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サンタさん、魔術師になる
81 魔力学会(2)
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ワクワクしながら我が家のドアが開くのを待っていたら、見知らぬ女性がドアを開けてくれた。
「お帰りなさいませお嬢様。いえ、ご主人様。
メリー・ヒーピテン・グッデルと申します。23歳です。
先週からメイドとしてお仕えしています。先月まで王宮で、王太子妃様付きのメイドをしていました。王太子妃様の推薦状もございます。
父は準男爵で、王立高学園の教授をしています」
……ああ、そう言えば兄さまの手紙に、準男爵として独立したからメイドさんを雇う予定だって書いてあった。
「はじめましてメリーさん。サンタナリア・ヒーピテ・ファイトアロ5歳です。
こちらは友人であり家族同然の、アレス君7歳です。よろしくお願いします」
「アレスです。暫くお世話になります」
私とアレス君は笑顔で挨拶して、リビングに移動して行く。
この家を購入した時には無かったリビングボードや、ちょっと豪華な布張りのカウチなんかが増えている。
少なかった食器類なんかも、ホッパー商会が買い揃えてくれたんだろうな。
母様は仕事で兄さまは学校なので、私とアレス君はメリーさんとお茶しながら、王都や王宮の様子をいろいろ聞いた。
私は知らなかったけど、母様は今、王太子家族が住まわれている宮殿の事務の仕事と、王太子様のお子様2人の教育担当もしているらしい。
母様と王太子妃様は王立能力学園の学友で、親友だったって言ってた。
その伝手を頼って母様は王都に引っ越すことが可能になったから、私たちの恩人でもある。
「お母さまのルクナ様は、5歳の娘が叙爵されたことと、トレジャーハンターとして稼いだお金で、中流地区に家を買ってくれたのだと、嬉しそうに王太子妃様にお話しされていましたよ」
そう話しながら、私も王太子妃様も、始めは全く信じていなかったのだと、申し訳なさそうに懺悔する。
……メリーさんって、嘘が付けない真面目な人みたい。
「ですが後日、王太子様が、5歳の幼女がアロー公爵家の準男爵に叙爵されたと仰ったんです。しかも7歳になったら、男爵になることが決定していると。
大層驚かれた王太子妃様が、それならメイドが必要だからと、気心の知れた私を、ファイトアロ家のメイドに推薦してくださったのです」
キラキラした瞳で、お会いするのを心待ちにしておりましたと、ちょっと興奮気味にメリーさんは語る。
追加情報として、王太子妃様からその幼女が母様の娘だと聞いた王太子様が、ぜひ会ってみたいから王宮に連れてこいって、冗談じゃなく本気で母様に指示が出ているらしい。
……いや、全然冗談で良かったんだけど?
「サンタさん、もう開き直った方がいいよ。この際だから、王太子様でも王太子妃様でもいいから、味方になっても貰うのはどう?」
メリーさんの、びっくり王城への登城命令話を聞いたアレス君が、これまたびっくり提案を私にしてきた。
「う~ん、内心は嫌だけど、しがない準男爵の幼児だもんね、後ろ盾は大きい方がいいのかもって、分かってはいるけど複雑。
善意の裏で、何かを強要されるのは嫌だな。まだ等価交換の方が安心」
「サンタナリア様もアレス様も、本当に博学なのですね」
メリーさんが目をパチパチさせながら驚いている。
……ああ、いつものことだから気にしてなかったけど、普通の人が私とアレス君の会話を聞いたら、同じように驚くんだった。
「バルトラ坊ちゃまが、お2人は既に中級学校の勉強を終えている天才だと仰ってましたが、本当にその通りです。
ああ、素晴らしいご主人様にお仕えできて、メリーは嬉しいです。
お給金だって、王宮よりも多いんです。私はなんて幸運なんでしょう」
凄く嬉しそうに破顔して、メリーさんはお替りのお茶を注いでくれる。
「お給金って月にどのくらい?」
「えっ、ご存じなかったのですか・・・実は・・・申し訳ありません。
私の職業は一般職の【メイド上】で、中級学校卒業後は、メイド専門学校に1年通い卒業しました。
憧れの王宮メイドは月給8万エーンだったのですが、今は金貨1枚(10万エーン)も頂いてます」
ちょっと顔色が悪くなったメリーさんが、申し訳なさそうに自己申告する。
「全然問題ないよ。私はいろいろと秘密が多いから、口止め料も入ってるんだと思う。王都で働く女性の給料って金貨1枚くらいなんだね」
「いいえご主人様、金貨1枚貰える女性なんて極僅かです。王立高学園を卒業しているか、職業選別で専門職を授かった女性くらいです。
金貨2枚を超える女性は、王立能力学園の卒業生くらいですよ」
……私の平均月収って白金貨単位だから、すっかり常識から外れてたんだ。
アロー公爵家から頂く貴族手当は月に金貨3枚で、そのお金は母様に届けてもらってる。
全額生活費として使っていいよと母様には言ってあるけど、私の金銭感覚は結構ズレてるかも。
貴族手当って、メイドさんとか馬車の御者さんとかを雇うお金ってこと?
