対異世界防衛学園

くノ一

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メインストーリー

2.自己紹介と言う修羅場

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「すごい戦いだったね」
 模擬戦を見終えて、入学式が終わった頃。葵が試合見た中での感想を零に言った。零も葵に試合の感想を語った。
「圧倒的過ぎだよなあ、姉上も」
 零の実の姉でもある藤咲来夏の戦いは圧倒的だった。開始わずか5分で決着がついた。零が言った。
「あれがランクSの実力でもあるのかな」
 マジックマスターリーにはランク制がある。姉は、その中でもトップのランクであるSに入る。世界でもSは少ない。戦闘において魔力は、大きく分けて2種類ある。一つは能力という力。もう一つはスキルという力。二つを活かした戦法は、数多く存在する。その二つの力それぞれにも種類や上下がある。来夏の能力は、トップを誇るランク、究極にあたる。
 その究極の能力を持つ来夏が5分で3人の耐久値を0にしたのだ。それを見た零は、
「俺も姉みたいな戦い方をしたい」
 そう呟いた。来夏の戦い方は、格闘と剣での接近攻撃と中距離からの魔力弾攻撃などを状況に合わせて使用してた。そんな戦い方だからこそ、憧れを少し持ってしまうのであろう。その時葵が、
「教室の案内があるから、ここで待っているんだよね」
 たいくつそうに零に言った。
「そのはずだよ。もうちょいしたら来るかもしれない」
 零はその質問を苦笑いしながら答えた。
 そう、今零達は会場の駐車場にいた。周りには、零達と同様待機してる者が多い。他の所にもこのように集まっている団体が複数あった。ざっと一団体40人前後が集まっている。
 教室移動はバスでの移動になっている。なので広い駐車場に複数の団体が出来上がっていた。
 そこから数分後、バスが到着して扉が開いた。バスからは先生らしき黒髪のショートヘアーの一見優しそうな雰囲気を出している女性の人が降りてきて、そして、
「席は片方に二人ずつ入れるのでゆっくり入って、座ってください」
 先生らしき人はそう言ってバスに生徒を誘導を始めた。片方二人ずつ座れるようで、バスの定員数は40名らしい。皆が乗り込んでいく。それを見た葵は何かを呟いた。
「う~、緊張してきたの」
 大抵葵は緊張した時最後に「の」などを付ける癖がある。それを知っている零はやれやれした顔で、
「大丈夫だよきっと。すぐに馴染むよ」
 零は優しく言った。それを待っていたかのように葵は、零に”ありがとう”っと言った。
 零達二人は中央の空いてた二席を隣同士で座った。バスは全員乗り込んだのを確認するとドアを閉めて、出発した。零は窓際に、葵はその隣に座った。何かと視線を気になる零は、ちらちらと周りに視線を見たりした。周りの男子生徒達が視線を零に向けていたのだ。
 いくつもの視線を感じるのは当然だった。葵は、零が気付かないだけで和風が似合いそうな美少女なのだ。それで視線が集まるのだ。いや、零にとっては視線を最初に感じたのは、会場に入った時からだった。
 葵はこの事に気付いてない。その時から葵は、学校の授業や生活の事など先の事を考えていたからである。
 苦笑いしながら、その場を乗り切ろうっと考えた零は窓から外を見始めた。その時に、
「は~い、注目~」
 前の方から声が聞こえてきた。さっきのバスとともにやってきた女性の先生らしき人だった。女性は、
「本日から、一年間の担任をすることになった名虎聖子です。年齢は、秘密なので聞かないように」
 女性が名虎っと自己紹介をした。見ただけでは、20代前半に見える。名虎先生は何かを言ってきた。
「私もまだ先生になってから2年目なので、仲良くしましょうね」
 多分年齢は23歳辺りだろう。心の中で零は静かに思った。名虎先生は、何かと初めての担任ともあって緊張しているようだ。日本の法律で就任1年目の先生は、担任になれない法律があるからだ。
 名虎先生はバスの中で学校行事や、簡単なバスガイドをしてくれた。バスが出発して30分も経った頃に、学校の敷地でありそうな所に入って行った。そして名虎先生が、
「今学校に着いたので、前から順番に降りてください」
 学校も先ほどのドーム以上に広い敷地といくつもの学校内に施設があると、バスの中で名虎先生が言っていた。次々と前に座っていた生徒が降りていく。それに続いて零と葵は降りた。全員降りて、先生がバスの運転手にお礼を言った後にバスは去って行った。
 名虎先生は皆に移動の指示を出して、集団での教室移動が始まった。校舎は、4階建ての構造になっている。その他にも東校舎や、西校舎と言った校舎もある。名虎先生が、
「教室に着いたので黒板に書かれている所に座って待っていてください」
 そう名虎先生が言って次々とクラスに入って行く。
 零達のクラスは東校舎の3階のAクラスだった。ついさっき駐車場で見た人達も外にいた事から、ここに入って行く。その時葵が、
「それにしても学校広いね。生徒何人いるんだろうねえ」
