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序章〜観測者
12.profound knowledge(深い知識)
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「先生!堂島先生⁉︎大丈夫ですか?」
月斗に声を掛けられ我に返る。
「すまん、考え事をしていた…」
堂島はそう言うと鏡の様なサングラスをクイッとやった。よく頭の良さそうなメガネキャラがクイッとやるやつだ。
鏡の様なサングラスをクイッ、クイッとしても頭が良さそうには見えないが堂島 海里は大学時代、物理の論文で博士号を取っている。学生時代はハンドボール部のキャプテンを務め、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群、と三拍子揃っているのだが、美的センスというか、ファッションセンスに乏しい。
それ故、私服がとっても残念である。今もどこで買ったかわからないアロハシャツをジーンズにインしながら鏡の様なサングラスと言う出で立ちでいる。
「先生、これからどうします」
月斗の問いかけに堂島は
「ああ、月斗!南をここへ呼んで来てくれ!」堂島はそう言うとまた考え込んだ。
暫くするとマネージャーの南 千里が月斗に呼ばれてやって来た。
「すまんな、南。さっきお前は、このマイクロバスが近づいてくるのを予知してたよな?」
「予知…っていうか…遠くの映像が頭に浮かんできた様な…」
「なるほど、南 千里…やはり、千里眼か…」
堂島がそう言うとサングラスをクイッとした。
「ラッパのマークの?」
南 千里の横にいる月斗が聞いてきた。
「月斗くん!ちょっと黙っといてくれるかな?」
「千里眼というのは遠くのものが見えたり、遠隔地での出来事や人の心の中や未来を感知する能力の事だが…すごいな…アイツらの中に千里=千里眼ってイメージを持った奴がいたって事か…」
堂島は少し関心した様に更にサングラスをクイッとした。
「カイちゃん、それよくやるけどあんまりカッコよくないよ!」
「ん…?何がだ?」
堂島はまたクイッとした。
「……………」
「そう言えば運転手の三原さんが千里眼?がどうのこうの…言ってた様な…」
「原因は三原さん…か…納得した。南!来てくれ!」
そう言うと堂島が南 千里を園児たちの乗るマイクロバスへと連れて行った。
「先生?俺は?」月斗が堂島に声を掛ける。
「お前はみんなのところへ行け!」
「了解です!」
月斗は言われるまま、バスの周りに集まっているみんなの元へ向かう。
「月斗先輩!モンスターを倒したのでレベルアップしてませんか?」
月斗を見つけた梶が声を掛けて来る。
「レベル?」
「パララパッパッパー!みたいな!」
「何だソレ?」
「月斗先輩ってゲームとかしないんスか?」
「月斗は部活バカなんで昔っからテレビゲームなんかしない!」
「何だよ陸!お前だってそうだろ⁈」
「いいや俺はスマホゲームは嗜んでいる!」
「何だって?いつの間に!」
「因みに若干、課金もしてる!」
「課金してるんスか?」と梶。
「ああ。お年玉で課金もしてる」
『スマホゲームに課金するなんてなぁ、バカみてぇ!無料だからいいんじゃないのか?』
今橋の今パシーが皆に伝わって来る。
「それは違うぞ今橋くん!」
運転手の三原が突然生徒たちの話に割って入って来た。
「みんなスマホゲームの課金をする人を馬鹿にするみたいな風潮があるけどそれは違うと思う!何故ならそうやって課金をしてくれてる人がいるからこそスマホゲーム会社の運営が成り立っているんだから!テレビだってそう!最近のテレビ番組はCMがやたら長い!って言って文句ばかり言うけどCMがないとテレビ局だって経営が成り立たないし、企業だって1社だけじゃ製作費が高くつくので何社も何社も集まって広告費を分けてるんだから!CMが長くてもしょうがないよ!それにどうせ録画してたらCMって飛ばすくせに!だったらCMを見てもらえないスポンサーってかわいそうだよね?そう言えば昔はサザエさんなんか東芝の1社提供だったのに…」
「あのっ!運転手さん!」
「三原です!」
「三原さん!その話まだまだ続きますか?」
梶が三原の話に割って入った。
「ああ、ゴメンゴメン、ついウンチクを…」
『ウンチくん?』
「今橋先輩!思考がダダ漏れです!ウンチくんがダダ漏れだったら、もうソレは下痢です!って僕までしょうもないことを…」
「梶!ドンマイ!」
「陸先輩にそんなこと言われたく無いです!」
「ハハハハハハハハハハっ」
「君たちはすごいな!こんな訳のわからない状況なのにこんな雰囲気でいられるなんて!」
「三原さんもすごいじゃ無いですか!色々知ってて!」
「私のは…年の功って言うか…経験って言うか…転職も多かったしね!」
「ジョブチェンジ!」
「聞きたい?」
一同
「大丈夫で~す!」
「ああ、大丈夫なら喋って大丈夫って事だよね?」
「じゃあ、大丈夫じゃないで~す!」と言って生徒たちは三原の話を遮った。
突然風が強くなったかと思うと雲が次第に流れて雨雲が押し寄せて来た。その間もなく一気に天気が一変して雨が勢いよく降りはじめた。
その雨粒は見たこともない様な大粒でバスの外に出ていた生徒たちは急いで車内へ乗り込んだ。
