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第13章 小山内慶子の攻略

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「意中の方のハートをつかむなら、その方の胃袋を最初につかむのよ。生物は空腹が満たされれば闘争心が和らぎます。食べている料理が美味しければ美味しいほど、話は弾み、心をひらいてくれます。お付き合いが進めば、美味しい料理は心をさらに豊かにしてくれます。集まった仲間の気持ちが穏やかになったとき、心からあなたのあふれる愛で、その方たちを包むのです。やがて、お互いの心が大きく開いたとき、あなたはその方たちの心に受け入れられ、同体になれるのです。それは未来にわたってあなたの大きな力となるでしょう。あなた自信に、まず、大きな愛を育てなさい。あなたに愛が詰まったとき、あふれる愛が周囲を愛で包むでしょう。包むことは包まれることでもあるのです。小山内グループはそうやって絆を深めてまいりました」と諭された。慶子にとって、母の言葉は、料理の手ほどきというより、どちらかと言えば、社交術、交際術、いや、道徳か、哲学か、と思うと、良く分からなかった。
 慶子にとって、父親も同じだ。父はビジネスの話を進めるとき、必ず食事の席を設け会食した。相手の好みを事前に聞いたりし、お互いが料理を楽しむための準備をした。両親は日頃から家族で、高級、一流、うわさの店など、食べただれもが口をそろえて言う飲食店へ連れて行った。それは地方であったり、都心であったり、繁華街の赤ちょうちんと言われる店だったり、人からおすすめのうまいもん店の情報を聞くと、足を運んだ。
「シェフがその時に作る一番の最高の料理を食べて、洗練された味覚を舌で感じ、脳内に味を記憶させなさい」
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