 その質問には、さすがに零も分からないと答えるしかない。毎年定員数が集まってないのもあるせいだ。それでも大体の人数を葵に教える。
「多分4000人ぐらいじゃないかな。てか、それ先生に質問とかにしてしたらどうなの」
「そうだよね。そういうのとか絶対先生が詳しそうだもんね」
 そんな会話をしながら零は、教室に入った。そして教室を見渡した。机の配置は、横一列8人座れて、後ろ毎に席が少々高くなっている。席も決められており、電子黒板に机の配置の図に誰がどこに座るのかを名前で書かれていた。零の席は、前から二列目の窓際。二列目の廊下側に座った。
 零と葵は、指定してあった席についた。全員が座ったのを名虎先生が確認すると、
「皆さん注目~」
 名虎先生が皆の視線を集めて、
「改めましてようこそ、聖魔学園に。そして合格おめでとうございます」
 教室にいる者達に祝福をした。その後に学園の規則や校内の説明。そして寮などを話していた。学園は全寮制になっており、シェアハウスもあるとか。
 話すことを話した感のした顔をした名虎先生が、最後にニコッとして、
「では、皆さん自己紹介をしてくださいね。名簿順だと安里君からね。あ、前に出て言うのですよ」
 ニコニコしながら名虎先生は言った。安里と言う男子は、”はい"っと言って席を立ち、前にでて自己紹介を始めた。零の順番までは9番目で、葵の方は23番だった。次々と自己紹介がされていく。そして、
「次光咲君ですよ」
 零が呼ばれ、”はい”と返事をして前の方に行く。先生の隣に立つとくるりと生徒の方に向いて、
「光咲零です。まだまだ未熟ですがよろしくお願いします」
 白い髪をゆらゆら揺らしながらお辞儀をした。そして、顔を上げると席に戻っていった。席に座った零の次の女子生徒が立って前へ降りていく。 顔をこちらに向けて挨拶を始めた。次々と挨拶が続き、葵の順番になった。
「次東野月ちゃんですよ」
 この担任は女の子にちゃん付けで読むのかっと零は、思ってた。葵が先生の隣に立つと、こちらを向き、
「東野月葵です。一年間よろしくお願いします」
 葵が挨拶をした。バスと同様少しばかりは、騒めきが生まれる。それくらい綺麗っと言うのだろう。その時名虎先生が、
「彼女は試験の検査で魔力反応Sを出したのですよ。みんなで仲良くしてくださいね」
 それを先生が言ったら、さっきの騒めきが大きくなった。魔力を使いこなせるかのランク付けがされている。零の場合はCである。学園のクラス分けは能力とスキルを即実践練習出来るか出来ないかの差である。試験には筆記・身体検査・最後に魔力の実技がある。最後の実技でクラス分けがされているようだ。
 その後葵は一礼して席に戻り、次の人が行く。中には、海外の人もいた。そして、また教室が騒めき始めた。男子達が席の前にいるショートヘアーの少女で騒めいてたようだ。
「北路鏡花です。皆さん仲良くしてくださいね」
 笑顔とともに挨拶をした。そして、男子の殆どは歓迎する声を出した。緑の髪に緑の目をしている北路は、挨拶を終えると席に戻っていった。その後全員の自己紹介が終わると先生が、
「は~い、今から電子手帳渡しますね。中には、今後お世話になる寮の地図も入ってるので、見ておくことに」
 電子手帳は学生証でもある。ある程度の学園の情報も入っている代物だ。配布終わった後にチャイムがなった。
「では、今日の授業は終了です。明日から授業があるので忘れずに。最後に学園に預けてあった荷物は、既に寮に運ばれていますので。では、解散」
 それだけを言い残して教室を去っていた。その後、自己紹介の時に騒めいてた美女二人の所に人が集まってた。零はそれを見ていると零の近くに男子生徒が来て、
「お前さんの連れ、非常に人気だね」
 それを零に言った。零は、
「全くだよ。小学からずっと一緒だからかな」
それを男子に言った。男子生徒は、
「あ、俺は茨城潤だ。よろしく」
「光咲零だ。こちらこそ宜しく」
 自己紹介してきた。零もそれに続いて自己紹介をした。潤は、
「まあ、同じ葵ちゃんは相当強そうだけど」
 潤の言う通りだ。ランクがSでると、能力やスキルを使いこなさないと検査では出ない。ランク付けと言っても魔力の強さ、そして何処まで使いこなしているかで判定されている。
「そういえば、葵ちゃんとはどんな関係なんだ。それが気になってよ」
 潤が零に質問してきた。それを零は、
「昔からの幼なじみと道場の同級生だよ」
 潤に説明した。潤は納得したかのように、
「そうなんか。道場って、門下生何人いたんだ」
 道場についての質問をしてきた。零達が通ってた道場は、零達だけしかいなかった。零は、その質問に対して、
「俺と葵だけだよ」
 二人しかいなかったっと言った。
「マジか。なら、そこの道場に通うだけでSまで行けるなんてな」
そんな会話をしてると葵が零の所に来て、
「そろそろ校内見たいので、行こう」
 などと言ってきた。その後ろでは、男子達が殺気だっていた。零は苦笑いしながら、潤に一言言ってから葵と教室を出た。
  
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