1 / 8
第一章
しおりを挟む
僕は、公園が好きだ。
学校が終わると、ランドセルを家に投げて、まっすぐ公園に走る。
特別大きくもない、どこにでもある公園。
でも、そこには「楽しみ」があった。
最初に彼女を見たのは、たしか初夏の頃だったと思う。
柵のそばに立っていた。
白っぽい服を着て、少しだけ迷うみたいに中を見ている。
僕はブランコを止めて誘ってみた。
「遊ぶ?」
彼女は少し驚いた顔をして、それから、ゆっくりうなずいた。
それが始まりだった。
でも、毎日ではない。
忘れた頃に、ふっと現れて。
四時ちょうどくらいに来て、五時前には必ず帰る。
「今日は来ないかな」と思った日に限って、ひょこっと現れる。
不思議な子だった。
鬼ごっこは苦手らしくて、すぐに「見てるね」と言ってベンチに座っている。
でも全然つまらなそうじゃなくて。
僕が走るのを笑って見ていた。
「なんでそんなに走るの好きなの?」
と聞かれて、
「楽しいから!」
と僕が答えると、
「そっか。」
と、彼女は少し羨ましそうに笑っていた。
その笑顔が、僕は好きだった。
いつも、帰り際。
「またね。」
と言うと、彼女は一瞬だけ言葉を止めてから、答えた。
「……うん。またね。」
その“またね”が、どれくらい大切な言葉なのか。
そのときの僕は、まだ知らなかった。
学校が終わると、ランドセルを家に投げて、まっすぐ公園に走る。
特別大きくもない、どこにでもある公園。
でも、そこには「楽しみ」があった。
最初に彼女を見たのは、たしか初夏の頃だったと思う。
柵のそばに立っていた。
白っぽい服を着て、少しだけ迷うみたいに中を見ている。
僕はブランコを止めて誘ってみた。
「遊ぶ?」
彼女は少し驚いた顔をして、それから、ゆっくりうなずいた。
それが始まりだった。
でも、毎日ではない。
忘れた頃に、ふっと現れて。
四時ちょうどくらいに来て、五時前には必ず帰る。
「今日は来ないかな」と思った日に限って、ひょこっと現れる。
不思議な子だった。
鬼ごっこは苦手らしくて、すぐに「見てるね」と言ってベンチに座っている。
でも全然つまらなそうじゃなくて。
僕が走るのを笑って見ていた。
「なんでそんなに走るの好きなの?」
と聞かれて、
「楽しいから!」
と僕が答えると、
「そっか。」
と、彼女は少し羨ましそうに笑っていた。
その笑顔が、僕は好きだった。
いつも、帰り際。
「またね。」
と言うと、彼女は一瞬だけ言葉を止めてから、答えた。
「……うん。またね。」
その“またね”が、どれくらい大切な言葉なのか。
そのときの僕は、まだ知らなかった。
1
あなたにおすすめの小説
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
後の祭り
ねこまんまときみどりのことり
ライト文芸
母親を馬車の事故で亡くしたナズナは、馬車に乗っていた貴族の男性に、義理の娘として引き取られた。引き取られた先の子爵邸では、義母や義妹に傷付けられて泣いて過ごすこともあったが、懸命に生きていく。引き取られた裏には、別の理由もあったようで。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
『☘ 好きだったのよ、あなた……』
設楽理沙
ライト文芸
2025.5.18 改稿しました。
嫌いで別れたわけではなかったふたり……。
数年後、夫だった宏は元妻をクライアントとの仕事を終えたあとで
見つけ、声をかける。
そして数年の時を越えて、その後を互いに語り合うふたり。
お互い幸せにやってるってことは『WinWin』でよかったわよね。
そう元妻の真帆は言うと、店から出て行った。
「真帆、それが……WinWinじゃないんだ」
真帆には届かない呟きを残して宏も店をあとにするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる