お嬢様、お仕置の時間です。

moa

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修学旅行

ー15話ー

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みんながお風呂の順番で騒いでいる中、
私は少しだけ部屋の隅に座ってスマホを開いた。



📩 瑠威
『楽しんでますか?』



……なんでこの人。

少し迷ってから、既読をつける。



📩
『海にぃがいなくて羽伸ばしてるとか?』



「は?」



思わず小さく声が出る。

羽なんて、伸ばしてないし。

……たぶん。



📩
『冗談ですよ。でも半分本気。』



「っ……」



顔が熱くなる。

びっくりして思わず画面を閉じてしまった。

なんであの人、こういう言い方するの。



その瞬間、また震える。

そっと開く。



📩 海
『到着連絡がありませんでした。』



……業務連絡。

胸の奥が、少しだけ冷える。



📩 私
『着いてる。』



そっけなく返してしまった。

すぐに後悔した。

数秒後。



📩 海
『それは安心しました。』



それだけ。

それだけなのに。

なんで、ちょっと寂しいの。

スマホを伏せる。

……もういい。

そう思ったのに。

また震える。



📩 海
『……返信がないと落ち着きません。』



「え……」



小さく声が漏れる。

心臓が、変な音を立てる。

ずるい。

いつもは何も言わないくせに。

こんな時だけ。

胸がぎゅっとする。




また震える。

急いで開いた。

なんだ、海じゃないのか……



📩 瑠威
『今、海にぃの横にいます。』



「は!?」



びっくりして思わず体を起こす。



📩
『あなたの話してましたよ。』



うそ。

なんで。



📩
『あの人、あなたのことになると急に無口になりますね。』



指先が止まる。

……やめて。

そんなこと言わないで。

海は、私の執事。

それだけ。

それだけなのに。

どうして画面越しの言葉ひとつで、こんなに心が揺れるの。



既読をつけるか迷ったけど。

……つけた。

またすぐに震える。



📩 瑠威
『そんな顔させてるの、俺ですか?海にぃですか?』



「っ……」



心臓が跳ねる。

なんでわかるの。



📩
『今、海にぃ真面目な顔してますよ。』

📩
『でもさっき、あなたから返信きた瞬間だけ』



一瞬、間。

嫌な予感がする。



📩
『ちょっとだけ、嬉しそうでした。』



息が止まる。



「……やめて。」



思わず呟く。



📩 瑠威
『俺なら、もっとわかりやすく好きって言いますけどね。』



胸がざわつく。

軽い。
軽いのに、刺さる。



📩
『冗談ですよ。今は。』



今は、ってなに。

画面を閉じようとして――止まる。

指が動かない。

……ずるい。

私は、そんなに強くない。

打っては消して、また打って。



📩 凛
『……わかりやすい方が、楽だよ。』



送ってから、息が止まる。

何送ってるの、私。

海の顔が浮かぶ。

不器用で、言葉足らずで、
でも時々どうしようもなく優しい人。

好き、なんだろうな。

たぶん。

それでも。

伝わらない時間は、苦しい。

既読。

すぐに。

長い、間。

心臓の音だけがうるさい。



📩 瑠威
『そっか。』



それだけ。

……それだけ?

拍子抜け、なのに。



📩 瑠威
『じゃあさ。』



また震える。



📩
『俺が楽にしてあげようか。』



冗談のはず。

なのに、逃げ道がない。



📩
『凛が迷ってる間くらいは、俺のとこにいればいい。』



――え。

指が止まる。

今。

今、なんて言った?

凛お嬢様、じゃなくて。

ただの。

凛。

心臓が、どくんと強く鳴る。

わざと?

それとも。

無意識?

画面を見つめたまま、息が浅くなる。

さっきまで軽かったはずの言葉が、

急に重い。

近い。



「……ずるい。」



小さくこぼれる。

でも、その“ずるい”は、

さっきまでの意味と、少し違う。
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