対異世界防衛学園

くノ一

文字の大きさ
37 / 55
メインストーリー

36.捨て猫を拾った時2

しおりを挟む
「えーとここでいいんだよね」
「多分ここだね。一番近いのここのペットショップで間違いないよ」
 葵が電子パネルを片手にそういった。
 今俺らがいるのは一番近い第一学園ショッピングモールだ。ここのモールは円状に作られていて、かなり中は広く作られているが……、ここのペットショップは一箇所しか見当たらない。まあ、この猫の為の必要品を買いに来ただけなんだけど。
「俺は必要ないのに何故いく必要あるのだ」
「当たり前だろ。無かったら逆に不自然過ぎるからな」
 窓ガラスにはペット用の遊びアイテムや容器など、何ともペットショップらしく飾られていた。
「ここペットは売られないみたいだね。ペットの日常品しか売られてないって。て、そこそこ評価良いわね」
 葵は更に店の情報を見ていた。ペットの日常品ぐらいしか売ってなく、更には評価もそこそこ良いのか。なら安心して買い物出来そうだ。
 そして俺は扉を開けた。開けた時に鈴が鳴る仕組みになっているらしく、綺麗な音が聞こえた。それと同時に奥のカウンターに座っていた店員が見えたが少し暗く顔までは見えない。
「いらっしゃい……だ。ここはペットショップの日常品しか取り扱わない……、いわばペットアイテム店ラズベリーだ。今日のお客ー」
 俺はカウンターに座っていた男性声の人を見た瞬間に悲鳴を上げる如く、ドアを勢い良く閉めた。
「え、何々?何を見たの」
 隣では見てなかったのか葵が首をかしげていた。俺は首をゆっくりと左右へと振る。中には黒人で軍人並みに鍛えられた体に口にはタバコが加えられていた。さすがにギャップの差がおかしいだろ。
 一瞬の出来事だったが、腕に乗せていたマリーも見ていたみたいで顔が完全に固まっていた。
「こ、ここ以外ないのか?」
「え、あるわけないじゃない。あるなら第二辺り行かないと」
 近場なのに何故ここしかないの……、あの店員見ただけでここそこそこ評価が高いのは疑問に感じてしまう。
 手を掛けようにも先ほどの店員のせいで開けるのが一苦労に感じてしまう。そんな時、呆れたのか葵が、
「開けたくないなら私が開けるよ」
 そう言ってドアノブを触り、ドアを開ける。すると、
「いきなり閉めるなんてひどいんじゃないのか」
 ドアの目の前には先程の黒人の店員が立っていた。葵は固まっているが、ゆっくりと閉め始めた。あとちょっとのところで、
「おっと店に用があるのは分かってるよ。入りな」
 ドアを手で押さえて、俺と葵、そして一匹が来店した。
 中は案外広く出来ていた。てかここホールの中だから広いのは分かるが……、確かにペットの日常品が置いてある。
 必要な物は全てリストアップしてるからそれを揃えるだけかな。
「葵そっちはこれを探してくれないかな」
「分かったよ」
 書かれたメモを葵に渡したら、それを探しに奥へと消えていく。さて、残りの品は探さないと。とりあえず、目の前にあるペット用ご飯を買わないと。
「俺の食事は普通の料理でもいいんだが」
「こんなの嫌いなのか」
「そのご飯は何故普通に食べれるのかが謎だ」
  この猫は猫の缶詰を見るなり、首を左右へと降っていた。なら、ご飯以外のものを買うか。
 タバコを口に加えた黒人の店員がやって来た。
「おっと俺の名はブラウニー・ジャンと申します。ここラズベリーの店主をしております。それよりお客さん。猫の探しものですかい」
 本人はそう名乗っているが、よく見るとどこかの傭兵にしか見えない。てか、店員に見えないんだが。
「……そうですが」
 俺は息を呑みながら、返事をした。幾つのも戦場を駆け巡ったような雰囲気をただ寄せていたのだ。
「なら、これがオススメですよ」
 すると猫のぬいぐるみを取り出した。……え、何に使うのこれ。猫にぬいぐるみで遊ばせるのかな。でもこの猫は遊ばないだろう。テーブルで座っている猫は見る気もないのか、別のところを見ていた。
「それは何に使うの……?」
 恐る恐る聞いてみると、
「それは……こうするんですぜお客さん」
 するとぬいぐるみに手を突っ込み、カチっと音を立てる。すると猫の口が開き、中からハンドガンらしき物が顔を出す。……え、何物騒なの取り出してるのこの人。
「対人用銃器ですぜお客さん。もちろん魔導銃器ですからお客さんでも扱えるかと」
 元に戻してそれを俺に渡す。ここペットショップじゃないの!!
 まあ、ここはこの店員に習って、突っ込んでからハンドガンの銃口を出して、それをここへと試し射ちするっと。
「お客さんならすぐに感は掴めるかと……ん?」
 足元をちゃんと狙って……、そして引き金を引く。
 銃声が二、三発地面へと撃ち込む。無論黒人の足元にだ。素早い動きで後ろへとバックする。
「危ないですぜお客さん。そんな物騒な物を人に向けちゃいけませんぜ」
「ならこんな物品として置いとくなーー」
 流石に銃など置いてるとか、ここ一体何の店なんだよ。よくよく見ると周りに銃器が入れてそうな品が意外とあった。まあそれは置いとくとして、一応品だけ揃えて帰るか。
