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第三章 謎の男
第37話 遠藤5
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突然路地で曲がったり階段を上ったり下りたりと複雑な道を走り抜ける。
いい加減疲れ足を地面に踏み込む。
息を切らしながら、声を荒げた。
「Explique-moi !(説明しろよ!)」
ピエールは再び足進めながら低く言った。
「Tu es suivi.(お前は追われている)」
は?
「Pourquoi moi ? Je ne sais rien !(どうして僕が?僕は何も知らない!)」
ピエールが初めて振り返る。
「C'est parce que tu es un étranger.(お前がよそ者だからだよ)」
もうしばらく走ると分厚い壁が見えてくる。
有刺鉄線がサーチライトに反射し鋭く光る。
壁沿いをしばらく進むと建物と壁の間に木箱か何かが積み上げられている場所があった。
「On entre.(入るぞ)」
「Hein ? Non, je ne veux pas.(は?やだよ)」
「Allez, vas-y !(いいから)」
腕を引く力が強くなり無理やり壁の上に押し上げられる。
壁を超えると近くに倉庫らしき建物がありサーチライトをよけるかのように物陰へ走った。
物陰に着くとやっとピエールと視線が合う。
肩をガシリとつかまれる。
息を荒げながら言った。
「Tu m'entends ? Tu retournes immédiatement au Japon.(いいか?お前は今すぐ日本に帰れ)」
は?もう訳が分からん。
「Pourquoi ? Je viens juste d'arriver aujourd'hui...(なんでだよせっかく今日来たばっかりなのに…)」
「Sors de cette prison, traverse la grande avenue et tu verras l'ambassade du Japon. Va là-bas !(この刑務所を抜けて大通りを一本抜けるとすぐに日本大使館が見える。そこに飛び込め!)」
息がどんどん荒くなってゆく。
「Mais pourquoi ?(だからなんでだよ)」
「Allez, vas-y !(いいから早く!)」
背中を無理やり倉庫の奥の壁に押す。
しかしどうしても聞きたいことがあった。
「Donne-moi au moins une raison ! Hé !(せめて理由くらい教えろよ!なぁ!)」
押される力が一瞬弱まった。
「Tu es poursuivi depuis ton arrivée au village.(お前村に着いた時から尾けられてんだよ)」
「Qui ça ? Je n'ai rien fait de mal... !(誰だよそれ!俺何も悪いこと――!)」
「Ne crie pas.(大声を出すな)」
いったい何なんだよ!
「C'est une organisation xénophobe radicale.(排外強硬派の連中だよ)」
「Pourquoi est-ce que ces types t'ont pris pour cible ?(何でそんな奴らに狙われてんだよ)」
「C'est à cause de la station de transformation du pipeline. Elle a été installée près du village.(パイプラインの変圧所だよ。それが村の近くに設置されたんだ。)」
――――――――――――あんたらが来てからだよ……!パイプだ、機械だ、知らない連中が押し寄せてきたのは……!――――――――――
そういう意味だったのか…
「Ils tuent tous les étrangers qu'ils voient.(あいつらは外人を見かけたらすぐ殺しに出る。)」
「Les champs pétrolifères sont sous la juridiction du pays, mais le pipeline appartient toujours à une entreprise étrangère. Il y a des gens qui veulent le récupérer de force pour leur pays.(油田は国の管轄だがパイプラインはまだ外国企業のものだ。それを無理やりにでも祖国のものにしようと思う輩がまだいるんだよ。)」
そこでおばちゃんが話していたある言葉を思い出した。
――あの子だって、
銃を持ちたかったわけじゃない…
…銃?
「.. Tout à l'heure, ta mère a dit que cette fille aussi, elle avait un pistolet...(……さっき、あんたの母親が言ってたんだよ。あの子だって、銃を……ってな。)」
ピエールの顔がゆがむ。
「Mais qu'est-ce que tu as fait ?(お前いったい何したんだよ。)」
「Ma mère a déjà plus de 60 ans. C'est sûrement un faux souvenir ou tu as mal entendu.(母さんはもう60代だぜ。どうせ記憶違いかお前の聞き間違いだよ。)」
顔のゆがみを振り払うように笑いだす。
「Ne crois pas que tu peux me tromper.(お前、俺をだませると思うなよ)」
ピエールとは長年をともにした仲。
焦った時の癖くらいわかる。
「C'était vrai. (あれは本物だった)」
ピエールはそれ以上何も言わなかった。
「C'est lui, l'Asiatique ?(こいつが例のアジア人か?)」
奥から足音を立ててガタイのいい男がやってきた。
タバコの匂いが立ち込める。
「Alors, je vais lui parler.(なら俺から全て話そう)」
「Patron !(ボス!)」
ピエールが強く止めたが男の口は開いた。
「C'est nous qui avons tué tes parents.(お前の両親を殺したのは、俺たちだ。)」
いい加減疲れ足を地面に踏み込む。
息を切らしながら、声を荒げた。
「Explique-moi !(説明しろよ!)」
ピエールは再び足進めながら低く言った。
「Tu es suivi.(お前は追われている)」
は?
