勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

くノ一

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魔王城 後編

351.砕け散る水晶

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 エルキュリアは走りながら、紫色の魔力の球体を作り出し、それを針状にした。そしてそれを俺に向けて飛ばしてくる。
 それを聖剣で弾いた後、エルキュリアは大剣が目の前に来ていた。聖剣でそれを受け止めつつ、俺は彼の背後を取る。
 そして聖剣で突く。だが、途中で防がれてしまう。その為にそのまま横へ斬った。
 すると、シールドらしき物は砕け散った。その後に俺は後ろへと下がる。

「シールドらしき物は破壊・・・、あとは後方のコアを破壊するのみ」

 核を守っているシールドは今は存在しない。俺は一瞬の迷いもなく、走り出す。彼はこちらへと振り向いた時には、俺は上空を飛んでいた。そして一気に下まで降りた後、逆手に持った聖剣で紅色の水晶を刺す。
 水晶は、ヒビが入っていく。そのヒビから赤い液体が流れ、そして水晶が砕け散った。その時に赤い液体も地面へと流れる。
 それと同時に前に倒れるようにフラフラとエルキュリアは進んだ。

コアを破壊、これで再生能力は消えたか、衰えたはずだ」

 俺はエルキュリアを見る。背中からは先程の水晶の液体が垂れ落ちていた。
 そして俺はそんな姿の彼に短剣を生成し、投げた。大剣で振り払おうとしたが、その前に爆発した。煙の中から彼は現れるが、傷跡は残っている。
 これで再生能力は抑えられた。腕の触覚が再生しなかったのは、多分本体と関係なかったからだ。そのせいで再生していない。

「不覚・・・まさかの魔の水晶を破壊されるとは・・・」

 彼はそう呟いた時、外殻が粉のように消滅していく。そして完全に体から離れていった。
 上半身裸となった彼の足元に魔法陣が出現した。

「最後の力を持って、貴様を倒す」

 大剣を投げ飛ばした。すると、魔法陣から剣が現れ、それを片手で持つ。その剣を抜いた時、魔法陣はガラスのように粉々になりながら消えていった。

「さあ、これが最後だ。決戦といこうではないか」

 その剣を構え、こちらへと見つめてくる。
 あの剣からは強い力を感じる。多分、この武器とは正反対の物、それに彼は相当体力を使い切っているはずだ。今でも口から血が流れている。
 だが、それはこちらも同じだ。先程から全身に痛みが感じてきている。俺も限界に近いのは明白だ。
 両者が限界に近い時、2人は同時に走り出す。そして彼らの剣がぶつかりあった。
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