勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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魔王城 前編

299.魔王城の街中で

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「流石に魔王城と言うべきか。砦レベルの広さと兵力では比べ物にならないな」

 兵士の数が思った以上に多い。これだと場内も相当いそうだな。
 これをたったこの人数で攻めるのは少々厳しいな。

「まだ中庭なのに、これだけ熱い歓迎受けるなんてね」

 数名の騎士とともに俺は兵士に囲まれた。既に何十人と倒しているが、それでも湧いてくる。
 そういや、魔法結晶入ってるって言ってたっけ。
 俺はそのことに気付き、マントのポケットからそれを取り出した。
 爆破系の魔法だろうとは思うが、それを空中へと投げ、兵士達のど真ん中に落ちた。
 すると割れたと同時に爆発し、その周辺にいた兵士達が吹っ飛んだ。

「威力高いな。だけど、お陰で突破口を作れた」

 瞬間移動で近付き、そしてその場に聖剣を真っ直ぐに振り下ろす。
 その時に魔力を聖剣へと流していた。すると、破壊力を持った聖剣の衝撃波は一瞬で兵士達を巻き込みながら、真っ直ぐに飛んで行った。
 道は作れた。そこを通りながら、近くから攻めてきた兵士を斬っていく。

「お前らには用はない。ここを通らせてもらうぞ」

 さすがに数名の騎士達はその場で相手しているが、彼らもどれくらいそこにいるか分からない。
 左手にチェーンブレードを作り出し、それを分離した。それを騎士達周辺と、兵士達の所へと刃を次々と刺しては爆破させていく。

「こっちについて来い!そいつらを相手していたら体力がもたないぞ!」

 騎士達を何としてでもこちらへと進めなければならない。
 幸い、兵士達が次々とやってくる為に聖剣の衝撃波で何とか振り払う事は出来る。
 今はそれをしながら、この町並みの中を進むしかない。
 噴水の場所へと出た時、左右から無数の兵士達がこちらへと向かってくる。

「ほんとに最前線は兵士が多いな」

 両方に衝撃波で壁まで飛ばした後、噴水を回りながら、兵士達の相手をしていく。
 チェーンブレードの刃がなくなり、新しく補充、それを相手の兵士達の所へと飛ばしていく。
 何十人、何百人の兵士を相手しながらも、ここから見えている魔王城へと目指した。

「あれが魔王城だとは思うが、まだまだ先が長そうだな」

 先は非常に長い。その分兵士達が全力で阻止しようと迫ってくる。
 ここまで兵力を街中で向かわせていると考えると、場内は相当いるだろうな。
 俺は1人、また1人と減っていく騎士達数名と進んでいくのだった。
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