居候は厨二病。

Musk.

文字の大きさ
14 / 45

厨二病、プール掃除をする。

しおりを挟む
「……おい、まどか。」

突然隣に座っているクリスが声をかけてきた。

「なにクリス、質問は後で先生に聞いてよ?」

残念ながら今ではクリスの方が頭がいいのだ。うう…情けない。

「いや、違う。ここの世界は髪が黒いやつが多いんだな。」

「えっああ、うん。染めないと黒だよね基本は。」

「染める?まどかや田中は茶色だが。」

「田中くんは染めてるからね。私は自毛だよ、色素薄いの。」

「色素?確かにまどかの目も薄い茶色だな。」

「ちょ、近付いて来ないで。クリスみたいな青眼はいないの日本には。」

「そうだな…髪もピンクゴールドやグリーンも居ないし…。なんだか新鮮だ。」

「ピンクゴールド?うわぁ素敵だね。羨ましいな。」

「ああ、レイラがピンクゴールドだったな。」

「レイラ?」

「俺の婚約者だ。」

ガタッ

あっしまった!驚いて机を押してしまった。先生睨まないで。

「婚約者!?クリス、婚約者いたの!?」

「一応な。勝手に決められたから気にしていないが。」

そうだよね…クリスみたいな立派な副団長なら婚約者ぐらいいるよね…。

「しかしピンクゴールドは目がチカチカするからな。まどかみたいな落ち着いた色の方がいい…おい、聞いているのか。」

「お前が聞いているのか、アレク。」

気付いたら私達の目の前に先生がいた。

「ひぇ!すみません先生!!ほら、クリスも謝って!!」

「お前ら後で職員室な。」

先生はそう言うと教壇に戻って行った。
うわぁぁ怒られるぅ!!クリスは呑気になんだろうかと言っていた。いや、察しなよ!!


「よし、来たなお前ら。」

「なんだ先生、俺は忙しいんだ。手身近に頼む。」

上から目線のクリスに先生の雷が落ちた。そりゃそうだな。

「なるほど…話を聞いてなかったから呼ばれたんだな。それはすまなかった先生、次回から気をつける。」

「いや、なんでお前は毎回上から目線なの。」

「すみません、先生…悪い子じゃないんです。」

えっ何これなんかお母さんみたいなんだけど。

「本当に反省してるのか?」

「してますよ!!めっちゃしてます!!ね、クリス!!」

「ならお前らプール掃除をしろ。」

はいわかりました……ってえ!?なんでそうなるの。

「どうせ帰宅部で暇だろ?ほら、体育着に着替えて掃除だ。」

「ええ!!待って先生2人では大変です!!」

「大丈夫だろ、アレクは人並み以上の体力があるから。」

「そうだ先生。騎士団の仕事に比べたらどうってことない。」

あああ、余計な事を!!クリスは黙ってて!!

「あのぉ、俺手伝おうか?」

突然背後から声がかかった。

「お?田中か。お前部活があるんじゃないのか?」

「うーん、どうせ軽音部はいつもタラタラ演奏してるだけだし。良かったら手伝うよまどかちゃん。」

「良かったな佐々木、よし3人で頑張ってこい。」

先生はそう言って机の方に向いてしまった。


「ごめんね田中くん…巻き込んで……。」

「いやいや気にしないで。たまには身体動かさないとね。」

「そうだな身体を動かすことは大事なことだ。」

いやいやうちらに付き合ってもらうんだよ!!

「ほぉ…これがプールか…広いな。」

クリスは初めて見るプールにキョロキョロしていた。

「えっ何アレクくんってプール知らなかったの?泳ぎの練習とかしなかった?」

「泳ぎの練習なら近くの川とかでやる。」

アレクくんって見かけによらず野生児だったんだねぇと田中くんは苦笑いしていた。


「じゃぁ私ホースで水かけるからデッキブラシで擦っていってくださいー!」

私の声にクリスと田中くんは了解!と返事をした。

底一面に水をかけると私もデッキブラシを取り出した。
うん、なんか楽しいなこれ♪

「あはは、まどかちゃん楽しそうだね。」

「うん、プール掃除なんてしたこと無いから楽しい♪」

「俺もまどかちゃんとプール掃除楽し…ぶっ!」

突然田中くんに雑巾が降りかかった。

「おい、床が終わったなら雑巾で周りを擦れ。」

何故か不機嫌なクリスに田中くんは怒りながら床を擦り始めた。

「しかし凄い広さだな。これは確かに2人では大変だったかもしれない。いや、俺はいつも鍛えているから大丈夫だがな。まどかが途中でぶっ倒れるかもしれん。」

私だってそんなに貧弱じゃないのに。

「いやぁ暑いな。今日は涼しいと思っていたが…身体をたくさん動かすとやはり暑くなる……ぶっ!」

汗を拭っていたクリスに突然水が飛んできた。

「あっごめんアレクくん手が滑っちゃったぁ。」

田中くんはホースを持ちながらニヤニヤ笑っていた。

「貴様……!!何をする!!」

「ごめん手が滑っちゃったんだって。いいだろ?暑い言ってたんだし。」

「嘘つけ!!なんでそんなにニヤニヤしてるんだ!!ホースを寄越せ!!」

クリスと田中くんはホースの取り合いを始めた。

「ちょ、やめてよアレクくん!冷たい冷たいって!!」

「うるさいお前がホースを寄越せばいいだろ!!」

クリスはホースを奪うと田中くんに至近距離から水を浴びせた。

「ゔわぁぁぐるじい!!やめでアレグぐん……!!」

「あはは、悪いな田中!!手が滑っているんだ!!」

「こらぁ!!二人ともいい加減にしなさーい!!」

楽しそうに遊ぶ2人についに私の雷が落ちた。


「おっ、プール掃除終わったのか…ってお前らなんでびしょびしょなの。」

先生はびしょ濡れのクリスと田中くんを見て驚いていた。

「すみません、先生…不慮の事故で2人が……。」

「ったく、しょうがねぇ2人だな。まぁいいやお疲れさん。」

先生はそう言ってスポーツドリンクを私達にくれた。

「わ、ありがとうございます。」

「早く着替えてこい。まだ肌寒いから風邪ひくぞ。」

確かに先生の言う通りだ。なんか寒い……と呟く2人を私は急いで引っ張って行った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

処理中です...