勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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休息と影で動く存在

144.裏で動き出す者

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 とある道の家に地下へと続く階段があった。フードを被った者はその階段へと降りていく。
 下に降りた時、1つの扉があった。そこへフードを被った男性はドアをノックした。

「メッサルーラ」

 その者そのように言葉を出した時、ガチャッとドアのロックを解除する音が聞こえてくる。
 少し扉が開き、中からは丸坊主の男性が顔を覗かせる。

「……入れ」

 男性に言われるままフードを被った者は中へと入っていく。そこから更に一本通行になっており、フードの者は奥へと進んでいく。灯りとしてろうそくが壁に付けられていた。
 奥へと進んでいくと広い会場みたいなところへと出る。そこには数多くの人達で賑わっていた。

「来たな。ノーゼム」

 フードを被っていた者はそれを外し、素顔を見せる。

「今日は何の用だ。こう見えても忙しいのだが」
「まあまあ、一杯飲めって」

 そう言われて、カウンターの椅子へと向かい座る。

「ほらよ。今日入った一押しの酒だ」

 オーナーはコップをカウンターへと置き、そこに酒を入れていく。入れ終わった時、それをスライドしノーゼムの前へと送る。
 ノーゼムはそれを受け取り、一口で全て飲み干した。

「……美味いな」
「だろ。今日仕入れた中では1番の味だったんでな」
「それよりも仕事の話があるだろ?」

 そうだったと言わんばかりにカウンターの下から手紙取り出す。それを彼へと渡す。

「これが今回の依頼か?」
「そうだ。いつもよりは簡単だが、その分時間はかかる。やれるか?」

 ノーゼムは手紙を開け内容を確認する。内容を読んで笑ったのか、少し微笑んだ。

「なるほどな……、確かに楽だ。だが、その分いつもよりも期間が長い」
「最近じゃあ魔王軍も活発になってるって話だ。警備の仕事だが頑張れよ」

 ノーゼムは立ち上がる。お代の金もついでにカウンターへと置く。

「この依頼引き受けた。今からその主の元へと向かうとしよう」
「お前さんぐらいの実力を買っているんだ。失敗はするなよ」

 手を振りながらノーゼムはその場を離れていった。
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