居候は厨二病。

厨二病、覚悟を決める。

「逆召喚……だと！？」

金髪少年は青ざめていた。

「いやぁだってその格好見慣れないし…そもそも君突然現れたよね？ほら、足元に不思議な文字が書いてあるし…。」

確かに彼の格好は中世の騎士みたいなもので腰に剣をさしていた。って銃刀法違反じゃないか！

そして彼の足元には見慣れない文字が書かれていた。


「こっ！！これは……！！」

彼は足元の文字を見て驚愕した。

「これは確かに魔法陣だ！！何故だ！？何故俺が魔法陣で飛ばされてるんだ！！」

いや、知らないよ。そう心の中で冷静なツッコミを入れてるとお母さんが呑気に言った。

「うーん、間違えたんじゃないのかな？ほら、召喚って繊細なお仕事じゃない。」

「ん？お前……召喚士だったのか！」

「やだぁ違うわよー！本で見たことあるけど…何人か権力者が囲んで腕のいい召喚士が召喚するんでしょ？そりゃぁたまには失敗するわよ。」

あはは、と笑うお母さん。えっめっちゃ呑気。

「そうだな人間失敗しないやつは居ない……。って待て！俺は失敗でここに飛ばされたということか！」

彼は声を荒らげていた。

「あいつ…あの召喚士！帰ったら血祭りにしてやる！という訳で俺を帰してくれ！！」

えっいやいやいや。

「帰してくれ言われてもここには召喚士は居ないし……。」

「居なけりゃ呼んでくればいいだろう。」

「いやいやいや！！この世界に召喚士はいないから！！」

私がそう言うと彼は目を見開いた。

「召喚士が居ないだと！？どうやって帰ればいいんだ！！」

「えっそんなこと言われても……。」

可哀想だとは思うけどただの迷子ってわけじゃないし。

「いつになるか分からないけど、帰る方法を探さないとダメみたいね。」

お母さんがため息をついて言った。

「くそっ！！しょうがないお前の言う通りだ。」

「そうと決まれば夕飯再開しましょ。ほら、あなたもお腹すいてない？」

えええ！！お母さん何言ってるの！

「夕飯！？ふざけんな！！俺はそんな時間は無い！！」

「焦ったってしょうがないでしょ。可哀想だから帰る方法見つかるまでうちで面倒みるから。1人ぐらい増えても大丈夫よね？お父さん？」

お父さん心無しか青ざめてるけど……見なかったことにしよう。

「気持ちは嬉しいが断る！世話になったな。」

世話した覚えも無いけど。彼はそう言うと出ていこうとした。


「銃刀法違反。」

「は？」

「この世界では刃物は持ち歩けないの。今のあなたはすぐに警察に捕まるわ。」

「捕まる！？ふざけんな！！剣を持ってるだけで……。」

「この世界でのルールだから。」

「しかし………っ」

「あなたの世界にもルールはあるでしょ？あなたが王様って訳じゃないんだから。ルール違反は処罰を受けるのは当たり前です。」

「…………。」

「他にもいろんなルールがある。今のあなたはこの世界の事を全く分からないから、たとえここで剣を置いて行っても違うルール違反をするでしょう。」

「分かっている……。」

「分かっている？捕まったら牢屋に入るのよ？帰る方法を探せなくなるでしょう。あなたがまずやる事は、この世界に慣れることなのよ。」

「俺は別に慣れなくても……！」

「覚悟を決めなさい。騎士様がかっこ悪いわよ。」


彼は下を向いてしまった。

ずっと何かを考えているようだったが…ついに彼は覚悟を決めたようだ。

「……分かった。覚悟を決めよう。すまないがしばらくの間世話になる。」

凛とした青い目で彼はそう言った。