509 / 709
策略と混乱
268ー2 独立国への道(1)ー2
毎年各領地の貴族は、1月15日までに領主に税を納める。
そして領主は、1月末までに国に税を納めなければならない。
だからヘイズ領とワートン領の国王派の貴族を処分するのは、国に納税した直後の2月初旬でいいだろう。
……税を誤魔化したという罪で、爵位を剝奪し追放する。独立するタイミングにも都合がいい。
私の国に来る旧デミル領の貴族は、新領主である王弟モーマットに対し半分の税しか納めず、監査の入る2月中旬までに移動してくれば罰せられることもない。
不正がバレても、その時には既に他国の貴族だから問題ない。
この国の常識では、領地持ちの貴族が、領地を捨てて亡命するとは誰も考えていないだろうから、最小限の荷物で移動すればバレることはない。
春先に貴族が旅行するのは、よくあることだ。
邪魔な国王派の貴族を領地から追い出し、旧デミル領の貴族が全員到着したら、独立を宣言する。
国王は、領主代行である弟が、独立を企むなどと思ってもいないだろう。
仮にワイコリーム公爵やマギ公爵が気付いたとしても、クーデターを制圧するとも思えない。
今のコルランドル王国は、魔獣の氾濫に打ち勝つことを優先しているので、軍の兵士や魔法師を使った戦争をする余裕なんて無い。
そんなことをすれば、それこそあの覇王が黙っていないはずだ。
ヘイズ領に来た当初は、覇王の書いたシナリオに腹も立てたし、愚兄と共に必ず殺してやろうと考えていた。
だが、ワートン公爵の四男ジュールが発した何気ない話で、王になるために無駄な月日を過ごす必要などないと、意識を切り替えることができた。
「それほどに王の座を求められるのでしたら、国王の暗殺を計画したり、わざわざA級一般魔法師の資格取得をするより、確実に手に入るヘイズ領とワートン領で、新しい国を作ればいいじゃないですか」
最初は、庶子のくせになんと生意気な口をきくヤツなんだと、腹立たしく思った。
だが今ならば、王も軍も魔術師も全てが、魔獣に視線を向けているではないかと気付いた。
……王宮に居る者は、誰も私の行動など気にしていない。
なんの苦も無く、一滴の血を流すこともなく、独立できる絶好の好機かも知れない。
そう思うと、もうそれ以外のことが考えられなくなった。
国土面積は、ニルギリ公国と同じくらいに狭いが、立地的には悪くない。
隣国に侵攻し国土を拡大するなら、ヘイズ領はコッタリカ王国と隣接しており、ワートン領はアッサム帝国と隣接している。
魔術師の数を考えたら、戦争をしても負ける気がしない。
血で血を洗う内戦ではなく、国王がぼんやりしている間に、王弟が二つの領地を奪い、独立して新たな国をつくるだけだ。
他国から見たら、兄弟で国を分割した感じに見えるだろうが、そんなことは大して気にする必要もない。
……いずれは全て手に入れるのだから。
私もワートン公爵である義父も、ヘイズ領の魔獣の氾濫以降、全く王都に戻っていないが、国王はそれを容認してしまった。
おまけに国王が支出した復興資金を使って、独立資金も蓄えられ、必要な貴族の取り込みも完了間近だ。
……無能な国王や大臣のお陰で、下準備をする時間は十分にとれる。
ワートン領では義父殿が、魔獣対策に資金を一切使わず、賛同する貴族に根回しをしてくれた。
領都の貴族街がドラゴンによって壊滅したのは残念だったが、独立に協力してくれる貴族たちの領地にはほぼ被害は出ていない。
国王がデミル公爵家を取り潰したので、こちらに寝返る貴族も確保することができた。
これまでは義父に気を使い側室を持たなかったが、国王となれば政治的な観点から、旧デミル領とヘイズ領の貴族の娘を、側室にすることもできる。
……天は我に味方している。
そして領主は、1月末までに国に税を納めなければならない。
だからヘイズ領とワートン領の国王派の貴族を処分するのは、国に納税した直後の2月初旬でいいだろう。
……税を誤魔化したという罪で、爵位を剝奪し追放する。独立するタイミングにも都合がいい。
私の国に来る旧デミル領の貴族は、新領主である王弟モーマットに対し半分の税しか納めず、監査の入る2月中旬までに移動してくれば罰せられることもない。
不正がバレても、その時には既に他国の貴族だから問題ない。
この国の常識では、領地持ちの貴族が、領地を捨てて亡命するとは誰も考えていないだろうから、最小限の荷物で移動すればバレることはない。
春先に貴族が旅行するのは、よくあることだ。
邪魔な国王派の貴族を領地から追い出し、旧デミル領の貴族が全員到着したら、独立を宣言する。
国王は、領主代行である弟が、独立を企むなどと思ってもいないだろう。
仮にワイコリーム公爵やマギ公爵が気付いたとしても、クーデターを制圧するとも思えない。
今のコルランドル王国は、魔獣の氾濫に打ち勝つことを優先しているので、軍の兵士や魔法師を使った戦争をする余裕なんて無い。
そんなことをすれば、それこそあの覇王が黙っていないはずだ。
ヘイズ領に来た当初は、覇王の書いたシナリオに腹も立てたし、愚兄と共に必ず殺してやろうと考えていた。
だが、ワートン公爵の四男ジュールが発した何気ない話で、王になるために無駄な月日を過ごす必要などないと、意識を切り替えることができた。
「それほどに王の座を求められるのでしたら、国王の暗殺を計画したり、わざわざA級一般魔法師の資格取得をするより、確実に手に入るヘイズ領とワートン領で、新しい国を作ればいいじゃないですか」
最初は、庶子のくせになんと生意気な口をきくヤツなんだと、腹立たしく思った。
だが今ならば、王も軍も魔術師も全てが、魔獣に視線を向けているではないかと気付いた。
……王宮に居る者は、誰も私の行動など気にしていない。
なんの苦も無く、一滴の血を流すこともなく、独立できる絶好の好機かも知れない。
そう思うと、もうそれ以外のことが考えられなくなった。
国土面積は、ニルギリ公国と同じくらいに狭いが、立地的には悪くない。
隣国に侵攻し国土を拡大するなら、ヘイズ領はコッタリカ王国と隣接しており、ワートン領はアッサム帝国と隣接している。
魔術師の数を考えたら、戦争をしても負ける気がしない。
血で血を洗う内戦ではなく、国王がぼんやりしている間に、王弟が二つの領地を奪い、独立して新たな国をつくるだけだ。
他国から見たら、兄弟で国を分割した感じに見えるだろうが、そんなことは大して気にする必要もない。
……いずれは全て手に入れるのだから。
私もワートン公爵である義父も、ヘイズ領の魔獣の氾濫以降、全く王都に戻っていないが、国王はそれを容認してしまった。
おまけに国王が支出した復興資金を使って、独立資金も蓄えられ、必要な貴族の取り込みも完了間近だ。
……無能な国王や大臣のお陰で、下準備をする時間は十分にとれる。
ワートン領では義父殿が、魔獣対策に資金を一切使わず、賛同する貴族に根回しをしてくれた。
領都の貴族街がドラゴンによって壊滅したのは残念だったが、独立に協力してくれる貴族たちの領地にはほぼ被害は出ていない。
国王がデミル公爵家を取り潰したので、こちらに寝返る貴族も確保することができた。
これまでは義父に気を使い側室を持たなかったが、国王となれば政治的な観点から、旧デミル領とヘイズ領の貴族の娘を、側室にすることもできる。
……天は我に味方している。
あなたにおすすめの小説
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!