「Pourquoi moi ? Je ne sais rien !(どうして僕が?僕は何も知らない!)」
ピエールが初めて振り返る。
「C'est parce que tu es un étranger.(お前がよそ者だからだよ)」
もうしばらく走ると分厚い壁が見えてくる。
有刺鉄線がサーチライトに反射し鋭く光る。
壁沿いをしばらく進むと建物と壁の間に木箱か何かが積み上げられている場所があった。
「On entre.(入るぞ)」
「Hein ? Non, je ne veux pas.(は?やだよ)」
「Allez, vas-y !(いいから)」
腕を引く力が強くなり無理やり壁の上に押し上げられる。
壁を超えると近くに倉庫らしき建物がありサーチライトをよけるかのように物陰へ走った。
物陰に着くとやっとピエールと視線が合う。
肩をガシリとつかまれる。
息を荒げながら言った。
「Tu m'entends ? Tu retournes immédiatement au Japon.(いいか?お前は今すぐ日本に帰れ)」
は?もう訳が分からん。
「Pourquoi ? Je viens juste d'arriver aujourd'hui...(なんでだよせっかく今日来たばっかりなのに…)」
「Sors de cette prison, traverse la grande avenue et tu verras l'ambassade du Japon. Va là-bas !(この刑務所を抜けて大通りを一本抜けるとすぐに日本大使館が見える。そこに飛び込め!)」
息がどんどん荒くなってゆく。
「Mais pourquoi ?(だからなんでだよ)」
「Allez, vas-y !(いいから早く!)」
背中を無理やり倉庫の奥の壁に押す。
しかしどうしても聞きたいことがあった。
「Donne-moi au moins une raison ! Hé !(せめて理由くらい教えろよ!なぁ!)」
押される力が一瞬弱まった。
「Tu es poursuivi depuis ton arrivée au village.(お前村に着いた時から尾けられてんだよ)」
「Qui ça ? Je n'ai rien fait de mal... !(誰だよそれ!俺何も悪いこと――!)」
「Ne crie pas.(大声を出すな)」
いったい何なんだよ!
「C'est une organisation xénophobe radicale.(排外強硬派の連中だよ)」
「Pourquoi est-ce que ces types t'ont pris pour cible ?(何でそんな奴らに狙われてんだよ)」
「C'est à cause de la station de transformation du pipeline. Elle a été installée près du village.(パイプラインの変圧所だよ。それが村の近くに設置されたんだ。)」
――――――――――――あんたらが来てからだよ……!パイプだ、機械だ、知らない連中が押し寄せてきたのは……!――――――――――
そういう意味だったのか…
「Ils tuent tous les étrangers qu'ils voient.(あいつらは外人を見かけたらすぐ殺しに出る。)」
「Les champs pétrolifères sont sous la juridiction du pays, mais le pipeline appartient toujours à une entreprise étrangère. Il y a des gens qui veulent le récupérer de force pour leur pays.(油田は国の管轄だがパイプラインはまだ外国企業のものだ。それを無理やりにでも祖国のものにしようと思う輩がまだいるんだよ。)」
そこでおばちゃんが話していたある言葉を思い出した。
――あの子だって、
銃を持ちたかったわけじゃない…
…銃?
「.. Tout à l'heure, ta mère a dit que cette fille aussi, elle avait un pistolet...(……さっき、あんたの母親が言ってたんだよ。あの子だって、銃を……ってな。)」
ピエールの顔がゆがむ。
「Mais qu'est-ce que tu as fait ?(お前いったい何したんだよ。)」
「Ma mère a déjà plus de 60 ans. C'est sûrement un faux souvenir ou tu as mal entendu.(母さんはもう60代だぜ。どうせ記憶違いかお前の聞き間違いだよ。)」
顔のゆがみを振り払うように笑いだす。
「Ne crois pas que tu peux me tromper.(お前、俺をだませると思うなよ)」
ピエールとは長年をともにした仲。
焦った時の癖くらいわかる。
「C'était vrai. (あれは本物だった)」
ピエールはそれ以上何も言わなかった。
「C'est lui, l'Asiatique ?(こいつが例のアジア人か?)」
奥から足音を立ててガタイのいい男がやってきた。
タバコの匂いが立ち込める。
「Alors, je vais lui parler.(なら俺から全て話そう)」
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