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決戦開始
263ー1 心理対抗戦(4)ー1
◇◇ 王宮警備隊副隊長 ダレン ◇◇
この時間、学生たちは食堂で朝食をとっているはずだ。
学院の外からやって来る【覇王探求部会】の協力者でも、午前8時以降でないと正門を潜ることはできない。
「本日は、いかなる理由があろうと、部外者の入場は禁止されている。
これは王妃命令であり、王族の命を守るための措置である。
もしも強引に学院に入ろうとするなら、我々王宮警備隊が不審者として捕えることになる!」
私は金切り声を上げている馬車の中の女に聞こえるよう、大声で馬車を止めた理由を言う。
当然馬車の御者は私の顔を知っており、只々顔色を悪くし困り果てている。
「なんですって! 私は王族も同然、その私を足止めするとは無礼な!
私は王弟シーブル様のご子息、トーブル様の婚約者よ。
昨日リーマス王子の計略で斬られたトーブル様の、お見舞いに来たのよ。道を空けなさい!」
馬車の窓から顔だけ覗かせた女は、王宮警備隊がどういう存在なのかまるで理解しておらず、この国の王子を堂々と犯人扱いした。
その言動が不敬罪にあたるということさえ、きっと分かっていないのだろう。
……もしも知っていたとしたら、それは救いようのないバカだ。
「私は王宮警備隊副隊長だ。王族は全て警護対象なので、全員のお顔と名前は当然把握している。
トーブル様に婚約者が居るという報告は受けていない。
そしてお前は、この国の王子様に対し、とんでもない罪を犯した。
よって、これ以上騒ぐなら捕縛して王宮の牢に入れるぞ!
お前のリーマス王子に対する不敬罪は、この場にいる全員が証言するだろう」
私は毅然とした態度と脅すような口調で、女を罪人扱いした。
すると女は、怒りの形相で私を睨みつけ、乱暴に馬車の窓を閉めた。
どうやらこの女は、私の身分や私が王族と密接な関係にあることなど、全く気にしていないようだ。
……ここまで無知で貴族の礼儀作法も知らない者を、本当に王弟シーブル殿は嫁に望まれたのか?
「なんて無礼なのかしら・・・私が王妃になったら、お前など斬首刑にしてやる。
王妃が、王妃が私を王族として認めないから、こんな辱めを受けたのよ!
許せない! 許せない! 無能な王も王妃も、全員早く死ねばいいのよ!」
誰もいない馬車の中で醜く顔を歪ませながら、とても人前では言えない暴言を女は吐きだす。
その直後、馬車の中から男の子の妖精が出てきて、女の発した言葉を一言一句間違えないよう、口振りまで真似て主に報告する。
『下品すぎてドン引きしたよダレン。しかも王や王妃が死ねばいいなんて、驚きを通り越して狂っているとしか思えないよね』
可愛い契約妖精のボルケルトは、私の肩の上で口をとがらせながら、女の顔が怖かったと身震いする。
「ああ、どうやら覇王様の読みは間違いないようだ。内乱は起こる。
こんな危険な女、王族に近付けることはできない。ありがとうボルケルト。このことを、覇王様の妖精に伝えてくれ」
『うん、了解。エクレア様にお伝えしてくる』と返事をしたボルケルトは、スーッと姿を消した。
私はニヤリと笑い、気の毒な御者にこっそりと指示を出す。
御者にとって怖いのは、この狂った女ではなく私の方だ。私の後ろには騎士団長と国王がいるのだから。
「いいか、この女は反逆罪で近いうちに捕らえられる。巻き込まれたくなければ、この女の行動を全て私に知らせろ。仕事も失いたくないだろう?」
御者は青い顔をして、無言で何度も首を縦に振る。そして、手綱を引いて馬車を正門前から移動させていく。
「どうだったかしら?」
聞き覚えのある声がして振り向くと、穏やかに微笑む第三側室……いや、今は第二側室のフィナンシェ様が立っておられた。
「はい、王妃様とフィナンシェ様の言われた通りの展開になりました。
しかし、私も長く王宮に努めておりますが、あそこまで常識のない貴族令嬢は初めてです」
私は苦笑しながら、馬車が正門前に到着してから去るまでの間の、女の言動を全て報告する。
もちろん、可愛い契約妖精のボルケルトが聞いた話も、きちんとお伝えした。
この時間、学生たちは食堂で朝食をとっているはずだ。
学院の外からやって来る【覇王探求部会】の協力者でも、午前8時以降でないと正門を潜ることはできない。
「本日は、いかなる理由があろうと、部外者の入場は禁止されている。
これは王妃命令であり、王族の命を守るための措置である。
もしも強引に学院に入ろうとするなら、我々王宮警備隊が不審者として捕えることになる!」
私は金切り声を上げている馬車の中の女に聞こえるよう、大声で馬車を止めた理由を言う。
当然馬車の御者は私の顔を知っており、只々顔色を悪くし困り果てている。
「なんですって! 私は王族も同然、その私を足止めするとは無礼な!
