勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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魔王城 後編

338.迫り来る猛攻

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 スピードを活かし、接近しては聖剣を振る。その分、彼も攻撃を受け止め続けた。
 彼も攻撃をしてくるが、俺はそれを避け続けながら、攻撃を続けた。

「我の思った通りだ。貴様は我を楽しませてくれる」

 彼は大地を真っ二つにするかのように大剣を地面へと叩きつけた。左右へと割れ、地響きが部屋全体を包み込む。
 何とかジャンプし、一回転にしながら後方へと着地した。

「そんな存在を我は惜しいと思っている」

 さっきから何を言っているんだ。彼はこの戦闘を楽しんでいるのか。
 魔法結晶、本数はあと4本か。いつなら一気に使う所だが、3本だけの使用の方した方がいいだろう。
 予測も出来ない強さを持つのだ。彼を超える力を今の俺に身につけれるか分からない。精々、技量で彼に勝たねば、勝つ事など出来ない。
 魔法結晶を取り出し、左手で3つ持った。彼へと近付き、聖剣で斬りに掛かる。
 だが、その前に彼は大きく大剣を振り下ろそうとしていた。大剣と聖剣がぶつかり合い、風が舞い起きる。

「・・・く」
「軽い・・・軽過ぎる」

 エルキュリアはそのまま弾いた後に、大剣を大きく振り回してくる。俺は体制を立て直していた為に、それを防ぎに入る。
 そしてその一撃が聖剣へと当たった。勢いある一撃だった。そのまま壁へと飛ばされ、強く激突した。

「ガハ・・・」

 流石の俺でも耐えれず、口から血を吐いた。
 体はまだ動く。これ以上続けて、動かなくなるまで、こいつに挑み続ける。

「かなり体には効いたはずだ。それでも貴様は立ちがる。己の道を進む為に」
「あぁ、まだ俺はやる事あるんでな。ここで死ぬわけにはいかないんだよ」
「だが、貴様はここで死ぬ定め。例え、我が倒れようと、運命は動かん」

 まるで道連れでもする言い方だ。そこまでして、俺を倒したいのか。
 それとも、別の意味なのかもしれないが、その事は俺には分からない。
 エルキュリアは俺の方向へと大剣を振り下ろす。地面にヒビが入っていき、そこから光のオーラが顔を覗かせる。
 俺は咄嗟に避けた。先程いた所はヒビと光のオーラが壁へと当たり、音を立てながら崩れていった。
 岩などが邪魔していても、真っ二つにし、更にはそこからヒビが割れて崩れていくか。
 彼の一撃、更には技もかなり強力なのが分かる。
 これが魔王軍を率いる人物の強さなのか。

「我も腕が鈍っている・・・か・・・」
「あれでも腕鈍っているのか」
「実に久しぶりの戦闘だからな。我と対等にやりあえる存在と会えて、嬉しいぞ」

 彼はそう言いながら、俺に向けて走り出した。重い大剣をいとも簡単に持ちながら、更には先程より速いスピードで迫っていた。
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