勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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戦争 序章

158.出発前の調整

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「明日、我々は総力を尽くし、魔王打倒に乗り出す。諸君らに集まってもらったのは、この戦に参加して貰うためだ」

 この集まりは大体予想がついていた。俺らもその魔王軍打倒の軍勢に参加しろって所だろう。
 王様は黙々と歴史について語り出すが、別の事を考えている為に入って来ない。

「我々人類は、この魔王の打倒で全てが決着へと向いていく!」

 俺は思う。魔王も実は観測者の一人ではないかって。そこまでは分からないが、この世界には魔王は4人いる。それが一人一人観測者だとしたら、一体我々を見て何がしたいのか。
 これも全て読まれているのかもしれない。

「どうか、我らの力、つるぎとなってはくれぬか」

 その言葉が出た時、辺りから完成の声が上がる。勇者や騎士、兵士なども一斉にだ。俺はあんまり話を聞いてはいなかった。
 どっちにしろ、俺もこの戦いに参加しないといけない。旅がどうのあれ、移動手段がのんびりになるぐらいだろう。
 今は俺が出来る事を考えるんだ。コードと呼ばれる武器をうまく使えるようになれば、戦闘の幅も広がる。
 とりあえず、話終わったんならここ離れて外の世界へと特訓しに行きたい。

「おや、和君はもういいのかい?この後は食事だよ」
「魔王討伐なら、少しでも特訓しておきたい」

 春八女が俺へと声を掛けてくる。この後料理か…。出発は明後日、今日と明日だけしか特訓出来ない。
 春八女が少し考えた後に頷き、

「なら、僕も行くよ。君の実力も見ておきたいしね」
「勝手にしろ。ただ、怪我しても知らないぞ」

 それを聞いた途端に笑い出す。彼も勇者だ。怪我する程度の実力じゃないだろう。だけど、俺が使う武器は何が起こっても不思議ではない
 俺が怪我をしなくても他の者が怪我するかもしれない。
 歩きながら通路を通り、外へと出る。その後は門の方へと向かっていく。
 門には複数の場所に見張りをする騎士や兵士がいる。その者に一声を掛けられた。

「おや、もう帰宅で」
「特訓だ。その門を通りたい」

 騎士に話した後、門の前を陣取っていた兵士達が次々とどいて行った。
 どいたのを確認すると、俺は王城の外へと出た。

「……ほんとに着いてくるのか?」
「当たり前じゃない。僕も勇者だし」

 そこ張る所じゃないだろ。まあ、いいや。屋根から一気に城外の門へと向かうか。
  足に魔法を掛けた後、屋根へと一回のジャンプで登る。そこから一気にダッシュして門の方へと向かう。

「おや、意外と早いんですね」

 隣から声がしたので見てみると、そこには魔法も掛けてない春八女の姿があった。
 魔法使っている感じがしない。そもそも普通の人がそんなに速いスピードでこなせるわけが無い。
 彼自身も何かすごい力でも持っているのだろう。

「今日は遅い。多少の確認するだけですよ」

 屋根を飛び越えながら、すぐ近くまで門は来ていた。
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