勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

戦争 序章

157.集まり始める若者達

「なるほどね・・・、地下にそんなものが」
「そこ以外の探索中に観測者と名乗る女性に襲われた」

　話を聞きながらメモをしていくリーネは頭をフル回転させていた。
　彼女自身も何が起こっているのか分かってないみたいだ。だけど、彼女も何か心当たりがあるらしい。

「状況からすると、ここ以外の陸があるってことね。なら色々と納得出来ちゃう」

　前にこんな事聞いたことがあったけ。この島から抜けることは出来ないって。この島自体が世界の一つに過ぎないって事なのだろう。
　それにコード呼ばれる存在の武器。勇者達の持つ武器と同等レベルの物か。もしくは彼女の口にしていた事から意思でも宿っているのか。その事は彼女は知らないらしく、お手上げ状態だと言っている。

「そのコードと呼ばれる武器は何らかの力を秘めているって考えたほうがいいわね」

　何らかの力か・・・、そういや一振りしただけで空中に浮いてた球体を全て落とせたっけ。まだ俺には分からないが、ラストクロノブレード・・・、最後の時か。
　これは魔王軍との戦争前に慣らしをしていたほうがいいかもしれないな。

「とりあえず、そろそろ店を閉めるから少しそこで待っていて」
「あれ？もうか」
「だって、王様直々の命令よ。行かないとダメじゃない」

　そういや、あの騎士の人言ってたっけ。今日の夕立に勇者達は王都へと行かないといけないって言ってたっけ。
　リーネが店の前に置いてた看板を中へとしまう。そしてこちらへと戻ってきてから、

「さて、長旅で疲れてるとは思うけど、現場に行くよ」

　俺らも彼女についていかないとダメみたいだな。そもそも行かないこれ休ませてくれないだろう。ため息つきながらも、彼女が外へと出たため、やむなく俺らも跡をついて行った。


「これほとんどの人が勇者やその連れなのか・・・」
「えぇ、こんなに見るの始めてよね」

　そこには200人近い人達がいた。こんなに勇者パあったら誰かが魔王討伐しててもおかしくはないと思うけど、それほど魔王軍は強敵って事も意味しているよな。

「リーネさん。お久しぶりです」

　すると近くからイケメンがこちらへと歩み寄って来ては敬礼をする。そして次に取った行動が彼女の手を掴む。

「あぁ・・・、何回見ても美しい・・・」
「いつもいらないお世辞ありがと・・・」

　この人いつもこんな事を言っているのか。イケメン男子が口説こうとしているぐらい有名なのか。

「出たぞ・・・。いつもの久御山の口説きが！だけど、これ失敗したな」
「って、誰ですか」

　気付いたらメガネを掛けた男性が俺の隣に立っていた。どこの優等生なんだよって突っ込みたい程の人物だな。

「おっと、すまない。僕の名は春八女和音はるやめかずねって言うんだ。よろしくね」
「はは・・・こちらこそ。俺の名は東野目和樹だ」

　突如となく会話が成り立ち、ともに握手をする。そして彼はこんな事も言ってきた。

「僕ら・・・なんか息が合いそうだね。おっとそろそろ始まる頃だろうし黙ろうか」

　そう言うと目の前に階段から老人が現れた。

「勇者達よ。よく集まった。我々の声を聞き入れてくれてとても感謝している」

　これから何が始まるかは知らない。だけど、これからの出来事を大きく左右することなのだと直感的に感じていた。