バスには顧問の堂島と南千里以外の全員が乗り込んだ。
雨は一層、勢いを増してバスの窓や天井を叩く様に降り続けた。雲行きがあやしい。
月斗に声を掛けられ我に返る。
「すまん、考え事をしていた…」
堂島はそう言うと鏡の様なサングラスをクイッとやった。よく頭の良さそうなメガネキャラがクイッとやるやつだ。
鏡の様なサングラスをクイッ、クイッとしても頭が良さそうには見えないが堂島 海里は大学時代、物理の論文で博士号を取っている。学生時代はハンドボール部のキャプテンを務め、頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群、と三拍子揃っているのだが、美的センスというか、ファッションセンスに乏しい。
それ故、私服がとっても残念である。今もどこで買ったかわからないアロハシャツをジーンズにインしながら鏡の様なサングラスと言う出で立ちでいる。
「先生、これからどうします」
月斗の問いかけに堂島は
「ああ、月斗!南をここへ呼んで来てくれ!」堂島はそう言うとまた考え込んだ。
暫くするとマネージャーの南 千里が月斗に呼ばれてやって来た。
「すまんな、南。さっきお前は、このマイクロバスが近づいてくるのを予知してたよな?」
「予知…っていうか…遠くの映像が頭に浮かんできた様な…」
「なるほど、南 千里…やはり、千里眼か…」
堂島がそう言うとサングラスをクイッとした。
「ラッパのマークの?」
南 千里の横にいる月斗が聞いてきた。
「月斗くん!ちょっと黙っといてくれるかな?」
「千里眼というのは遠くのものが見えたり、遠隔地での出来事や人の心の中や未来を感知する能力の事だが…すごいな…アイツらの中に千里=千里眼ってイメージを持った奴がいたって事か…」
堂島は少し関心した様に更にサングラスをクイッとした。
「カイちゃん、それよくやるけどあんまりカッコよくないよ!」
「ん…?何がだ?」
堂島はまたクイッとした。
「……………」
「そう言えば運転手の三原さんが千里眼?がどうのこうの…言ってた様な…」
「原因は三原さん…か…納得した。南!来てくれ!」
そう言うと堂島が南 千里を園児たちの乗るマイクロバスへと連れて行った。
「先生?俺は?」月斗が堂島に声を掛ける。
「お前はみんなのところへ行け!」
「了解です!」
月斗は言われるまま、バスの周りに集まっているみんなの元へ向かう。
「月斗先輩!モンスターを倒したのでレベルアップしてませんか?」
月斗を見つけた梶が声を掛けて来る。
「レベル?」
「パララパッパッパー!みたいな!」
「何だソレ?」
「月斗先輩ってゲームとかしないんスか?」
「月斗は部活バカなんで昔っからテレビゲームなんかしない!」
「何だよ陸!お前だってそうだろ⁈」
「いいや俺はスマホゲームは嗜んでいる!」
「何だって?いつの間に!」
「因みに若干、課金もしてる!」
「課金してるんスか?」と梶。
「ああ。お年玉で課金もしてる」
『スマホゲームに課金するなんてなぁ、バカみてぇ!無料だからいいんじゃないのか?』
今橋の今パシーが皆に伝わって来る。
「それは違うぞ今橋くん!」
運転手の三原が突然生徒たちの話に割って入って来た。
「みんなスマホゲームの課金をする人を馬鹿にするみたいな風潮があるけどそれは違うと思う!何故ならそうやって課金をしてくれてる人がいるからこそスマホゲーム会社の運営が成り立っているんだから!テレビだってそう!最近のテレビ番組はCMがやたら長い!って言って文句ばかり言うけどCMがないとテレビ局だって経営が成り立たないし、企業だって1社だけじゃ製作費が高くつくので何社も何社も集まって広告費を分けてるんだから!CMが長くてもしょうがないよ!それにどうせ録画してたらCMって飛ばすくせに!だったらCMを見てもらえないスポンサーってかわいそうだよね?そう言えば昔はサザエさんなんか東芝の1社提供だったのに…」
「あのっ!運転手さん!」
「三原です!」
「三原さん!その話まだまだ続きますか?」
梶が三原の話に割って入った。
「ああ、ゴメンゴメン、ついウンチクを…」
『ウンチくん?』
「今橋先輩!思考がダダ漏れです!ウンチくんがダダ漏れだったら、もうソレは下痢です!って僕までしょうもないことを…」
「梶!ドンマイ!」
「陸先輩にそんなこと言われたく無いです!」
「ハハハハハハハハハハっ」
「君たちはすごいな!こんな訳のわからない状況なのにこんな雰囲気でいられるなんて!」
「三原さんもすごいじゃ無いですか!色々知ってて!」
「私のは…年の功って言うか…経験って言うか…転職も多かったしね!」
「ジョブチェンジ!」
「聞きたい?」
一同
「大丈夫で~す!」
「ああ、大丈夫なら喋って大丈夫って事だよね?」
「じゃあ、大丈夫じゃないで~す!」と言って生徒たちは三原の話を遮った。
突然風が強くなったかと思うと雲が次第に流れて雨雲が押し寄せて来た。その間もなく一気に天気が一変して雨が勢いよく降りはじめた。
その雨粒は見たこともない様な大粒でバスの外に出ていた生徒たちは急いで車内へ乗り込んだ。
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