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青木くん
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青木くんが突然東京から消えてかれこれ25年経つ。僕の記憶には25年前の彼の顔しか分からない。自分の顔を見る。かなり顔の筋肉がたるんでいる。張りというのがなくなったのであろう。
青木くんもこんな顔かなあ。彼は僕より一つ歳が上だから51歳である。
どうして突然、さようならも言わずに新潟に帰ってしまったのであろう。それを僕は会ったら聞いてみたい。人生80年。あと30年は生きられるだろうか。明日も分からない。そんなことをふと思う。彼は何をしているのであろう。地元で建築家になっているのか。
そうだ。あの最後の年、青木くんは1級建築士の免許を取ったと言っていた。1級免許を取ったから新潟に帰ったのだ。東京にいる理由がなくなったに違いない。それにしても、壮行会を開いて見送ってあげたかったなあ。そう言えば、お祝いをしてあげなかったな。
本当に今どうしてるのだろう。
そんなことを考えていたら、翌日、青木くんが僕を訪ねてきてくれた。久しぶりだね、って彼は言った。握手をしようと、僕が手をさしのべたら、笑ってずっと立ってるだけだ。彼がやっと口を開いた。
「別れの挨拶してなかったね。ごめん。でも、今度はちゃんとしに来たから」
「え? 今度は何処へ行くの? 」
彼は右手を上に持っていった。僕はその先を見た。秋の青空が広がっていた。うっすら雲がかかっていた。僕が視線を戻すと青木くんは既にそこにいなかった。
僕には何となく青木くんの行き先が分かった。そう何年後かには、また青木くんに会えるだろう。僕もそこに行くのだから。
青木くんもこんな顔かなあ。彼は僕より一つ歳が上だから51歳である。
どうして突然、さようならも言わずに新潟に帰ってしまったのであろう。それを僕は会ったら聞いてみたい。人生80年。あと30年は生きられるだろうか。明日も分からない。そんなことをふと思う。彼は何をしているのであろう。地元で建築家になっているのか。
そうだ。あの最後の年、青木くんは1級建築士の免許を取ったと言っていた。1級免許を取ったから新潟に帰ったのだ。東京にいる理由がなくなったに違いない。それにしても、壮行会を開いて見送ってあげたかったなあ。そう言えば、お祝いをしてあげなかったな。
本当に今どうしてるのだろう。
そんなことを考えていたら、翌日、青木くんが僕を訪ねてきてくれた。久しぶりだね、って彼は言った。握手をしようと、僕が手をさしのべたら、笑ってずっと立ってるだけだ。彼がやっと口を開いた。
「別れの挨拶してなかったね。ごめん。でも、今度はちゃんとしに来たから」
「え? 今度は何処へ行くの? 」
彼は右手を上に持っていった。僕はその先を見た。秋の青空が広がっていた。うっすら雲がかかっていた。僕が視線を戻すと青木くんは既にそこにいなかった。
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