スパイは踊らない～学園に潜む影と恋～

第一章 スパイと令嬢

第３話 ハイドの行動分析

転校二日目。今日のメインの行動は、「結衣の行動分析」だ。もしこれで何かがあってもある程度居場所なども特定できるので任務においてとても重要な過程だ。この朝までの行動をまとめるとこうだ。基本7:50～7:55門を通過、8:05Aルートを通り203教室に入る。着席後すぐこちらを14回チラチラとみて所持品を何か落とす。拾うと笑顔になり話しかけてくる。自宅の猫の話題が多い。8：15トイレへ。…などといたところだ。結衣はそれにしてもだいぶおしゃべりのようだ。離れようとしても手を引いてまでしゃべってくる。

　なんですって‼なんで私に手を引かれても落ちないの？うっそうそう焦ってはダメよ私！戦いに勝つにはまずは相手を知ることだって田中角栄だっけ？まあなんかどっかの偉い人が言っていた気がする!!!

「あなた好きな食べ物は何？」

「とくに選り好みはない」

「じゃあ好きなアニメは？」

「見たことない」

「動物は？映画は？」

「というか全部今関係ないだろ。今理科の実験中だろ。ほらその薬品気を付けないとこぼれるぞ」

「大丈夫ちゃんと指示通りの手順でやっているしあとマッチだけつければッてアツっ!!!!」大きな炎が立ち上る。するとあいつは驚いて倒れそうな私を支えながらサッと先生が振り向く前に水で消火していたそれもちりばめていたプリントが濡れないようにピンポイントで!!!（ドキッ）…ん？ドキッ？全然そういうんじゃないんだけど。あいつに気をそらされただけなんだけど。

　授業後、ハイドは正直くじけかけていた。一枚も報告書がまとまらなかった（わからんあいつは何がやりたいんだ？）改めて自分のまとめたリストを見る。昼―クラスメイトが購買の生メロンクリーム入りメロンパンをターゲットに譲ろうとしたのに対し「私はダイエットをしているのでそんな庶民的なものは食べないわ」と豪語。しかし、その後誰もいない時間を狙い購買で4つ生メロンクリーム入りメロンパンを買い屋上にて食事。社会の授業中―テストの返却時「私は学年で最上層の生徒よ。舐めないでほしいわ」と豪語。しかし、記述が全滅。休み時間―記述問題のコツについて聞かれたので適格に助言したところ立腹後教室から退出…どれを見てもつじつまが合っていない。思春期特有の感情変化なのか？ん～・・・

　そのころすでに寮に着いた結衣（しかしなんか今日あいつに昨日よりじっと見られていた気がする…はっ！もしかして落ちた⁈やっぱ落ちた⁈でもあいつ難攻不落そうな感じだし…まあ何かしらの興味は引き出せたということだわよね!!!っしゃあ明日からはもっと攻めの姿勢でやってやろうじゃないの!!!）果たして結衣はハイドを落とすことができるのか…