領地なし男爵の手当は、金貨5枚だった気がするから執事も必要?
「サンタさん、トレジャーハンターと比べたらダメだよ。王宮で働く王立高学園卒の役人だって、金貨2枚有るか無いかだよ」
アレス君は、家庭教師のシロクマッテ先生から様々な常識を教わっているけど、私は勉強重視だったから、これからはもっと世間を知らなきゃいけないな。
『まあ、上を見たらきりがないし、路地で暮らす者もおるからなぁ。サンタさんは、このまま稼いだらええんちゃうか』
『そうね、大人の男性でも、サンタさんくらい稼げる人は少ないと思うわ』
『まあ、サンタは無駄使いをしないし贅沢もせんから、他人から金持ちには見られんじゃろうな』
『そうだね。ひらひらしたドレスなんか着てたら、お金持ちと間違えられて攫われるかもしれない。王都でも、贅沢はしないよ』
『いや、お主は金持ちの部類だと思うぞ。リュックに白金貨を入れて普通に持ち歩く者など、大商人か高位貴族くらいじゃサンタ』
……まあ入れてはいるけど、使うことがないから金持ちって気がしなかったよ。
夕方には全員が揃って、アレス君の歓迎会で盛り上がった。
家族と過ごす幸せな時間を噛み締め、明日からの理不尽に立ち向かう覚悟を決める。
「お帰りなさいませお嬢様。いえ、ご主人様。
メリー・ヒーピテン・グッデルと申します。23歳です。
先週からメイドとしてお仕えしています。先月まで王宮で、王太子妃様付きのメイドをしていました。王太子妃様の推薦状もございます。
父は準男爵で、王立高学園の教授をしています」
……ああ、そう言えば兄さまの手紙に、準男爵として独立したからメイドさんを雇う予定だって書いてあった。
「はじめましてメリーさん。サンタナリア・ヒーピテ・ファイトアロ5歳です。
こちらは友人であり家族同然の、アレス君7歳です。よろしくお願いします」
「アレスです。暫くお世話になります」
私とアレス君は笑顔で挨拶して、リビングに移動して行く。
この家を購入した時には無かったリビングボードや、ちょっと豪華な布張りのカウチなんかが増えている。
少なかった食器類なんかも、ホッパー商会が買い揃えてくれたんだろうな。
母様は仕事で兄さまは学校なので、私とアレス君はメリーさんとお茶しながら、王都や王宮の様子をいろいろ聞いた。
私は知らなかったけど、母様は今、王太子家族が住まわれている宮殿の事務の仕事と、王太子様のお子様2人の教育担当もしているらしい。
母様と王太子妃様は王立能力学園の学友で、親友だったって言ってた。
その伝手を頼って母様は王都に引っ越すことが可能になったから、私たちの恩人でもある。
「お母さまのルクナ様は、5歳の娘が叙爵されたことと、トレジャーハンターとして稼いだお金で、中流地区に家を買ってくれたのだと、嬉しそうに王太子妃様にお話しされていましたよ」
そう話しながら、私も王太子妃様も、始めは全く信じていなかったのだと、申し訳なさそうに懺悔する。
……メリーさんって、嘘が付けない真面目な人みたい。
「ですが後日、王太子様が、5歳の幼女がアロー公爵家の準男爵に叙爵されたと仰ったんです。しかも7歳になったら、男爵になることが決定していると。
大層驚かれた王太子妃様が、それならメイドが必要だからと、気心の知れた私を、ファイトアロ家のメイドに推薦してくださったのです」
キラキラした瞳で、お会いするのを心待ちにしておりましたと、ちょっと興奮気味にメリーさんは語る。
追加情報として、王太子妃様からその幼女が母様の娘だと聞いた王太子様が、ぜひ会ってみたいから王宮に連れてこいって、冗談じゃなく本気で母様に指示が出ているらしい。
……いや、全然冗談で良かったんだけど?
