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第6章 儀式の夜
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兵士たちがざわめき立ち、司祭は目を見開いて立ち尽くした。
その光の中心、誰もが目を凝らした。
やがて――そのなかから、ふわりと現れたのは、白い毛並みの、あの存在。
「……うさ太!?」
ルーラの口から、抑えきれない声がもれた。
「ルーラ! 迎えにきたよ!」
光の中から飛び出してきたうさ太は、かつてより少しだけ凛々しい顔つきをしていた。背には月の紋章が浮かび、手には青く輝く指輪があった。
「馬鹿な……!」アーネストが剣を抜こうとする。「結界の中に……なぜ入れる!?」
「やめて、アーネスト!」ルーラが叫んだ。「これは奇跡よ! 私の……奇跡!」
うさ太がアーネストの前に立つ。
「剣なんていらねぇよ。おいらは戦いに来たんじゃねぇ。……ルーラを迎えに来たんだ」
「何の権利があって――!」
「想いの権利だよ!」
アーネストが一瞬、言葉を失ったその隙に、ルーラはうさ太に駆け寄り、ぎゅっとその柔らかな体を抱きしめた。
「うさ太……ほんとうに、ほんとうに……!」
「ルーラ……会いたかったよ」
ルーラの目から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
光は徐々に消え、騒然とする儀式の場に静寂が戻る。
しかし、すべてはもう変わっていた。
ルーラの手は、しっかりとうさ太の背に添えられていた。あの夜の光が、空想を現実へと変えたのだった。
その光の中心、誰もが目を凝らした。
やがて――そのなかから、ふわりと現れたのは、白い毛並みの、あの存在。
「……うさ太!?」
ルーラの口から、抑えきれない声がもれた。
「ルーラ! 迎えにきたよ!」
光の中から飛び出してきたうさ太は、かつてより少しだけ凛々しい顔つきをしていた。背には月の紋章が浮かび、手には青く輝く指輪があった。
「馬鹿な……!」アーネストが剣を抜こうとする。「結界の中に……なぜ入れる!?」
「やめて、アーネスト!」ルーラが叫んだ。「これは奇跡よ! 私の……奇跡!」
うさ太がアーネストの前に立つ。
「剣なんていらねぇよ。おいらは戦いに来たんじゃねぇ。……ルーラを迎えに来たんだ」
「何の権利があって――!」
「想いの権利だよ!」
アーネストが一瞬、言葉を失ったその隙に、ルーラはうさ太に駆け寄り、ぎゅっとその柔らかな体を抱きしめた。
「うさ太……ほんとうに、ほんとうに……!」
「ルーラ……会いたかったよ」
ルーラの目から、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
光は徐々に消え、騒然とする儀式の場に静寂が戻る。
しかし、すべてはもう変わっていた。
ルーラの手は、しっかりとうさ太の背に添えられていた。あの夜の光が、空想を現実へと変えたのだった。
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