勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

魔王城 前編

331.繰り広げられる死闘

「そこだ！」
「！！」

　何回も死闘を繰り広げる。彼女が移動した先へと俺は攻撃を仕掛けるが、間一髪に避けられ、地面へと大きく聖剣が埋まる。
　その後に俺は聖剣を抜き、彼女の元へとフットワークしながら彼女へと近付くが、彼女も霊の能力で近付かせてくれない。
　なんとか近付いても、彼女と剣と剣がぶつかり合う。

「先程からほんの些細な傷しか入ってないな」

　斬撃の攻撃によって、身体中に浅い傷しか入ってない。
　霊能力がここまで厄介とは思わなかったが、対策すれば倒せる。
　だが、まだ彼女は本気も出してない。そんな感じが漂っているのだ。まだ、何かを隠していると言っても、完全な奥の手と考えるのが自然だ。
　彼女は俺の剣を弾き、更には全く使用してなかった格闘で後ろへと飛ばされる。
　何とか足で減速した後、彼女を見ると、

「妖刀・陽炎」

　何やらセイランは言葉を口にしていた。そして剣が紫に光り出した。
　武器の性能向上、それと同時に入る自身の霊能力の向上と思われる。
　その後に彼女はこちらへと攻撃する為に先程とは思えないスピードで俺の方へと走り出した。こちらも体が動くギリギリの範囲まで魔力で強化し、彼女へと突撃する。
　両者がスピードを落とさないまま、刃がぶつかり合う。

「おりゃあああ」
「てりゃあああ」

　両者は叫び、そして互いに傷付いていく。両者がぶつかった回数、その分だけ体から血が流れた。
　俺の一撃が、セイランを斬ったはずだが、彼女は一歩前に瞬間移動していた。
　そして、後ろから現れた彼女に気付き、何とか体を曲げさせ、受け止めた。

「く、妖刀の力を発動してもこれですか」
「こっちもギリギリなんだよ。それでも互角だがな」

　俺は弾いた後に真後ろへと勢いをつけてジャンプした。後ろには柱があり、それを踏み台にし、アクセル全開で彼女へと突撃した。
　だが、その時には遅く、彼女は霧となっていた。彼女を通り過ぎても、俺はすぐに体を後ろへと向き、足で止めに入る。
　1秒もしないうちに、俺は加速した状態で更にブースト全開で突撃した。
　彼女が移動したのは前の方の可能性がある。そこから、俺が突撃した後に後ろから攻撃する。
　そう、予測した俺は、顔の向きを後ろへと向いた。そして、足で着地したと同時に足にブースト全開で突撃した。
　お陰で、目の前には彼女が現れた。彼女は驚きながらも、俺の政権の攻撃を受ける体制に入っていた。

「そこだああ！！」

　俺は叫びながら、聖剣を大きく振る。聖剣で彼女の剣と当たった時には、今自分が持っている力をフルに出しながら剣を大きく振った。
　腕力もあり、彼女は大きく後ろの壁へと飛んでいった。そして、大きく激突した。
　俺は彼女を飛ばした時、俺はその場で静止した。