500 / 709
決戦開始
264ー1 心理対抗戦(5)ー1
◇◇ 王妃ミルフィーユ ◇◇
高学院に向かわせた王宮警備隊副隊長から、信じられない報告がありました。
得体のしれない頭が空っぽの娘は、王宮警備隊の副隊長に向かって、犯人はリーマス王子だと言い切ったと言うのです。
しかも、彼の妖精が聞いたという馬車内での罵詈雑言は、それだけで反逆罪に問うことができるようなものでした。
折角の信用できる情報ですから、王様と宰相マリード侯爵にも報告してもらいましょう。大事な情報は共有しておかないといけないわ。
……それにしても、頭が空っぽなだけでなく、自分が将来王妃になれると思っているなんて。
昼前、今夜のパーティーに出席する貴族の名簿が届きました。
そういえば、王弟シーブル夫人が名簿を見たいと言っていたわね。
「リリアーヌ、名簿をヘイズ領主代行夫人にお渡ししてきて。
それから、トーブルを害したあの娘が、主犯だという言質をとってきてくれる?」
「承知いたしました王妃様。夫人もあれですが、あの娘はもっとあれですから、必ずぼろを出すことでしょう。お任せください」
侍女長のリリアーヌ(34歳)は、得意分野の仕事を振られ嬉しそうに名簿を受け取ります。
リリアーヌは、ワイコリーム公爵が適任だと推薦してくださった、ワイコリーム公爵家調査部の優秀な諜報部員でした。
しかも覇王講座の妖精学講座で学び、妖精と契約している稀有な人材です。
いくつもの顔を持ち、潜入捜査もお手の物。
王立高学院魔法部の後輩で、B級一般魔術師の資格を持っていて、剣術は男顔負けの強さ。王妃の護衛も兼ねられる強者で、何よりも覇王様の信奉者です。
「それで、どうだったかしらリリアーヌ?」
ヘイズ領主代行夫人の所から戻って来たリリアーヌに、結果が楽しみなあまり、前置き無しで質問します。ちょっと声も弾んでいたかもしれません。
リリアーヌは自信満々という感じで微笑んで、部屋に入った所からの一部始終を、声真似を使って演じてくれます。
……これが本当に巧過ぎて、舞台を用意したいくらいなのよ。
「ですが、確かに昨日そのようなデマが、王都中に広まったという事実はございました。
ですので王妃様は、王族を狙う何者かが暗躍している可能性を考慮され、本日は学院の警備に王宮警備隊を配置されました。
と、私が夫人に申し上げていると、あの娘は我慢できなかったようで、まるで自分が見ていたかのように詳しく、トーブル様が襲われた時のことを話し始め、馬脚を露しました」
今度は頭が空っぽの娘の真似をして、まるでこの場にあの娘が居るのかと勘違いする出来栄えで演じていきます。
「そ、そんなはずないわ! トーブル様は本当に襲われたのよ!
私の知り合いが、トーブル様が斬られるところを見たと言っていたのよ。
知り合いの話では、犯人はリーマス王子に任務完了と言っていたって、だからリーマス王子が犯人なのよ!
おかあさま、騙されてなりません。トーブル様は、トーブル様は本当に斬られたのです。ですから、私が看病するのです。
そうすればきっと、お元気になられます。婚約者である私が優しく看病すれば、きっと一緒にヘイズ領に帰っていただけます!・・・だそうです王妃様」
リリアーヌは演じ終えて、役者のように大仰に礼をとります。
凄いわ。これなら国立劇場の女優になれるレベルよ。
「リリアーヌ、特別手当を出すわ。だから、今のを王様の執務室でもやってくれないかしら?」
「謹んでお断りいたします。コホン、王妃様、笑いこけている場合ではありません。
そろそろパーティーの準備をいたしませんと、覇王様とエイト様も来られるのでしょう?
