そこだな」

 場所を確認した後、体制が戻る前に攻撃を仕掛ける。

「近接攻撃魔法『デストロイ』」

 唱えた瞬間、右手には魔法の渦が出来始めた。それをヒビの入った箇所へと攻撃を仕掛ける。
 当たった瞬間に突風が走り去る。それと同時に大きい胴体した魔物は上空へと体の一部がバラバラになりながら浮いた。ある程度上空へと飛び、地上へと落下していった。

「あれ……霧が無くなっていく……」
「これで終わったんですね」

 倒した瞬間霧は溶けるように無くなっていった。辺り一帯に広がっていた霧の姿は見る影もない。
 ゲームだとランダムボスに相当するこのキングウルフモス。西の方の街で少し調べてみる必要性が出て来た。今はこいつの解体を済ませてからここら辺の川付近で野宿になるだろう。
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