私は王弟シーブル様のご子息、トーブル様の婚約者よ。
昨日リーマス王子の計略で斬られたトーブル様の、お見舞いに来たのよ。道を空けなさい!」
馬車の窓から顔だけ覗かせた女は、王宮警備隊がどういう存在なのかまるで理解しておらず、この国の王子を堂々と犯人扱いした。
その言動が不敬罪にあたるということさえ、きっと分かっていないのだろう。
……もしも知っていたとしたら、それは救いようのないバカだ。
「私は王宮警備隊副隊長だ。王族は全て警護対象なので、全員のお顔と名前は当然把握している。
トーブル様に婚約者が居るという報告は受けていない。
そしてお前は、この国の王子様に対し、とんでもない罪を犯した。
よって、これ以上騒ぐなら捕縛して王宮の牢に入れるぞ!
お前のリーマス王子に対する不敬罪は、この場にいる全員が証言するだろう」
私は毅然とした態度と脅すような口調で、女を罪人扱いした。
すると女は、怒りの形相で私を睨みつけ、乱暴に馬車の窓を閉めた。
どうやらこの女は、私の身分や私が王族と密接な関係にあることなど、全く気にしていないようだ。
……ここまで無知で貴族の礼儀作法も知らない者を、本当に王弟シーブル殿は嫁に望まれたのか?
「なんて無礼なのかしら・・・私が王妃になったら、お前など斬首刑にしてやる。
王妃が、王妃が私を王族として認めないから、こんな辱めを受けたのよ!
許せない! 許せない! 無能な王も王妃も、全員早く死ねばいいのよ!」
誰もいない馬車の中で醜く顔を歪ませながら、とても人前では言えない暴言を女は吐きだす。
その直後、馬車の中から男の子の妖精が出てきて、女の発した言葉を一言一句間違えないよう、口振りまで真似て主に報告する。
『下品すぎてドン引きしたよダレン。しかも王や王妃が死ねばいいなんて、驚きを通り越して狂っているとしか思えないよね』
可愛い契約妖精のボルケルトは、私の肩の上で口をとがらせながら、女の顔が怖かったと身震いする。
「ああ、どうやら覇王様の読みは間違いないようだ。内乱は起こる。
こんな危険な女、王族に近付けることはできない。ありがとうボルケルト。このことを、覇王様の妖精に伝えてくれ」
『うん、了解。エクレア様にお伝えしてくる』と返事をしたボルケルトは、スーッと姿を消した。
私はニヤリと笑い、気の毒な御者にこっそりと指示を出す。
御者にとって怖いのは、この狂った女ではなく私の方だ。私の後ろには騎士団長と国王がいるのだから。
「いいか、この女は反逆罪で近いうちに捕らえられる。巻き込まれたくなければ、この女の行動を全て私に知らせろ。仕事も失いたくないだろう?」
御者は青い顔をして、無言で何度も首を縦に振る。そして、手綱を引いて馬車を正門前から移動させていく。
「どうだったかしら?」
聞き覚えのある声がして振り向くと、穏やかに微笑む第三側室……いや、今は第二側室のフィナンシェ様が立っておられた。
「はい、王妃様とフィナンシェ様の言われた通りの展開になりました。
しかし、私も長く王宮に努めておりますが、あそこまで常識のない貴族令嬢は初めてです」
私は苦笑しながら、馬車が正門前に到着してから去るまでの間の、女の言動を全て報告する。
もちろん、可愛い契約妖精のボルケルトが聞いた話も、きちんとお伝えした。
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