勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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魔王城 前編

332.進み続ける者達

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 壁からは大きく煙が上がっていた。俺はその隙にポーションを取り出し、一気に飲み干す。
 飲んだ後に、身体中の切り傷は次々と無くなっていった。
 俺はその後に煙の所へとゆっくりと向かう。

「これが油断・・・って言うものですか・・・」

 身体中から血を流しながら、彼女は言葉を出していた。頭からも血を出しており、今の彼女の目は死んでいた。

「奥の手・・・出したのに・・・この有様では・・・私は・・・」

 妖刀・陽炎、彼女が最後に口にした技だ。だが、それを使ったとしても、彼女は紙一重で負けた。
 何も見えてないはずの彼女は俺が目の前にいる事に気付いているように見つめていた。

「この殺し合い・・・私の負けね・・・」
「俺も一歩間違えれば死んでいた。それはお互い様だろ」
「・・・」

 俺の言葉に彼女は笑みを浮かべていた。ただ、それだけの表情をしながら、俺に手を伸ばそうとしたが、途中で腕は力なく地面へと落ちた。
 それと同時に彼女は目を閉じた。
 俺も一歩間違えれば、彼女みたいな感じになっていたのかもしれない。実力的には互角とも言える戦いだった。
 彼女の死を見届けた後、俺は先へと向かう。この戦いに終止符を打つ為に、俺は歩みを止めなかった。

 リーネはただ歩いていた。周りには彼女に挑もうと攻撃を仕掛けた兵士達が倒れている。
 タウラスも彼女に挑んだが、返り討ちにされている。

「退屈ねえ・・・、階段はどこかしら」

 彼女は迷っていた。迷いながらも彷徨っては兵士を次々と倒していた。
 今現在、リーネがいる階層は5階だ。既に100人近い兵士をその階層で倒していた。
 彼女は兵士だけじゃ物足りず、上を目指していた。先程の振動した場所に向かおうとした時からずっと彷徨っていた。

「もう終わったかしら」

 そう言いながらも、彼女はずっと歩き続けた。

 魔王城入口付近、そこでは騎士と兵士達が戦っていた。圧倒的に騎士の方が少ないが、兵士の方が次々と倒されていく。

「突破をするのはいいけど、ちょっと多くない?」
「トルゥちゃん、それは仕方ないですよ。ここは敵の本拠地なんですから」

 トルゥが接近戦で兵士の相手をしながら、言葉を投げる。詠唱終わらせて魔法を行使していたベラニアは、その言葉を返していた。
 数少ない騎士達は次々と進行していく。それに押されながらも、兵士達は頑なに守り通そうとした。
 だが、1匹の魔物によって、兵士達は呆気なく全滅した。スレイラだ。彼女の擬態能力で巨大生物となり、襲ったのだ。
 それにより、20人近くいた兵士はほんの数秒で全滅した。
 その後に彼女は元の姿となり、先へと進み始めた。
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