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決戦開始
263ー2 心理対抗戦(4)ー2
◇◇ 王弟シーブル夫人 ◇◇
「それで、トーブルの容態はどうだったのアリア? そんなにケガは酷いの?」
トーブルの見舞いに行った婚約者のアリアが、泣きながら戻って来たので慌てて問い質します。
年末にトーブルと一緒にヘイズ領に戻る予定のアリアは、現在私の離宮で過ごしています。
「そ、それが、正門の前で警備隊に入場を止められました」
「警備隊? 学院の警備隊如きが、王宮の馬車を止めたと言うの?」
……どういうこと? 警備隊が王族の馬車を止めるなんて考えられないわ。
「王宮の馬車で行ったのに、王族と認められず、トーブル様のお見舞いができませんでした。私は悔しくて、悔しくてなりません。
きっと王妃は、リーマス王子の罪を認めたくないのです。だから、トーブル様を誰にも会わせないようにしているのです!」
アリアは悔しそうに手を震わせて、トーブルに会えなかった怒りを滲ませて泣きじゃくります。
王妃が婚約者だと認めていないことが、悲しくて仕方ないのでしょう。
婚約式を済ませないと婚約者として認められないという、王宮のしきたりは私も知っていました。
……トーブルが王宮に戻ってこないので、現状ではどうしようもないわ。
昨日、トーブルが学院の外で何者かに斬られたと聞いた時は、思わず倒れそうになったわ。
けれど夜に私が掴んだ情報では、さほどのケガではないとのことだったから、ホッと肩の力を抜くことができたのに、面会させて貰えなかったですって?
もしも大ケガをしていたら、夫シーブルに私が叱られてしまうわ。
これまでは、父ワートン公爵がいたから私は好きにさせて貰っていたけれど、父が亡くなった今、あの夫に怒鳴りつけられたら、私はきっと震えあがってしまう。
……でも、何故リーマス王子がトーブルを襲ったのかしら?
……もしかして、夫の計画が漏れたとか? いいえ、それは有り得ないわ。
この秋から私付きの侍女になった娘の情報では、トーブルはリーマス王子と仲が良かったはず。
今年王立高学院の貴族部を卒業した侍女だから、情報に間違いはないと思うのだけれど・・・
こうなったら、私が王立高学院に行くしかないのかしら・・・
でも、学院の学生がケガをしたら、必ず親に報告が行くはずだわ。なのに何故、学院長であるフィナンシェは私に知らせないの?
……まさかこの私を、侮っているのかしら?
いつまでも泣き止まないアリアをなんとか宥めていると、予定通りの時間に侍女長がやって来ました。
「失礼いたします。ご依頼がありました今夜のパーティーの出席者名簿をお持ちしました。
今夜はご子息トーブル様も、覇王様とご一緒に参加されるそうです」
前王妃の侍女長は、威張っていて怖い人だったけれど、今の侍女長は感情が読み取れず、まるで人形のように無表情で話します。
怒っていなくても、決して気を許してはならないタイプでしょう。
「えっ? トーブルは昨日ケガをしたと聞いていますが?」
私は探るように、侍女長に向かって本当に息子が出席するのかと問います。
「そのような事実があれば、学院長であるフィナンシェ様から必ず報告があるはずです。
王族であるトーブル様に何かあれば、王様だって黙っておられないでしょう」
侍女長は淡々とした口調で話し、学院は現在警備強化中だと付け加えた。
「それで、トーブルの容態はどうだったのアリア? そんなにケガは酷いの?」
トーブルの見舞いに行った婚約者のアリアが、泣きながら戻って来たので慌てて問い質します。
年末にトーブルと一緒にヘイズ領に戻る予定のアリアは、現在私の離宮で過ごしています。
「そ、それが、正門の前で警備隊に入場を止められました」
「警備隊? 学院の警備隊如きが、王宮の馬車を止めたと言うの?」
……どういうこと? 警備隊が王族の馬車を止めるなんて考えられないわ。
「王宮の馬車で行ったのに、王族と認められず、トーブル様のお見舞いができませんでした。私は悔しくて、悔しくてなりません。
きっと王妃は、リーマス王子の罪を認めたくないのです。だから、トーブル様を誰にも会わせないようにしているのです!」
アリアは悔しそうに手を震わせて、トーブルに会えなかった怒りを滲ませて泣きじゃくります。
王妃が婚約者だと認めていないことが、悲しくて仕方ないのでしょう。
婚約式を済ませないと婚約者として認められないという、王宮のしきたりは私も知っていました。
……トーブルが王宮に戻ってこないので、現状ではどうしようもないわ。
昨日、トーブルが学院の外で何者かに斬られたと聞いた時は、思わず倒れそうになったわ。
けれど夜に私が掴んだ情報では、さほどのケガではないとのことだったから、ホッと肩の力を抜くことができたのに、面会させて貰えなかったですって?
もしも大ケガをしていたら、夫シーブルに私が叱られてしまうわ。
これまでは、父ワートン公爵がいたから私は好きにさせて貰っていたけれど、父が亡くなった今、あの夫に怒鳴りつけられたら、私はきっと震えあがってしまう。
……でも、何故リーマス王子がトーブルを襲ったのかしら?
……もしかして、夫の計画が漏れたとか? いいえ、それは有り得ないわ。
この秋から私付きの侍女になった娘の情報では、トーブルはリーマス王子と仲が良かったはず。
今年王立高学院の貴族部を卒業した侍女だから、情報に間違いはないと思うのだけれど・・・
こうなったら、私が王立高学院に行くしかないのかしら・・・
でも、学院の学生がケガをしたら、必ず親に報告が行くはずだわ。なのに何故、学院長であるフィナンシェは私に知らせないの?
……まさかこの私を、侮っているのかしら?
いつまでも泣き止まないアリアをなんとか宥めていると、予定通りの時間に侍女長がやって来ました。
「失礼いたします。ご依頼がありました今夜のパーティーの出席者名簿をお持ちしました。
今夜はご子息トーブル様も、覇王様とご一緒に参加されるそうです」
前王妃の侍女長は、威張っていて怖い人だったけれど、今の侍女長は感情が読み取れず、まるで人形のように無表情で話します。
怒っていなくても、決して気を許してはならないタイプでしょう。
「えっ? トーブルは昨日ケガをしたと聞いていますが?」
私は探るように、侍女長に向かって本当に息子が出席するのかと問います。
「そのような事実があれば、学院長であるフィナンシェ様から必ず報告があるはずです。
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侍女長は淡々とした口調で話し、学院は現在警備強化中だと付け加えた。
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