完璧な準備でお迎えし、あの娘に引導を渡してやりましょう」
まあ、リリアーヌったら、学院長のフィナンシェさんよりも毒舌ね。
そうね、頼もしい侍女長と一緒に、今夜は素敵なパーティーにしなくてはいけないわ。
……覇王様が到着されるまで、噂ばら撒き要員にも頑張ってもらいましょう。
高学院に向かわせた王宮警備隊副隊長から、信じられない報告がありました。
得体のしれない頭が空っぽの娘は、王宮警備隊の副隊長に向かって、犯人はリーマス王子だと言い切ったと言うのです。
しかも、彼の妖精が聞いたという馬車内での罵詈雑言は、それだけで反逆罪に問うことができるようなものでした。
折角の信用できる情報ですから、王様と宰相マリード侯爵にも報告してもらいましょう。大事な情報は共有しておかないといけないわ。
……それにしても、頭が空っぽなだけでなく、自分が将来王妃になれると思っているなんて。
昼前、今夜のパーティーに出席する貴族の名簿が届きました。
そういえば、王弟シーブル夫人が名簿を見たいと言っていたわね。
「リリアーヌ、名簿をヘイズ領主代行夫人にお渡ししてきて。
それから、トーブルを害したあの娘が、主犯だという言質をとってきてくれる?」
「承知いたしました王妃様。夫人もあれですが、あの娘はもっとあれですから、必ずぼろを出すことでしょう。お任せください」
侍女長のリリアーヌ(34歳)は、得意分野の仕事を振られ嬉しそうに名簿を受け取ります。
リリアーヌは、ワイコリーム公爵が適任だと推薦してくださった、ワイコリーム公爵家調査部の優秀な諜報部員でした。
しかも覇王講座の妖精学講座で学び、妖精と契約している稀有な人材です。
いくつもの顔を持ち、潜入捜査もお手の物。
王立高学院魔法部の後輩で、B級一般魔術師の資格を持っていて、剣術は男顔負けの強さ。王妃の護衛も兼ねられる強者で、何よりも覇王様の信奉者です。
「それで、どうだったかしらリリアーヌ?」
ヘイズ領主代行夫人の所から戻って来たリリアーヌに、結果が楽しみなあまり、前置き無しで質問します。ちょっと声も弾んでいたかもしれません。
リリアーヌは自信満々という感じで微笑んで、部屋に入った所からの一部始終を、声真似を使って演じてくれます。
……これが本当に巧過ぎて、舞台を用意したいくらいなのよ。
「ですが、確かに昨日そのようなデマが、王都中に広まったという事実はございました。
ですので王妃様は、王族を狙う何者かが暗躍している可能性を考慮され、本日は学院の警備に王宮警備隊を配置されました。
と、私が夫人に申し上げていると、あの娘は我慢できなかったようで、まるで自分が見ていたかのように詳しく、トーブル様が襲われた時のことを話し始め、馬脚を露しました」
今度は頭が空っぽの娘の真似をして、まるでこの場にあの娘が居るのかと勘違いする出来栄えで演じていきます。
「そ、そんなはずないわ! トーブル様は本当に襲われたのよ!
私の知り合いが、トーブル様が斬られるところを見たと言っていたのよ。
知り合いの話では、犯人はリーマス王子に任務完了と言っていたって、だからリーマス王子が犯人なのよ!
おかあさま、騙されてなりません。トーブル様は、トーブル様は本当に斬られたのです。ですから、私が看病するのです。
そうすればきっと、お元気になられます。婚約者である私が優しく看病すれば、きっと一緒にヘイズ領に帰っていただけます!・・・だそうです王妃様」
リリアーヌは演じ終えて、役者のように大仰に礼をとります。
凄いわ。これなら国立劇場の女優になれるレベルよ。
「リリアーヌ、特別手当を出すわ。だから、今のを王様の執務室でもやってくれないかしら?」
「謹んでお断りいたします。コホン、王妃様、笑いこけている場合ではありません。
そろそろパーティーの準備をいたしませんと、覇王様とエイト様も来られるのでしょう?
完璧な準備でお迎えし、あの娘に引導を渡してやりましょう」
まあ、リリアーヌったら、学院長のフィナンシェさんよりも毒舌ね。
そうね、頼もしい侍女長と一緒に、今夜は素敵なパーティーにしなくてはいけないわ。
……覇王様が到着されるまで、噂ばら撒き要員にも頑張ってもらいましょう。
あなたにおすすめの小説
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!