 「これとかいいかも」
 ペットの部屋と書かれた小さな箱が置いてあった。多分ここが猫達の寝室になるかも。
「俺は中央が空いたドーナツ型のクッションでいいよ」
 何言いたいんだこの猫は……、まあ楽だからいいけど。
 箱から目を離し、別の物を見ようとした時、
「……ん?」
 見慣れた円状の筒で横の長さが大きい物が目に止まる。……これは……ロケットランチャー?て、何故こんな物がここに置いとるんだ。多分こういう物は『撃てないようで撃てちゃうんだぜ』的な感じのシチュエーションしか感じられないんだけど!!
「お客さん、お目が高いですな。それはうちの目玉商品ですぜ」
 いやいや、こんな物騒な物が店の目玉商品にしたらダメだろ。この店はやばい品まで置いてるのか。
「ちょっと触ってもいいでしょうか」
 もうダメ……、呆れた声しか出せないんだけど。黒人のブラウニーはふっと密かに笑いながら、語った。
「いいですぜ。だけど気をつけてくだせ。それ、一応本物なんで」
 一応本物か……ならば!
 俺は発射口を黒人へと向けてから発射する。閃光が走り爆発が起こる。
『おい、今の何だ』
『近くで爆発したけど……、てまたテロじゃないよね』
 外まで響いたのか、外から騒ぎ声が聞こえてくる。これも本物……て、流石にやり過ぎたか。黒人の男はロケランを顔面で受けて立っていたが、そのまま後ろへと姿勢を崩さず倒れた。
「ちょっとそれヤバくない!!顔から煙出ているんだけど」
「この人特殊訓練とか受けてそうだから大丈夫じゃないかな」
 流石にマリーも驚いているようだが、このロケランは威力弱めの脅しようの為だと思われる。もし威力高けりゃ、この店普通に倒壊していただろう。
「お客さん。人に向けてそんな物を撃ったら危険ですぜ」
 未だに顔が煙で見えてないブラウニーは立ち上がった。いや、顔今どうなってるの。煙のせいで全く見えないんだけど!
「そのロケランはRPG-07M。旧式の実弾式のRPGを魔導用に改良されたのがそれですぜ」
 ブラウニーは解説を始め、終わった頃に煙がだんだんと薄くなり、素顔が見えてくる。
 俺はその素顔を見た時に思った。
 ……何故顔がモザイク状になってるんだってね。
「こりゃ失敬。見せられない顔に仕上がったようで少々含んでお待ちを」
 顔はどうでもいい。テレビとか番組とかでモザイク使うのは分かるが、リアルでモザイク状態になるの初めて見た気がする。そもそもどうなったら出来るんだ!
 ブラウニーはタオルなどで顔を拭く。拭き終わった時は先程と変わらない顔になったと思ったら頭から血が流れ落ちる。
「まだ吹き忘れがありました。少々お待ちくだせえ」
 そしてもう一度吹き終わった時に、胸から箱を取り出し、その中に入っていたタバコを取り出し口へと運ぶ。その時にいい香りが漂う。
……ん?この匂いは……
「それってチョコですか……」
 微かにカカオの匂いを感じたのだ。え、この黒人タバコを吸ってるかのように見せかけて、実際はチョコを口に入れてただけなの……。
「よくお分かりで、これはブラックチョコであまり溶けないんで毎日食べる程飽きないんですぜ」
 意外とチョコ好きなんだなこの人。意外過ぎて声にも出ないよ。ただ単に雰囲気作りしてたに過ぎないって事かよ。
「零、一応頼まれた品は買ってきたよ」
 奥で別の品を揃えに行っていた葵が戻って来た。
「……って、さっきこっちで何があったの?爆発や銃声とかなってたけど」
「いや、何もないよ」
 俺は首を横に振る。隣で立っていた黒人をよく見るとまだ煙が出ていたが、まあ気にしてもしょうがないだろう。
「お客さん、色々とありましてね。顔面にRー」
「こーら、また派手に魔力弾を受け止めて」 
 ブラウニーの話している時に奥から女性の声が聞こえて来た。足音がだんだんと近づき姿を表す。この店員とは違い肌が白い人だった。
「すまないねえ。この店員はある意味頑丈だから、そんなロケランじゃ気絶すらしないよ」
 それじゃどんな事したらこの人倒れるんだ。てか、俺は何してるんだ。必要な物揃えてから早く出ないと。
「……やるならこれをかけてやりな」
 香水みたいな入れ物を俺に向けて投げた。これはなんだろうか。まだ中には液体が入っている。これは水みたいな液体だなこれ。
「あの、これなんですか」
 恐る恐る聞いてみると、
「それは睡眠スプレーさ。掛ければ一発KOさ」
「よくこんなの正々堂々と渡せますね」
 やっぱ睡眠スプレーだよなこれ。こんな頑丈になるような特殊訓練受けた店員にはこれしか効かないよな。
 これは置いといて、探し物しないと。この黒人への攻撃ばっかしてたから必要な物が揃ってない。
 えーと、一つ目はこの首輪でで二つ目はこの猫じゃらし、三つ目はこの容器っと。葵にはその他の物が書かれた品を頼んでるんで見ている限りだと既に購入したようだ。
 さっさと買ってここから出るか。そう思いながらも俺はレジへと向かい買い物を済ませた。

