3 / 7
第二話 愚か者
しおりを挟む
時刻は21時。
場所は町の繁華街。
仕事帰りであろう人達が一日の疲れを癒すために来る場所に、不釣り合いな青年がいた。
塾帰りの学生,,,,,,のように見えるが何かおかしい。
青白く不健康そうな顔に、覚束ない足取り、何処を見ているか分からない虚ろな瞳。
居酒屋やクラブ、キャバクラなどを素通りして青年は賑やかな繁華街を早足で歩いていく。
そしてたどり着いたのは、繁華街の終わりの方にあるビルとビルの隙間の狭い裏路地だった。
体を横にしないと入れないような場所を青年はなんの躊躇も無く踏み込んで行く。
不思議な事に裏路地に入ると繁華街の喧騒は聞こえなくなり、聞こえるのは室外機の音と僅な喋り声だけだった。
微かな光だけが入る裏路地は薄気味悪い雰囲気に包まれていた。
「待ってたぜ坊主,,,,ちゃんと金は持って来たか?」
裏路地には如何にもな男が壁に寄っ掛かっていた。
派手なアロハシャツに金髪の髪,,,,指には全て指輪が付けられ、高そうな腕時計を付けている。
所謂チンピラというやつだ。
この男は繁華街を仕切る反社会的組織の末端。
ここら辺で薬を売り付けている売人だ。
売り付けているのはエビルドリーム。
卑しい目付きで青年を見つめる。
「,,,,,,,,,」
青年は何も言わずに背負っていたリュックから財布を取り出す。
そして千円札を三枚取り出して売人に渡す。
「よしよし!約束の品だ,,,,注射器三本に六回分の薬液,,,,後は錠剤だったな。20粒入りで一回に五粒ずつだ。用法は守れよ!」
青年に黒いビニール袋を渡した売人は、貰った千円札をヒラヒラさせながら立ち去ろうとする。
「,,,,,おいおい家まで我慢しろよ,,,,,」
チラッと青年の方に振り返った売人が呆れた声でそう言う。
青年は黒いビニールの中から注射器を取り出して買ったばかりの薬を手首に打っていた。
「,,,,,,ハハハ,,,,ハハハハハ,,,,,,」
薬が頭に回って来たのか、虚ろな笑顔で狂ったような声を出していた。
「,,,,上手くやれよ?じゃあな,,,,,,」
売人はそんな青年に心にもない事を言うと振り返らずに去っていった。
そんな事を気にも止めずに青年は薬物が作り出す興奮に身を任せていた。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
夜22時過ぎ。
そこは青年が住んでいる一軒家の二階。
家に帰った青年は相変わらず薬物の使用に勤しんでいた。
彼の名前は横山 真人。
偏差値の高い学校に通う高校生だ。
今現在両親は仕事の都合で家にいない。
だから一人暮らしをしている。
小さい頃から根倉な性格であまり話さない彼は、小学生の頃からイジメの対象になっていた。
生きる事に楽しみを見いだす事が出来ずに、退屈な日々をを過ごしていた彼は、密売人の甘い言葉に抵抗することが出来なかった。
薬は退屈だった彼の生活を一変させた。
辛い日常も薬さえ有れば辛くなくなった。
だが薬が切れればその快感は無くなる。
それを求めて再び薬を求める。
気づいた時には典型的な薬物依存症になっていた。
親からの仕送りで買っている事に罪悪感を感じながらも薬の快感に抗う事が出来ずに溺れていた。
今では学校の中でも注射をしないと気が狂いそうになってしまう位薬に依存している。
使っている薬物、エドムの危険性は熟知している。
化物になってしまう事も、なったら悲惨な目にあう事も理解している。
それでも止める事が出来ないのだ。
相談する人も、心配してくれる人もいない彼を止める者はいなかった。
「,,,,,,クソ,,,,,,気持ちいい,,,,,,」
罪の意識に苛まれながらも、薬の与える非日常に逆らう事が出来ない。
そんな現実に彼は、狂ったように嗤いながら薬を摂取するのだった。
場所は町の繁華街。