「サンタさん、もう開き直った方がいいよ。この際だから、王太子様でも王太子妃様でもいいから、味方になっても貰うのはどう?」
メリーさんの、びっくり王城への登城命令話を聞いたアレス君が、これまたびっくり提案を私にしてきた。
「う~ん、内心は嫌だけど、しがない準男爵の幼児だもんね、後ろ盾は大きい方がいいのかもって、分かってはいるけど複雑。
善意の裏で、何かを強要されるのは嫌だな。まだ等価交換の方が安心」
「サンタナリア様もアレス様も、本当に博学なのですね」
メリーさんが目をパチパチさせながら驚いている。
……ああ、いつものことだから気にしてなかったけど、普通の人が私とアレス君の会話を聞いたら、同じように驚くんだった。
「バルトラ坊ちゃまが、お2人は既に中級学校の勉強を終えている天才だと仰ってましたが、本当にその通りです。
ああ、素晴らしいご主人様にお仕えできて、メリーは嬉しいです。
お給金だって、王宮よりも多いんです。私はなんて幸運なんでしょう」
凄く嬉しそうに破顔して、メリーさんはお替りのお茶を注いでくれる。
「お給金って月にどのくらい?」
「えっ、ご存じなかったのですか・・・実は・・・申し訳ありません。
私の職業は一般職の【メイド上】で、中級学校卒業後は、メイド専門学校に1年通い卒業しました。
憧れの王宮メイドは月給8万エーンだったのですが、今は金貨1枚(10万エーン)も頂いてます」
ちょっと顔色が悪くなったメリーさんが、申し訳なさそうに自己申告する。
「全然問題ないよ。私はいろいろと秘密が多いから、口止め料も入ってるんだと思う。王都で働く女性の給料って金貨1枚くらいなんだね」
「いいえご主人様、金貨1枚貰える女性なんて極僅かです。王立高学園を卒業しているか、職業選別で専門職を授かった女性くらいです。
金貨2枚を超える女性は、王立能力学園の卒業生くらいですよ」
……私の平均月収って白金貨単位だから、すっかり常識から外れてたんだ。
アロー公爵家から頂く貴族手当は月に金貨3枚で、そのお金は母様に届けてもらってる。
全額生活費として使っていいよと母様には言ってあるけど、私の金銭感覚は結構ズレてるかも。
貴族手当って、メイドさんとか馬車の御者さんとかを雇うお金ってこと?
領地なし男爵の手当は、金貨5枚だった気がするから執事も必要?
「サンタさん、トレジャーハンターと比べたらダメだよ。王宮で働く王立高学園卒の役人だって、金貨2枚有るか無いかだよ」
アレス君は、家庭教師のシロクマッテ先生から様々な常識を教わっているけど、私は勉強重視だったから、これからはもっと世間を知らなきゃいけないな。
『まあ、上を見たらきりがないし、路地で暮らす者もおるからなぁ。サンタさんは、このまま稼いだらええんちゃうか』
『そうね、大人の男性でも、サンタさんくらい稼げる人は少ないと思うわ』
『まあ、サンタは無駄使いをしないし贅沢もせんから、他人から金持ちには見られんじゃろうな』
『そうだね。ひらひらしたドレスなんか着てたら、お金持ちと間違えられて攫われるかもしれない。王都でも、贅沢はしないよ』
『いや、お主は金持ちの部類だと思うぞ。リュックに白金貨を入れて普通に持ち歩く者など、大商人か高位貴族くらいじゃサンタ』
……まあ入れてはいるけど、使うことがないから金持ちって気がしなかったよ。
夕方には全員が揃って、アレス君の歓迎会で盛り上がった。
家族と過ごす幸せな時間を噛み締め、明日からの理不尽に立ち向かう覚悟を決める。
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