二人が出た後、店員の二人が密かに会話を始めてた。
「どうだったんだい。ロケランを味わった気分は」
「酷いもんだぜ。流石にケガはしなくても痛いぜあれは」
 日常的な会話を交わしていた。女性の店員は、
「なら、さっさと武器をしまいな。あの方のご要望通りにしたから満足だと思うけど」
「俺は酷い目にあったはずだが」
「知らないね。さっさと仕事に戻るよ。ブラウニー」
 彼女は奥へと戻っていった。
「分かったぜ。シャル嬢」
 ブラウニーも自分の仕事へと戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。 そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。 クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。 こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。 そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。 そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。 レベルは低いままだったが、あげればいい。 そう思っていたのに……。 一向に上がらない!? それどころか、見た目はどう見ても女の子? 果たして、この世界で生きていけるのだろうか?

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

誰からも食べられずに捨てられたおからクッキーは異世界転生して肥満令嬢を幸福へ導く!

ariya
ファンタジー
誰にも食べられずゴミ箱に捨てられた「おからクッキー」は、異世界で150kgの絶望令嬢・ロザリンドと出会う。 転生チートを武器に、88kgの減量を導く! 婚約破棄され「豚令嬢」と罵られたロザリンドは、 クッキーの叱咤と分裂で空腹を乗り越え、 薔薇のように美しく咲き変わる。 舞踏会での王太子へのスカッとする一撃、 父との涙の再会、 そして最後の別れ―― 「僕を食べてくれて、ありがとう」 捨てられた一枚が紡いだ、奇跡のダイエット革命! ※カクヨム・小説家になろうでも同時掲載中 ※表紙イラストはAIに作成していただきました。

異世界でも保育士やってます~転生先に希望条件が反映されてないんですが!?~

こじまき
ファンタジー
【読んでいただいて♡いただいて、ありがとうございます。王城編準備中のため、12月12日からしばらく更新お休みします。考えてた構成が「やっぱなんか違う」ってなり、慌てております…汗】 「こんな転生先だなんて聞いてないっ!」六年間付き合った彼氏に婚約を解消され、傷心のまま交通事故で亡くなった保育士・サチ。異世界転生するにあたり創造神に「能力はチートで、広い家で優しい旦那様と子だくさんの家庭を築きたい」とリクエストする。「任せといて!」と言われたから安心して異世界で目を覚ましたものの、そこはド田舎の山小屋。周囲は過疎高齢化していて結婚適齢期の男性なんていもしないし、チートな魔法も使えそうにない。創造神を恨みつつマニュアル通り街に出ると、そこで「魔力持ち」として忌み嫌われる子どもたちとの出会いが。「子どもには安心して楽しく過ごせる場所が必要」が信条のサチは、彼らを小屋に連れ帰ることを決め、異世界で保育士兼りんご農家生活を始める。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...