仕事帰りであろう人達が一日の疲れを癒すために来る場所に、不釣り合いな青年がいた。
塾帰りの学生,,,,,,のように見えるが何かおかしい。
青白く不健康そうな顔に、覚束ない足取り、何処を見ているか分からない虚ろな瞳。
居酒屋やクラブ、キャバクラなどを素通りして青年は賑やかな繁華街を早足で歩いていく。
そしてたどり着いたのは、繁華街の終わりの方にあるビルとビルの隙間の狭い裏路地だった。
体を横にしないと入れないような場所を青年はなんの躊躇も無く踏み込んで行く。
不思議な事に裏路地に入ると繁華街の喧騒は聞こえなくなり、聞こえるのは室外機の音と僅な喋り声だけだった。
微かな光だけが入る裏路地は薄気味悪い雰囲気に包まれていた。
「待ってたぜ坊主,,,,ちゃんと金は持って来たか?」
裏路地には如何にもな男が壁に寄っ掛かっていた。
派手なアロハシャツに金髪の髪,,,,指には全て指輪が付けられ、高そうな腕時計を付けている。
所謂チンピラというやつだ。
この男は繁華街を仕切る反社会的組織の末端。
ここら辺で薬を売り付けている売人だ。
売り付けているのはエビルドリーム。
卑しい目付きで青年を見つめる。
「,,,,,,,,,」
青年は何も言わずに背負っていたリュックから財布を取り出す。
そして千円札を三枚取り出して売人に渡す。
「よしよし!約束の品だ,,,,注射器三本に六回分の薬液,,,,後は錠剤だったな。20粒入りで一回に五粒ずつだ。用法は守れよ!」
青年に黒いビニール袋を渡した売人は、貰った千円札をヒラヒラさせながら立ち去ろうとする。
「,,,,,おいおい家まで我慢しろよ,,,,,」
チラッと青年の方に振り返った売人が呆れた声でそう言う。
青年は黒いビニールの中から注射器を取り出して買ったばかりの薬を手首に打っていた。
「,,,,,,ハハハ,,,,ハハハハハ,,,,,,」
薬が頭に回って来たのか、虚ろな笑顔で狂ったような声を出していた。
「,,,,上手くやれよ?じゃあな,,,,,,」
売人はそんな青年に心にもない事を言うと振り返らずに去っていった。
そんな事を気にも止めずに青年は薬物が作り出す興奮に身を任せていた。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
夜22時過ぎ。
そこは青年が住んでいる一軒家の二階。
家に帰った青年は相変わらず薬物の使用に勤しんでいた。
彼の名前は横山 真人。
偏差値の高い学校に通う高校生だ。
今現在両親は仕事の都合で家にいない。
だから一人暮らしをしている。
小さい頃から根倉な性格であまり話さない彼は、小学生の頃からイジメの対象になっていた。
生きる事に楽しみを見いだす事が出来ずに、退屈な日々をを過ごしていた彼は、密売人の甘い言葉に抵抗することが出来なかった。
薬は退屈だった彼の生活を一変させた。
辛い日常も薬さえ有れば辛くなくなった。
だが薬が切れればその快感は無くなる。
それを求めて再び薬を求める。
気づいた時には典型的な薬物依存症になっていた。
親からの仕送りで買っている事に罪悪感を感じながらも薬の快感に抗う事が出来ずに溺れていた。
今では学校の中でも注射をしないと気が狂いそうになってしまう位薬に依存している。
使っている薬物、エドムの危険性は熟知している。
化物になってしまう事も、なったら悲惨な目にあう事も理解している。
それでも止める事が出来ないのだ。
相談する人も、心配してくれる人もいない彼を止める者はいなかった。
「,,,,,,クソ,,,,,,気持ちいい,,,,,,」
罪の意識に苛まれながらも、薬の与える非日常に逆らう事が出来ない。
そんな現実に彼は、狂ったように嗤いながら薬を摂取するのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる